【掲載日:平成24年7月24日】
夕凪に 漁する鶴 潮満てば 沖波高み 己が妻呼ぶ
見事景色に 癒されしても
旅は辛いし 命が懸かる
家妻離れ 夜風が寒い
鳴く雁鶴に 侘しさ募る
家離り 旅にしあれば 秋風の 寒き夕に 雁鳴き渡る
《家離れ 旅空行くと 秋の風 寒吹く宵に 雁鳴いてくで》
―古集―(巻七・一一六一)
古代社会の 行政区画
畿内七道 律令決める
七道これぞ 太平洋沿いに
西・南・東の 海道区画 内海行くは 山陽道よ
日本海沿い 山陰道に 北陸道が 北へと続く
山中辿る 東山道は 近江西端 北陸奥までよ
【畿内 大和近辺】
玉櫛笥 みもろと山を 行きしかば 面白くして 古思ほゆ
《三輪山の 麓辺りを 辿ったら 太古昔が しみじみ迫る》
―古集―(巻七・一二四〇)
ぬばたまの 黒髪山を 朝越えて 山下露に 濡れにけるかも
《黒髪山を お前偲んで 朝越えて 山裾露に 濡れて仕舞たで》
―古集―(巻七・一二四一)
あしひきの 山行き暮らし 宿借らば 妹立ち待ちて 宿貸さむかも
《山道を 行き暮れて仕舞た 宿探そ 良え児待ってて 宿貸さへんやろか》
―古集―(巻七・一二四二)
見渡せば 近き里廻を た廻り 今ぞ我が来る 領巾振りし野に
《気ィ急いて すぐや思たに 中々で やっと着いたで 領巾振った野に》
―古集―(巻七・一二四三)
(出掛け別れにあの児が領巾振った野に)
【東海道(西) 伊勢・尾張】
円方の 港の洲鳥 波立てや 妻呼びたてて 辺に近づくも
《円方の 渚居る鳥 波立って 連れ呼び鳴いて 岸寄って来る》
―古集―(巻七・一一六二)
年魚市潟 潮干にけらし 知多の浦に 朝漕ぐ舟も 沖に寄る見ゆ
《年魚市潟 潮引いてくか 知多浦に 朝に漕ぐ船 沖寄る見える》
―古集―(巻七・一一六三)
潮干れば ともに潟に出で 鳴く鶴の 声遠ざかる 磯廻すらしも
《潮引けば 干潟群れ鳴く 鶴の声 遠なってくで 向こ磯行くか》
―古集―(巻七・一一六四)
夕凪に 漁する鶴 潮満てば 沖波高み 己が妻呼ぶ
《夕凪で 餌採る鶴は 潮満ちて 沖波高こて 連れ呼び鳴くよ》
―古集―(巻七・一一六五)
夢のみに 継ぎて見えつつ 小竹島の 磯越す波の しくしく思ほゆ
《毎晩に 夢出るあんた 恋しいで 篠島波の しくしくしくと》
―古集―(巻七・一二三六)
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