補陀落山(ふだらくさん)へ (大路和子) 2005-06-23 18:57:15 | 小説 熊野にあたる海ぎわの町で生まれ育った作者が、自分の血の流れに染みこんだ故郷の山河に伝えられた物語を、自信に引きつけ、宗教の世界(大峰山修行、補陀落山捨身行、那智大滝捨身行)をからめて、独自の物語を綴った作品集である。 熊野灘をひかえた、熊野山河の奥深い世界で展開される物語の悲哀は人間の生そのもののエレジーでもある。 BY:仙人
レモネードを作ろう (ヴァージニア・ユウワー・ウルフ) 2005-06-23 18:43:26 | 児童書 貧しい生活から抜け出すために、大学に行きたい。 でも、大学へ行くためにはお金がいる。 学費集めに、ベビーシッターのアルバイトを始めたラヴォーン。 行った先が、3つ年上の17才で、2人の子持ちのジョリー。 ねとねとで、べとべとの子供たち。不衛生な部屋。 ジョリーの生活は、ラヴォーンよりも貧しかった。 ジョリーと2人の子供たちとの関わりで、反発し、認め合い、影響しあって、変わって行くラヴォーンたち。 シングルマザー、ドラッグ、段ボール・ボーイ、セクハラなどの問題。 一生懸命 日々を過ごしている彼女たち。 福祉、「立ちあがる母親計画」クラス、四角四面な大人たち。 ひとり、ひとりの本音とたてまえ。 私も子育てはしてきたが、ここまで、考えていただろうか? 私の娘は、こんな考え方が出来るのだろうか? 散文詩のような、短い、とても読みやすい文章です。あなたは、レモネードを作れるでしょうか? (この意味は、本文で!) 親子で、ぜひ読んでみてください。 BY:星川
(20世紀の群像)梶山季之 (橋本健午) 2005-06-23 08:40:13 | ノンフィクション 昭和30年代半ばから、週刊誌ブームの先鞭をつけ、「トップ屋」といわれる新造語を創り出した梶山季之のエピソードを交えての活躍ぶり、日常生活の場に現れる人柄を余すところなく語り伝えた著作である。 日常生活の交友関係、社会的な活動の中に、作品のみでは知ることが出来ない作家の姿が浮上する。 「李朝残影」の名著をのこし、死の予感の中にあってもライフワークの朝鮮問題に取り組みながら45歳という年齢で志半ばで逝った作家の無念が伝わってくる。 世上の評価とは違った作家の本質と創作へと突き動かした正義への思いが描かれている。 BY:伊野仙人
人間燦燦(さんさん) (蛭田有一 写真集) 2005-06-23 08:14:26 | その他 20世紀を彩る103人の肖像とメッセージ。 題名の通り、20世紀に各界ご活躍した人たちの生き様思いを、瞬間のことばにのせて表現したメッセージと、個性を感じさせるポートレィトの写真集である。 音楽家あり、市井に生きる伝統芸人あり、学者、政治家、はては、青森恐山の「いたこ」あり。 人間の生き方、その中から学んだことに、じかに触れる感動がある。 人間に対する尽きせぬ興味が湧いてくる。 夜の枕辺に最適の好著です。 BY:伊野仙人