令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(09)さ百合(ゆり)引き植ゑて

2011年07月22日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年5月24日】

百合ゆり花 ゆりも逢はむと
         下延したはふる 心し無くは 今日けふめやも



ていを 思い
橘諸兄もろえを 思い
都を思う家持に おのずとに 大嬢おおいらつめの面影

大君おほきみの とほ朝廷みかどと き給ふ つかさのまにま み雪降る 越に下り 
あらたまの 年の五年いつとせ 敷栲しきたへの 手枕たまくらまかず ひも解かず まろをすれば
 
《この国の  遠い政府に 任受けて 雪降る越に やって来て
 五年になるが その間 柔らか手枕まくら もせんと ひもも解かんと 着衣まる日々》
いぶせみと こころなぐさに なでしこを やどにほし 夏の野の さ百合ゆり引き植ゑて 
うっし気持ち 晴らそうと 撫子なでしこ花を 庭に植え 夏野の百合ゆりを 移し替え》
咲く花を 出で見るごとに なでしこが その花妻はなづまに さ百合ゆり花 ゆりも逢はむと 
《花見よ思て 庭出ると 撫子なでしこ妻に 似てるがな 百合ゆりばな見ると 逢いとなる》
なぐさむる 心し無くは 天離あまざかる ひな一日ひとひも あるべくもあれや
《心なぐさみ 出けへんで 都の遠い このこしで 一日たりと 暮らすんつらい》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一一三〕

なでしこが 花見るごとに 娘子をとめらが まひのにほひ 思ほゆるかも
撫子なでしこの 花見るたんび 可愛かいらしい お前の顔 思い出すがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一一四〕
百合ゆり花 ゆりも逢はむと 下延したはふる 心し無くは 今日けふめやも
百合ゆりを見て きっと逢えると 思わんと 今日一日を 過ごされへんわ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一一五〕
                               五月二十六日】



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