令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(06)鰻(むなぎ)捕り食(め)せ

2010年11月19日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年9月21日】

石麿いはまろに われものまを
      夏やせに しといふ物そ むなぎ捕り




家持は  待っていた

高円山たかまどやまの 黄葉もみじ
雨上がりの き通った空
空の青 
空隠すかに 深紅の黄葉もみじ

〈来ない  あれほど固く約束したに・・・〉

けだしくも 人の中言なかごと きかせかも ここだく待てど 君がまさぬ
悪噂ちゅうしょうを きっと聞いたに 違いない こんだけ待って 八束あんたんのは》

                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・六八〇〉
なかなかに ゆとし言はば かくばかり いきにして わが恋ひめやも
縁切えんぎりや 言われたほうが 気ィ楽や こんな思うて 気に懸けるより》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・六八一〉
思ふらむ 人にあらなくに ねもころに こころつくして 恋ふるわれかも
《思うても 呉れへん人に 一生懸命いっしょけめ 心尽くすん アホやでうちは》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・六八二〉

八束やつかから 返事が来た
〈謹啓 
 すっかりの お冠かんむり 返す返す申し訳なし
 拠所よんどころない仕儀しぎ出来しゅったい ひらにお許しの程を
 このような 軽口かるくち
 わしは 一向に構わぬが 相手にもりますぞ
 例の 吉田連よしだのむらじおゆ〈通称石磨いわまろ〉の一件
 尊父 旅人殿と おゆてて よろし殿 
いかな昵懇じっこんであったとはいえ あれはいただけぬ
 
石麿いはまろに われものまをす 夏やせに しといふ物そ むなぎ捕り
《言うたろか 石麿いわまろさんよ 夏痩せに ようく言うで 鰻食たどや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十六・三八五三〉
すも けらばあらむを はたやはた 鰻を捕ると 川に流るな
《痩せてても 生きてる方が まだえで 鰻捕ろして おぼれたあかん》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十六・三八五四〉

 おゆ殿は 謹厳きんげん実直じっちょくの士
 ひょいと受け流せずにより 暫く寝込んだよし
 今後は 家持殿の軽口かるくち
 相手を見ての上と  なされること
 ここに しかと申し




最新の画像もっと見る

コメントを投稿