令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(01)あさる雉(きぎし)の

2010年12月07日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年9月3日】

春の野に あさるきぎしの つまごひ
             おのがあたりを 人に知れつつ



旅人たびとが明けた
佐保さほ大納言家の当主となった 家持やかもち
時に まだよわい十五
旅人の資人しじん 余明軍よのみょうぐんは 
一年の明けと共に その任が解かれる

まつりて いまだ時だに かはらねば 年月のごと 思ほゆる君
《お仕えし 日ィ浅いのに 長いこと つかえた思える 家持あなた様です》
                         ―余明軍よのみやうぐん―〈巻四・五七九〉
あしひきの 山にひたる すがの根の ねもころ見まく しき君かも
《出来るなら すがの根みたい 長々と お仕えしたい 家持あなた様です》
                         ―余明軍よのみやうぐん―〈巻四・五八〇〉

別れに際し 余明軍よのみょうぐん
かねての  旅人から預かった 書状を差し出す
「大殿さま 身罷みまかりの折 お預かりのものです」

 さとしのこと―
一、大伴家 伴造とものみやつことしてのいさおし忘れず 
  天皇おおきみへの仕え一途いちずに励むこと
一、政治まつりごとがこと 関わり浅きが 上策 
  扇動やからに付き従うは げんに避くるべきこと
一、人付き合い 世渡りが為 うたつくりがかなめ
  切磋琢磨せっさたくまし 一廉ひとかど歌人うたびと目指すべきこと
一、歌修錬は 我が遺稿いこう 並びに筆録ひつろく先人せんじん
  人麻呂殿 赤人殿 憶良殿らの筆にまねぶこと

〈かねがね  父上が 仰せのこと
 大伴家いえ守り 盛運せいうん得るに 心せねばなるまい
 それにしても 
 父上 我が歌の稚拙ちせつを ようくご存知
 励まねばならぬが 今ひとつしょうに合わぬわ〉

家持は  
作り置いた  真似ごと歌を 思い出していた

うちらし 雪は降りつつ しかすがに 吾家わぎへの園に うぐひす鳴くも
《空おおい 雪降るのんに 鶯が もう来てからに 庭で鳴いとる》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四四一〉
春の野に あさるきぎしの つまごひに おのがあたりを 人に知れつつ
《春の野で えさきじは 連れ呼んで 居場所猟師りょうしに 教えとるがな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻八・一四四六〉


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