令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(13)針ぞ賜(たま)へる

2011年07月08日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年6月7日】

まくら 旅のおきなと 思ほして 
               針ぞたまへる はむ物もが



てい聖武 退位の報に接し
一挙の虚脱感きょだつかん
ない 胸のたゆたい
 穏やか ならざるの日々
ついにたまらず
家持は 大嬢おおいらつめを こしへと招き寄せる

心 安寧あんねい得たれど 
歌心 開かず 四月よつきの中断
再開 に 手差し伸べるは
また しても 池主

越前国のじょう 池主から 告発状こくはつじょうが届く
たまわり物確かに受領 有難き限り
 喜び勇み 心おどらせ開くに
  何と 上書き中身相違したり
 さては 例のたばかぐせかと憤慨ふんがい
 しん取り替えの罪 軽からず》
  
まくら 旅のおきなと 思ほして 針ぞたまへる はむ物もが
《わしのこと じじいおもて この針を 贈ったんかい ならぬの寄越よこせ》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〔巻十八・四一二八〕
針袋 取り上げ前に 置きかへさへば おのともおのや 裏もぎたり
《針袋 出して前置き う見たら 裏地付いてる ご丁寧ていねいにも》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〔巻十八・四一二九〕
針袋 つつけながら 里ごとに らさひあるけど 人もとがめず
 針袋 腰にぶら下げ あちこちと 見せ歩いたが 誰も気にせん》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〔巻十八・四一三〇〕
とりが鳴く あづまを指して ふさへしに 行かむと思へど よしさねなし
《この袋 似合う東国あずまに 行こしたが ついで切っ掛け なんにも無いわ》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〔巻十八・四一三一〕
                                    十一月十二日】

《先日の一件 たばかりのことわり 了解
 願い品 上品じょうしなに替りしに 難詰なんきついたし
 当方ひがみによる誤解 只々ただただ陳謝》

たたにも かにもよこも やっことぞ れはありける ぬし殿門とのど
《表から 見ても裏から かしても わし阿呆あほやった 主人あんた相手に》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〔巻十八・四一三二〕
針袋 これはたばりぬ すり袋 今は得てしか おきなさびせむ
《針袋 これもらいます すり袋 次に下さい じじい似合いの》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〔巻十八・四一三三〕
                                    十一月十五日】

果たして家持たばかりは?
真のたまわり物は?
何故なぜに 東国?
はたまた 池主 独り芝居?





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