令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(02)なにか来鳴かぬ

2010年12月03日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年9月7日】

霍公鳥ほととぎす 思はずありき くれ
              かくなるまでに なにか来鳴かぬ



家持は 書持ふみもち相手に 歌作り錬磨れんまに余念がない
「兄上 夏も近いゆえ 題材を『ほととぎす』とし
 場面は  『鳴き待ち』としましょう」

霍公鳥ほととぎす 待てど鳴かず 菖蒲あやめぐさ 玉にく日を いまだ遠みか
《ほととぎす 待ってるのんに まだ鳴かん 菖蒲あやめ薬玉たまする 日ィんからか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九〇〉

わが屋戸やどに 月おし照れり 霍公鳥ほととぎす 心あらば今夜こよひ 来鳴きとよもせ
うちの庭 月照っとるで ほととぎす せっかくやから 鳴きにんかい》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻八・一四八〇〉

霍公鳥ほととぎす 思はずありき くれの かくなるまでに なにか来鳴かぬ
《なんでまた 木ィの茂みが なるまで 鳴きにんのや なあほととぎす》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八七〉

歌づくりは 書持ふみもち一日いちじつちょうがある
「わしのは  どうも見劣りがしてならぬわ
 そちの書持ふみもちの名 あながちでは ないのう
 ひとかど歌人うたびとには そちがなったらどうじゃ」
「何を  言われます
 大伴家いえを 背負しょって立つは 兄上
 始めたばかりの  修錬
 弱音を吐いて 如何いかがなされます」

「さあ  ほととぎすも 鳴きたく思うておりますぞ」

あしひきの 立ちく 霍公鳥ほととぎす かく聞きそめて のち恋ひむかも
《初聞きは 木の間くぐりの ほととぎす 聞いたその声 忘れられへん》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九五〉
何処いづくには 鳴きもしにけむ 霍公鳥ほととぎす 吾家わぎへの里に 今日のみそ鳴く
他所よそでもう 鳴いてたんやろ ほととぎす やっと此里ここ来て 鳴いてくれたな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八八〉
の花も いまだ咲かねば 霍公鳥ほととぎす 佐保さほ山辺やまへに 来鳴きとよもす
の花が まだ咲かへんで ほととぎす 佐保の山来て 咲けて鳴いてる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四七七〉
の花の 過ぎば惜しみか 霍公鳥ほととぎす 雨間あままもおかず 此間ゆ鳴き渡る
の花の 散るんしいか ほととぎす 雨降る中を 鳴き渡りよる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九一〉
夏山の 木末こぬれしげに 霍公鳥ほととぎす 鳴きとよむなる 声のはるけさ
《夏山の 繁るこずえで ほととぎす 鳴き響くんが はるか聞こえる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九四〉

家持・書持ふみもち 兄弟のきずな
歌のり取りが 深めて行く


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