【掲載日:平成24年7月20日】
住吉の 遠里小野の 真榛もち 摺れる衣の 盛り過ぎゆく
住吉浜は 沖波寄せて
浜は清いし 波音清か
名児・吾児海は 干潟が続く
玉藻刈ろうや 白玉拾おうや
【摂津にして作れる歌(二)】
住吉の 沖つ白波 風吹けば 来寄する浜を 見れば清しも
《住吉の 沖立つ白波は 風吹くと 岸に寄せ来て 浜清々し》
―古集―(巻七・一一五八)
住吉の 岸の松が根 うちさらし 寄せ来る波の 音の清けさ
《住吉の 浜ある松の 根ぇ洗ろて 寄せてくる波 音涼やかや》
―古集―(巻七・一一五九)
住吉の 岸に家もが 沖に辺に 寄する白波 見つつ偲はむ
《住吉の 岸に家欲し 沖立って 岸寄せる波 見て楽しむに》
―古集―(巻七・一一五〇)
大伴の 御津の浜辺を うちさらし 寄せ来る波の 行方知らずも
《寄せてくる 波何処去って 仕舞うんか 御津の浜辺の 打ち寄せ波は》
―古集―(巻七・一一五一)
楫の音ぞ ほのかにすなる 海人娘子 沖つ藻刈りに 舟出すらしも
《楫の音 微か聞こえる 漁師娘子 沖の藻刈りに 船出すらしな》
―古集―(巻七・一一五二)
名児の海の 朝明のなごり 今日もかも 磯の浦廻に 乱れてあるらむ
《名児海で 朝の見栄えの 潮だまり 浦のあちこち 今日もあるかな》
―古集―(巻七・一一五五)
住吉の 名児の浜辺に 馬立てて 玉拾ひしく 常忘らえず
《住吉の 名児の浜辺で 馬留めて 玉拾ろたんを 今も思うで》
―古集―(巻七・一一五三)
時つ風 吹かまく知らず 吾児の海の 朝明の潮に 玉藻刈りてな
《潮風が 吹く知れんけど 吾児海で 夜明け干潟で 玉藻を刈ろや》
―古集―(巻七・一一五七)
雨は降る 仮廬は作る いつの間に 吾児の潮干に 玉は拾はむ
《雨降って 小屋作ってて 行けんがな 吾児の引き潮 玉拾い為に》
―古集―(巻七・一一五四)
住吉の 遠里小野の 真榛もち 摺れる衣の 盛り過ぎゆく
《住吉の 遠里の野の 榛の木で 摺染めたこの衣 色褪せてくで》
―古集―(巻七・一一五六)
難波潟 潮干に立ちて 見渡せば 淡路の島に 鶴渡る見ゆ
《難波浜 干潟に立って 見渡すと 淡路の島へ 鶴飛んでくで》
―古集―(巻七・一一六〇)
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