本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

アイスマン 5000年前からきた男  (ディビッド・ゲッツ)

2005-06-22 22:10:34 | ノンフィクション
1991年、ドイツの登山家が、アルプス山中で一体の凍死体を発見した。ふつうの遭難者とは違っていた。

彼は5000年前から、氷河に閉ざされたままやって来た、先史時代に生きていた男であった。
彼の持ち物、ミイラ化した死体から、現代科学の力によって、さまざまな事実が解明されていく。

まさに推理小説を読む楽しさに惹かれて、一気に読んだ。現代科学の世界の魅力も同時に味わえる作品である。

中学、高校生の諸君にも、ぜひ読んで欲しいものである。

BY:伊野仙人

日本人の宗教感覚  (山折哲雄)

2005-06-22 22:00:40 | その他
日本人の心の奥底に感性として流れている宗教感覚を、身近な日常生活、日本の古典作品を通して、また民族的な視点から平易に述べている。

短歌的叙情の中の死生観、「夕焼小焼」と落日信仰や、日本人の「他界観」
西行法師の有名な「ねがはくは花の下にて春死なん そのきさらぎのもち月の頃」
沈む月と一緒に浄土に往生する決意とイメージトレーニングの姿。
日本人の宗教感覚や自然感が身近に読み取れる本である。

BY:伊野仙人

ちいさなくも  (エリック・カール  訳:もりひさし)

2005-06-22 21:04:28 | 絵本
大胆な色使いが魅力的な、エリック・カールの作品は、いっぱいあります。大好きな絵本をあげると、どれか一つは入っているんじゃないかな。

さて、この絵本は、真っ青な空にぽっかりと浮かぶちっちゃなくものお話です。

みなさんも、空を見上げ浮かぶくもを見て、あのくもは○○のようだったと、思ったことがあるんじゃあないでしょうか。食べ物・車・人の顔、いろんなものに どんどん形を変えていくくも。そんなくもを思い出しつつ、こどもたちといっしょに読んでみてください。

BY:星川

グリックの冒険 ・ 冒険者たち ・ ガンバとカワウソの冒険 (斎藤惇夫)

2005-06-22 19:46:09 | 児童書
所謂、「ガンバ三部作」である。

現在30代以上の人達のなかには、アニメ「ガンバの冒険」を覚えていらっしゃる方も多いかもしれない。
この三冊の中の「冒険者たち」はアニメの原作である。ただし原作はサブタイトルが「ガンバと15ひきの仲間」とあるように「15ひきの仲間」がいるのだが、アニメ作品には残念ながら、何匹か省略されてしまっている。

この三部作は、どれも「すばらしい自然」というのがテーマとなっているようだ。特に「ガンバとカワウソの冒険」では、ガンバたちが絶滅したはずのカワウソを見つけ、凶暴な野犬と戦いながら、伝説の河「豊かな流れ」をめざすのだが、カワウソも住めないような河にしてしまった人間のひとりとして、反省しなければならないと思ってしまった。

非常に個性的に描かれたネズミ達の言動は、ハラハラしたり、納得したり、読んでいるうちに色々と考えさせられてしまう事が多かったりするのだ。
この作品は、一応児童書ではあるが、大人が読んでも十分に読み応えがあって楽しめる作品となっている。子供の頃の純粋な心を忘れかけている大人が読んでみるのもよいかもしれない。

BY:みやびちと

橋のない川 (住井すゑ)

2005-06-22 19:12:17 | 小説
『差別!』と聞くと あなたなら、どう思いますか?

「うわぁ あの話って 暗くていや!」
「わざわざ 読んでみるのも…、それに 長そうだし、難しそう…。」

なんて 思っている あ・な・た

もし、本当のことが知りたいのなら、迷わずこの本を読んでみて下さい。(読みやすいのよ)

大和の美しい自然を背景に 小森に生まれた主人公 畑中孝二、彼の成長を描いた 青春大河小説 とでもいうべき話です。
生まれに悩みながらも、親や友人達に励まされ 自分自身を見つめながら成長していく姿がすばらしい。(難しいところは とりあえず目をとーすだけにして まずは全体をつかんでみて!)

主人公や、彼を取り巻く人々の悩みは、いじめの氾濫する今の世の私達自身の悩みとも似て、共感と反発を覚えることでしょう。

今、悩んでるあなたに!
読み応えのある本が欲しいあなたに!
ちょっぴりでも差別に関心があるあなたに!

ぜひ、一読を!

BY:滝瀬未久

天の瞳 幼年編Ⅰ・Ⅱ  (灰谷健次郎)

2005-06-22 17:22:54 | 小説
『兎の眼』、『太陽の子』の作者、灰谷さんの新作!!

この本の主人公、小瀬倫太郎は とても魅力的だ。
倫太郎の自由奔放さ、生意気さ、したたかさ、そして何よりも その真っ直ぐな心に とてもひかれる。
倫太郎は、しあわせな子だ。保育園時代、「子供にどうやって添うてあげたらええの…。」と悩んだ先生、倫太郎や回りの子供たちが起こすいろんな出来事に一つ一つ考えてくれた人達。小学校時代、倫太郎に振りまわされながらも、お互いに影響を与えあった先生達や友達。それに両親、おじいちゃん、おばあちゃん、お店の人など いろんな人達に囲まれているからだ。(でもそれは、私たちにも言えることだろう。)人の心を見る目を持っているか?いないか?と、言うことじゃないのだろうか…。

「小瀬くん」
「なんや」
「ちょっと、カッコ良すぎると思わへん?」
倫太郎は言った。
「思う」…

  -やっぱ、倫ちゃん カッコえぇなあ~-と、私も思う。

BY:滝瀬未久

硫黄谷心中 (村田喜代子)

