犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(161)ぬばたまの

2012年12月12日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【十一月八日】放映分
ぬばたまの 夜さりれば 巻向まきむくの 川音かはと高しも 嵐かも
よるけた 川の水音 こなった 今に一荒ひとあれ じき来るみたい》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一一〇一)

【万葉歌みじかものがたり】川音かはと高しも》

人麻呂 は 馬を急がせていた
ここしばらく 吉野行幸みゆきの はからい事で
つまいが 遠ざかっていた
昨日 降った 春の雪
ぬかるみ  
 の足取りが もどかしい

新妻にいづまを待たせて仕舞しもうた 巻向郎女まきむくのいらつめ
  待ち焦がれているじゃろう 急がねば)
三輪山 を 右手に見ながら
馬は 三輪の大社おおやしろを過ぎた 
泥道 が続く
霧の立ち込める中 檜原ひばらもりが見える

巻向まきむくの 檜原ひばらに立てる 春霞 おぼにしおもはば なづみめやも
《すぐ消える 霞みたいな 思いちゃう そんな気ぃなら 無理してんわ》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻十・一八一三)
夕闇の 訪れに 湿しめの広がり
穴師あなし川の 橋を渡り 川上に 馬首ばしゅめぐらす
 川に 波 立ってきたぞ)
穴師あなしがは 川波立ちぬ まきむくの つきたけに くも立てるらし
《穴師川 波立ってるで ざわざわと つきたけに 雲出てるがな》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一〇八七)
 おお 瀬が 鳴っとおる)
あしひきの 山川やまがはの瀬の 鳴るなへに 弓月ゆつきたけに 雲立ち渡る
《山筋の 川瀬鳴ってる やっぱりな つきたけに 雨雲あめぐも出てる》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一〇八八)

 今 戻った」
 を 飛び降り 門前から 呼びかける
まろぶが如き 出迎えの 巻向郎女いらつめ
 雨には 合わずに済んだぞ」
微笑ほほえみ おも伏せる 巻向郎女いらつめ

夕餉ゆうげを 済ませ
くつろぎ の ひと時
山間やまあい静寂せいじゃくに 川音かわおとが 高い
ぬばたまの 夜さりれば 巻向まきむくの 川音かはと高しも 嵐かも
よるけた 川の水音 こなった 今に一荒ひとあれ じき来るみたい》
                         ―柿本人麻呂かきのもとのひとまろ歌集―(巻七・一一〇一)

至福しふくの一夜
激しかった雨脚あまあし 次第に 遠のく



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