【掲載日:平成24年12月21日】
心をし 君に奉ると 思へれば よしこのころは 恋ひつつをあらむ
男焦がれの もう一方で
焦がれ女も 切無に詠う
懸かる夕雲 あの人偲び
思い揺蕩い 夢にも見えん
朽網山 夕居る雲の 薄れゆかば 我れは恋ひむな 君が目を欲り
《朽網山 夕暮れ雲が 薄れてく 日暮れ切無て 逢いたなるがな》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六七四)
心をし 君に奉ると 思へれば よしこのころは 恋ひつつをあらむ
《うち気持ち 全部進呈たと 思うから ここは暫く 我慢で待つわ》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六〇三)
真澄鏡 手に取り持ちて 朝な朝な 見む時さへや 恋の繁けむ
《手に取って 鏡見る様に 毎朝に あんた見たかて 焦がれんやろか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六三三)
里遠み 恋わびにけり 真澄鏡 面影去らず 夢に見えこそ
《離れ住み 侘し思てる せめてもに 面影見せて 夢に出てんか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六三四)
みさご居る 沖つ荒磯に 寄する波 行方も知らず 我が恋ふらくは
《焦がれする このうち思い 何処行くか 寄せる波の様 ゆたゆたゆたと》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七三九)
鱸取る 海人の燈火 外にだに 見ぬ人ゆゑに 恋ふるこのころ
《外目にも 見ること出けん 人やのに このごろなんで 恋しんやろか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七四四)
(燈火=遠くにある→外に)
夢にだに 何かも見えぬ 見ゆれども 我れかも惑ふ 恋の繁きに
《夢かても なんで見えへん 見えてても 焦がれ昂じて 目ぇ怪訝しんか》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五九五)
君が着る 御笠の山に 居る雲の 立てば継がるる 恋もするかも
《御笠山 懸かる雲立つ 次々と 思い次々 切無い恋や》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六七五)
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