2005-06-22 15:50:03 | 小説
現実を離れ、空想の世界で遊びたい読者へのおすすめの作品。

心中物という暗さはないが、幻想的な硫黄谷に紛れ込み、偶然同宿した、男女二組の見たものは…。
死に急ぐ、哀しくもいとおしい若者たちの純愛の幻想。

現実には存在しないという硫黄谷の湯煙と噴火口の無気味さを背景に繰り広げられるドラマの世界に、ひとときのロマンに浸ってみませんか。

BY:荒刈人

子供が孤独(ひとり)でいる時間(とき) (エリーズ・ボールディング)

2005-06-22 15:41:08 | その他
私は、幼い頃、いつも孤独(ひとり)ぼっちで遊んでいた。その頃、だれから邪魔されることなく空想の世界に漂っていた。
その中で、わたしという人間は創られたのだ。
春の日のかげろうのゆらめき、夏の日のこぼれ陽の散乱、雨あがりの水たまりの油滴のひろがりのうつくしさ。

人間の成長にはひとりでいる時間の大切さを強調した作品です。

自由であること。内へ向かうこと。自分自身を発見すること。
そのためには、ひとりでいる時間をぬきにしては考えられない。
孤独でいる時にしか起こらないある種の成長があるのではなかろうか。
子供たちに、豊かで、奥深く、大きな世界の存在に気付かせるために、是非一読を!

BY:荒刈人

封殺鬼シリーズ 鬼族狩り(他)  (霜島ケイ)

2005-06-22 13:42:48 | 小説
時空を越えて、現代に生きる”鬼”を描く 怪奇幻想ワールド!!

安倍陰陽道の闇の部分を受け継いできた『本家』と晴明によって使役鬼となった酒呑童子と雷電のお話。

千年もの時を生き続けてきたわりに、とても人間くさい鬼”酒呑童子”こと戸倉聖と冷静沈着な美貌の鬼"雷電”こと志島弓生。彼らと 彼らをとりまく人々とのやり取りがおもしろい。

こんな鬼なら、一度会ってみたいかも…ね。

BY:未久

炎の蜃気楼(ミラージュ)シリーズ  (桑原水菜)

2005-06-22 13:30:27 | 小説
う~ん ミラージュの魅力っていったら やっぱ、”調伏シーン”かな?あと高耶&直江もね。

四百年の時を経て現代に蘇った戦国時代の怨将相手に上杉の夜叉衆達が挑む数々のバトルシーンに読む方も思わず力が入っちゃうかも…。

上杉、武田、伊達、北条、織田など 次々と登場してくる歴史上の人物達、実在の人物と対比させて読んでみるのも また一興。

BY:滝瀬未久

らせん RASEN  (鈴木光司)

2005-06-22 08:50:13 | 小説
『リング』の続編

荒唐無稽なストーリーではあるけれども、医学的なところにリアリティが感じられ、なかなか面白い展開になっている。
最近、暗号解読を使用したストーリーを読んでいなかったので、久しぶりに知的パズルをしたような味わいがある。
一晩で一気に読んでしまった程、ぐいぐい人を惹きつける魅力ある作品に仕上がっていると思う。

「見ると一週間後に必ず死ぬ」というビデオ…あなたは見る勇気がありますか?

BY:みやびちと

スキップ (北村薫)

2005-06-22 08:34:00 | 小説
17才の心が42才の自分の体に入ってしまった少女のお話。

読みながら正直言って非常に怖かった。もちろん語られるストーリーそのものが怖いのでなく、もしも17才の自分が、現在の自分の体に入ったら…と思うと怖いのである。
そして、今、17才だった時の自分の若々しい感性はすでに遥かかなたに去ってしまっている、という事実にもまた怖さを感じるのだ。

今まで他人の体と心をチェンジするというストーリーはよくあったが、この作品のように、SFではなく自分の老いた体に自分の心が入るというストーリーは珍しいのではないだろうか?(ここで、疑問なのだが、老いた心は果たして若い心にはいったのか?作品中には、語られていないが知りたいところである。)
42才の自分が高校教師だった、という設定がよく出来ていて、17才の心を持った高校教師が高校生に囲まれていろんな出来事にまきこまれていく様子が、何とも言えない透明感のある輝きでもって描かれているように思える。

この作品は40才前後の多くの女性たちにとって、懐かしさと、一種の怖さを感じさせるものかもしれない。現在17才の少女が読んだら、果たしてどういう風に感じるのだろう?

BY:みやびちと

ふたりは ともだち ほか  (アーノルド・ローベル 三木卓 訳)

2005-06-22 08:04:05 | 絵本
ちょっとおとぼけがまくんと やさしいかえるくんの ほのぼのストーリー

<ふたりはともだち>
はるがきて かえるくんは、がまくんを おこしにでかけます。
まだまだねていたいがまくん かえるくんは、あのてこのてで おこします…。
      -はるがきた-他4編

<ふたりはいっしょ>
がまくんは 1日のよていひょうを かきました。
さて、よていひょうどうりに うまくすごせたかな?
      -よていひょう-他4編

<ふたりはいつも>
あついなつのひ がまくんはアイスクリームをかいにいきます。
かえるくんのところへ いそぐがまくん アイスクリームはとけはじめます…。
      -アイスクリーム-他4編

<ふたりはきょうも>
しんゆうのかえるくんが いなくなりました。
  「しんあいなる がまくん
   ぼくは いません。でかけています。
   ひとりきりになりたいのです。」
さて、がまくんは…?
      -ひとりきり-他4編


*お子さんといっしょに どーぞ!


                              BY:滝瀬 未久