【掲載日:平成23年1月28日】
天離る 鄙に名懸かす
越の中 国内ことごと・・・
〔池主のやつ 漢詩得手と 思いきに
和歌も なかなかやるではないか
ようし 今度は あの立山じゃ〕
立山
それは 越中随一の霊峰
連なる峰々は 朝日に輝き
頂く雪は 真夏にも
ここ 国府の地から 東方に望む雄姿
家持の 歌心を 捉えて止まない
天離る 鄙に名懸かす 越の中 国内ことごと 山はしも 繁にあれども 川はしも 多に行けども
《都から 遠に離れた 越の国 その越国に 山や川 仰山あるが その中に》
皇神の 領きいます 新川の その立山に 常夏に 雪降り敷きて
帯ばせる 片貝川の 清き瀬に 朝夕ごとに 立つ霧の
《神さん宿る 立山は 真夏さ中も 雪覆う
裾めぐってる 片貝の 川瀬朝夕 霧が立つ》
思ひ過ぎめや あり通ひ いや毎年に 外のみも 振り放け見つつ 万代の 語らひ草と
《その山と川 忘られん 来る年毎に 見に来るで 遠くからでも 眺めるで ずうっとずっと 伝えるで》
いまだ見ぬ 人にも告げむ 音のみも 名のみも聞きて 羨しぶるがね
《見てない人に 言い継ぐで 噂と名前 聞くだけで 羨ましがる 決まってる》
―大伴家持―〔巻十七・四〇〇〇〕
立山に 降り置ける雪を 常夏に 見れども飽かず 神柄ならし
《立山に 冬降った雪 真夏でも 素晴らし見える 神山やから》
―大伴家持―〔巻十七・四〇〇一〕
片貝の 川の瀬清く 行く水の 絶ゆること無く あり通ひ見む
《片貝の 川の瀬清て 水絶えん 絶えず見に来よ この立山を》
―大伴家持―〔巻十七・四〇〇二〕
【四月二十七日】
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