令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(31)生(お)ひて靡(なび)けり

2010年12月28日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成23年3月29日】

・・・しのひにせよと 黄楊つげ小櫛をぐし しかしけらし ひてなびけり


田辺福麻呂たなべのさきまろ 高橋蟲麻呂たかはしのむしまろ
両名の歌 
家待の歌心 くすぐる 

いにしへに ありけるわざの くすばしき 事と言ひぐ 
茅渟ちぬ壮士をとこ 菟原うなひ壮士をとこの うつせみの 名を争ふと たまきはる いのちも捨てて 
争ひに 妻問つまどひしける 処女をとめらが 聞けば悲しさ
 
はるか昔の あわれな話
 茅渟ちぬ壮士おとこと 菟原うない壮士おとこ おのれ名誉と 命をけて
 嫁にもらおと 取りうた云う 相手処女おとめの 悲しい話》
春花の にほえさかえて 秋の葉の にほひに照れる 
あたらしき 身のさかりすら 大夫ますらをの こといたはしみ
 
はるはなみたい 咲き誇ってた 秋の黄葉もみじ 照輝かがやいとった
 若い盛りの その身の上を 男言葉に いたばさまれて》
父母に まをし別れて 家離いへさかり 海辺うみへに出で立ち 朝夕あさよひに 満ちしほの 
八重やへ波に なび玉藻たまもの ふしも 惜しきいのちを つゆしもの 過ぎましにけれ
 
《父母別れ 家あとにして 海辺たたずみ 朝夕満ちる
 潮の波間に なびみたい たゆたう命 あたらの命 つゆしもみたい はかのう消える》
おくつきを 此処ここと定めて のちの世の 聞きぐ人も いやとほに しのひにせよと 
黄楊つげ小櫛をぐし しかしけらし ひてなびけり

《その墓処はかどこを この場に決めて 後世くるよの人の しのびの草と
 刺す黄楊つげ小櫛おぐし 芽吹めぶいて育つ 伸びたその枝 風なびかせる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十九・四二一一〕

処女をとめらが のちしるしと 黄楊つげ小櫛をぐし かはひて なびきけらしも
処女おとめらの 話えにしの 黄楊つげ小櫛おぐし 芽吹めぶいた枝を 風なびかせる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十九・四二一二〕

〔どうも  勢いが違うわい
 やはり その場見ての うたいと
 文机ふづくえ前にしての 詠い 致し方あるまい
 いずれの機会きかい おとのうて みたいものじゃ〕



最新の画像もっと見る

コメントを投稿