【掲載日:平成24年7月6日】
我妹子が 赤裳の裾の ひづちなむ 今日の小雨に 我れさへ濡れな
自然現象 雲 雨 霧に
花 苔 草と 植物続き
千鳥 河鹿と 動物続く
景色の誉めか あの児のことか
大海に 島もあらなくに 海原の たゆたふ波に 立てる白雲
《海原の 揺れる波間に 白雲出てる 見渡す限り 島無いのんに》
―作者未詳―(巻七・一〇八九)
我妹子が 赤裳の裾の ひづちなむ 今日の小雨に 我れさへ濡れな
《この雨に あの児の赤裳裾 濡れてるか わしもこの雨 濡れて行こかな》
―作者未詳―(巻七・一〇九〇)
通るべく 雨はな降りそ 我妹子が 形見の衣 我れ下に着り
《ずぶ濡れに なるまで降りな わし下に あの児着とった 衣着てるんや》
―作者未詳―(巻七・一〇九一)
ぬばたまの 我が黒髪に 降りなづむ 天の露霜 取れば消につつ
《黒髪に 降りる露霜 手に取って 見よと思ても 取る度消える》
―作者未詳―(巻七・一一一六)
島廻すと 磯に見し花 風吹きて 波は寄すとも 採らずは止まじ
《島めぐり 磯で見た花 偉ろ綺麗 風波来ても 取らいで措くか》
―作者未詳―(巻七・一一一七)
み吉野の 青根が峰の 苔蓆 誰れか織りけむ 経緯なしに
《青根峰 苔の筵は 見事やな 縦横糸なしで 誰織ったやろ》
―作者未詳―(巻七・一一二〇)
妹らがり 我が通ひ道の 小竹薄 我れし通はば 靡け小竹原
《お前所 通う道辺の 細竹薄 わし通る時 靡いて道空けや》
―作者未詳―(巻七・一一二一)
山の際に 渡るあきさの 行きて居む その川の瀬に 波立つなゆめ
《あいさ鴨 山を渡って 降り立つ瀬 川の瀬波よ 立つんやないで》
―作者未詳―(巻七・一一二二)
佐保川の 清き川原に 鳴く千鳥 蛙と二つ 忘れかねつも
《佐保川の 清い河原で 鳴いとった 千鳥と河鹿 忘れられんな》
―作者未詳―(巻七・一一二三)
佐保川に 騒ける千鳥 さ夜更けて 汝が声聞けば 寝ねかてなくに
《佐保川で 騒ぐ千鳥よ 夜ぉ更けて 声聞いたなら 寝るに寝られん》
―作者未詳―(巻七・一一二四)
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。
