犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(160)去年見てし

2012年12月08日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【十一月七日】放映分
去年こぞ見てし 秋の月夜つくよは 照らせども あひ見しいもは いや年さかる
去年きょねん見た 秋のえ月 今もえ 一緒いっしょ見たのに もうらんがな》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一一)

【万葉歌みじかものがたり】引手ひきての山に》

巻向郎女まきむくのいらつめと 人麻呂の 住みどころ
穴師あなしがわのほとり
庭先の川堤かわづつみに 大きなつきの木が 葉を広げる

うつせみと 思ひし時に たづさへて わが二人見し 走出はしりでの つつみに立てる つきの木の こちごちのの 春の葉の しげきが如く 思へりし いもにはあれど 頼めりし らにはあれど 
《元気る時 二人で見たな もん出たとこの 堤のけやき 枝満々いっぱいに 茂った若葉 そんな満々いっぱい 好きたお前 末おもた お前やけども》
世間よのなかを そむきし得ねば かぎろひの 燃ゆる荒野あらのに 白拷しろたへの 天領巾あまひれがくり 鳥じもの 朝ちいまして 入日いりひなす かくりにしかば 
《世の中ならい 逆らい出来ず 陽炎かげろう消えて てん行くみたい 鳥飛び立って 帰らんみたい 太陽ィ沈むよに 隠れて仕舞しもた》
我妹子わぎもこが 形見かたみに置ける みどり児の ひ泣くごとに 取りあたふ 物し無ければ をとこじもの わきはさみ持ち 
《残った赤ん 泣くたびごとに 取って与える 物とてうて 乳もんのに 胸抱きかかえ》
我妹子わぎもこと 二人わが寝し まくら付く つまの内に 昼はも うらさび暮し 夜はも 息づき明し 嘆けども むすべ知らに 恋ふれども よしを無み
《共に暮らした 住まいにこもり 昼間ひるまぼっとし よるためいきし なげいてみても どうにもならん 恋しがっても うこと出来でけん》
大鳥おほとりの 羽易はがひの山に わが恋ふる いもいますと 人の言へば 石根いはねさくみて なづみし けくもぞなき 
うしろの山で お前の姿 見たと聞いたら いわみち分けて 探しに来たが え目はうて》
 
うつせみと 思ひし妹が 玉かぎる ほのかにだにも 見えぬ思へぱ
《生きてるはずと おもてたお前 影も形も 見えんなった》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一〇)
衾道ふすまぢを 引手ひきての山に いもを置きて山路やまぢを行けば 生けりともなし
引手ひきて山 お前まつって 降りてきた ひとり生きてく 気ィならんがな》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一二)
去年こぞ見てし 秋の月夜つくよは 照らせども あひ見しいもは いや年さかる
去年きょねん見た 秋のえ月 今もえ 一緒いっしょ見たのに もうらんがな》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ―(巻二・二一一)

つきの木の住みどころ 嘆きの枯れない 人麻呂がいる



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