【掲載日:平成24年7月3日】
さ檜隈 檜隈川の 瀬を早み 君が手取らば 言寄せむかも
泊瀬 布留川 川の瀬清い
渡る檜隈 あの児と一緒
川の名前に 事寄せ歌う
可愛いあの児が この目に浮かぶ
泊瀬川 白木綿花に 落ち激つ 瀬を清けみと 見に来し我れを
《白木綿花が 砕け散る様で 瀬ぇ清い 泊瀬の川を わし見に来たで》
―作者未詳―(巻七・一一〇七)
泊瀬川 流るる水脈の 瀬を早み ゐで越す波の 音の清けく
《泊瀬川 逆巻く流れ 早いんで 堰越す波の 音清らかや》
―作者未詳―(巻七・一一〇八)
さ檜隈 檜隈川の 瀬を早み 君が手取らば 言寄せむかも
《檜隈の 川の瀬早い そやからて 手ぇ繋いだら 噂なるかな》
―作者未詳―(巻七・一一〇九)
斎種蒔く 新墾の小田を 求めむと 足結ひ出で濡れぬ この川の瀬に
《清め籾 蒔く新田圃 探そして 瀬ぇで足装束 濡らして仕舞た》
―作者未詳―(巻七・一一一〇)
古も かく聞きつつか 偲ひけむ この布留川の 清き瀬の音を
《このままを 聞いたんやろか 昔かて この布留川の 清らか瀬音》
―作者未詳―(巻七・一一一一)
はね蘰 今する妹を うら若み いざ率川の 音の清けさ
《初々し 蘰被る児 誘おして いざ云う率川の 瀬音清らや》
―作者未詳―(巻七・一一一二)
この小川 霧ぞ結べる 激ちゆく 走井の上に 言挙げせねども
《この川に 霧立ってるで 湧き水の 傍で嘆きを 口した違うに》
―作者未詳―(巻七・一一一三)
(霧は嘆く息の象徴)
我が紐を 妹が手もちて 結八川 また還り見む 万代までに
《わしの紐 お前手で結う 結八川 また見に来るで 後々ずっと》
―作者未詳―(巻七・一一一四)
妹が紐 結八河内を 古の みな人見きと 此処を誰れ知る
《お前紐結う 結八の洲処 その昔 皆見た言う そら尤もや》
―作者未詳―(巻七・一一一五)
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