令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(03)今こそ鳴かめ

2010年11月30日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年9月10日】

わが屋前やどの はなたちばなに 霍公鳥ほととぎす
             今こそ鳴かめ  友に逢へる時



書持ふみもちに せっつかれての 歌作り修行
連日の 琢磨たくまが続く
「今日は  『橘』に 致しましょう」

わが屋前やどの はなたちばなを 霍公鳥ほととぎす 来鳴かずつちに 散らしてむとか
《庭咲いた たちばなはなを ほととぎす 鳴きに来んまま 散らすんかいな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八六〉

わが屋前やどの はなたちばなに 霍公鳥ほととぎす 今こそ鳴かめ 友に逢へる時
《庭に咲く たちばなはなに ほととぎす 今鳴かんかい 友と居るのに》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻八・一四八一〉

「さすが 書持ふみもち 思い付きが違う
 わしのは  見たまま そのままじゃ」

わが屋前やどの はなたちばなの 何時いつしかも 珠にくべく そのなりなむ
《庭植えた はなたちばなは いつ頃に 糸しできる ぃ成るんやろ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四七八〉
わが屋前やどの はなたちばなは 散り過ぎて 玉にくべく になりにけり
《庭咲いた 橘の花 散って仕舞い 糸とおしする になって仕舞た》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八九〉

「兄上  今度は 橘を離れ
 ほかの何かに 気を転じられての歌を」

夏まけて 咲きたる唐棣はねず ひさかたの 雨うち降れば うつろひなむか
《夏待って 咲いたハネズは 雨来たら やっと咲いたん 色せるがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四八五〉
こもりのみ ればいぶせみ なぐさむと 出で立ち聞けば 来鳴く晩蝉ひぐらし
こもってて 沈んだ気ィを 晴らそうと 出たらひぐらし 来て鳴いたがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四七九〉
わが屋前やどの 瞿麦なでしこの花 さかりなり 手折たをりて一目ひとめ 見せむ児もがも
《庭で咲く 撫子なでしこの花 今盛り って見せる児 らんもんかな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四九六〉

「見るの上達 さすがでございます
 こもりの慰みと ひぐらしセミの取り合わせ
 相聞そうもん色合いろあい備えた 撫子なでしこ
 どうして  どうして かなりの歌上手」

導き上手の書持ふみもち めることを忘れない


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