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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(09)明けずもあらぬか

2010年11月09日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年10月5日】

黄葉もみちばの 過ぎまく惜しみ
         思ふどち 遊ぶ今夜こよひは 明けずもあらぬか



相楽さがら別荘での 酒宴二ヶ月のち
若手官人が つどうていた
天平十年〈738〉十月 
場所は橘諸兄もろえ旧宅
黄葉もみじうたげ
主催者は 橘諸兄もろえ長子 奈良麻呂
この年うち舎人とねりとなった 家持も れっしていた

手折たをらずて 散りなば惜しと わが思ひし 秋の黄葉もみちを かざしつるかも
手折たおらんと 散らすんしと 思うてた 秋のもみじを 髪挿かざしにでけた》
                         ―橘奈良麻呂たちばなのならまろ―〈巻八・一五八一〉
めづらしき 人に見せむと 黄葉もみちばを 手折たをりそあがし 雨の降らくに
《珍客に 見せよとおもて もみじ葉を 手折たおってきたで 雨降る中を》
                         ―橘奈良麻呂たちばなのならまろ―〈巻八・一五八二〉
黄葉もみちばを 散らす時雨しぐれに 濡れて来て 君が黄葉もみちを かざしつるかも
《もみじを 散らす時雨しぐれに 濡れ来たが その甲斐あって もみじ髪挿かざせた》
                         ―久米女王くめのおほきみ―〈巻八・一五八三〉
めづらしと わがふ君は 秋山の 初黄葉はつもみちばに 似てこそありけれ
したわしい 奈良麻呂あんた似てはる 秋山の 初もみじ葉に 初々ういういしいて》
                         ―長忌寸娘ながのいみきのをとめ―〈巻八・一五八四〉
奈良山の 峯の黄葉もみちば 取れば散る 時雨しぐれの雨し 無く降るらし
《奈良山の 折取ったもみじ葉 すぐに散る 時雨しぐれずうっと 降ってるからや》
                         ―縣犬養吉男あがたのいぬかひのよしを―〈巻八・一五八五〉
黄葉もみちばを 散らまく惜しみ 手折たをり来て 今夜こよひかざしつ 何か思はむ
《もみじ葉を 散らすんして ってきて 髪挿かざせたよって 悔いはあらへん》
                         ―縣犬養持男あがたのいぬかひもちを―〈巻八・一五八六〉
あしひきの 山の黄葉もみちば 今夜こよひもか 浮かびゆくらむ 山川やまがはの瀬に
《山もみじ 今晩あたり 散って仕舞て 浮いて行くんか 山の川瀬を》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻八・一五八七〉
奈良山を にほはす黄葉もみち 手折たをり来て 今夜こよひかざしつ 散らば散るとも
《奈良山を いろどるもみじ ってきて 髪挿かざせたよって 散ってかまへん》
                         ―三手代人名みてしろのひとな―〈巻八・一五八八〉
露霜つゆしもに あへる黄葉もみちを 手折たをり来て 妹にかざしつ のちは散るとも
霜露しもつゆで 色づくもみじ ってきて お前に髪挿せた もう散ってええ》
                         ―秦許遍麿はだのへこまろ―〈巻八・一五八九〉
十月かむなづき 時雨しぐれに逢へる 黄葉もみちばの 吹かば散りなむ 風のまにまに
十月じゅうがつの 時雨しぐれうた もみじ葉は 散って仕舞うやろ 風に吹かれて》
                         ―大伴池主おおとものいけぬし―〈巻八・一五九〇〉
黄葉もみちばの 過ぎまく惜しみ 思ふどち 遊ぶ今夜こよひは 明けずもあらぬか
《もみじ葉の 散るのしんで 友同士 遊ぶこのよる 明けて欲しない》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一五九一〉


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