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本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

学校へ行くクスリ (萩尾望都)

2007-11-16 09:17:20 | 漫画家(は行)
(ビッグゴールド 1994年16号掲載)

「イグアナの娘」に同時収録された40ページの短編。


夏休みが終わって、
高校一年の二学期さいしょの登校日。
いつになく目覚めが悪かった。
ダイニングへいくと、
父さんはワープロ、
母さんは電気ジャーになっていた。
・・・という具合に始まる。

自分以外の人間の顔が人間の顔に見えない。
・・・ん~~~~何かどこかで見たぞ~!
あ~~!手塚治虫の「火の鳥」にあったよね~~~。
他にもどこかで見た覚えがあるが、ま、それはどうでもいい。

多感な高校生の心象風景をシュールに表現した作品だ。


・・・で、この作品には直接関係ないのだが、
私も人間の顔をたぶん「そのまま」に見ていないんだろうな~~~って思う。
勿論、ワープロとか電気ジャーに見えているわけではないけどね。

家族の写真などを見ると、
「えぇ~~~~~!?こんな顔してたっけ!!??」って驚くことが結構ある。
思わず、実物の顔をまじまじと眺めてみたりするのだが・・・どうもイマイチ写真と違うような気が・・・写真修正をしてるわけでもないんだけどね~~~。(笑)

家族以外の顔も、「私の目」というフィルターを通して見ているせいか、
実際の姿とは微妙に違っているような気がする。

他の人も多かれ少なかれ、それぞれの「フィルター」を通して実際とは違ったものを見ているのかもしれない。

好意を寄せている人には実際より美しく、
敵意を感じている人には実際より醜く見えているのかもしれない。

・・・というような事を考えていると、
人に少しでもきれいに見られたいと思うなら、内面を磨いて
人から好かれるような人間にならなければいけないんだな~~~って思ったわけなんですよね~~。



午後の日射し (萩尾望都)

2007-11-14 09:10:51 | 漫画家(は行)
(ビッグゴールド 1994年14号掲載)

これは「イグアナの娘」の単行本(小学館発行PFコミックス)に収録されている作品。(だから画像は「イグアナの娘」の表紙になってます)
「イグアナの娘」も、この「午後の日射し」も50ページの短編だ。
長編が上手い作者は短編も非常に上手い。
たぶん最初に考えたストーリーを練りに練って余分なエピソード部分を削っていって描くのだろう。だから、これらの短編はきっと長編にしようと思えば長編でも十分描いていくことの出来る作品になっているように思う。


さて今回取り上げた「午後の日射し」、
中年の夫婦の何気ない会話から始まる。

居間でテレビの前で新聞を読みながら片手にテレビのリモコンを持ってごろりと寝転がっている夫。
妻はそんな夫の後ろで家計簿をつけている様子。
テレビの中では芸能人の離婚会見らしきものをしている。
妻:ねえ あなた。
夫:んー。
妻:16年も夫婦でいて、
さっぱり別れられるものかしら、
ねえ。
夫は妻の顔を見ようともせずにビールを飲みながらつまらなそうに、当然のように答える。
夫:夫婦なんて他人だよ、
結局。

次のページをめくると、
凍りついた妻の表情・・・。
そして妻の心の中・・・。

そのとたん
さあっと世界の色彩がはがれおちた。

ページ全体に広がるどこにでもあるような住宅街の風景。
しかし、そこには誰もいない。
”色彩のはがれおちた世界”なのだ。


導入部分の2ページで、ここまで表現してくれるのかと思うと、嬉しくなる。
倦怠期を迎えた夫婦の話・・・と言ってしまえばそれまでなのだが、
妻の心の揺れを見事に描ききっている。
そしてまた”絵”に関しては、
”中年”と言われる年代をリアルに表現しているのだ。

夫の頬のたるみ、脂ぎった吹き出物のある顔、頭頂部から白髪が増えつつある頭。前頭部の髪は後退しつつある。体はでっぷりと所謂”中年太り”
妻は二重あごになりつつある顔。体全体も若いころに比べるとかなり肉付きがよくなってきている。
髪型は若いころとあまり変わってないが、それがある意味古臭さも感じられ自分自身が年を取ったことを認めようとしない(したくない)女心を表現している。口元、目の下など時々年を感じてしまう表現になっている。
細かく見ていると、作者がいかに隅々まで計算しつくして描いているかがよくわかる。


不倫願望がほんのちょっぴり顔を覗かすが結局今が一番いい。というラスト。


主人とわたしは他人だけど、
いちばん近い他人だわねえ。


何気ないどこにでもある光景だが、キラリと光る小品だ。

宗像教授異考録 第三集 (星野之宣)

2007-10-12 12:24:49 | 漫画家(は行)
(2006年発行)

この表紙の宗像教授の鬼気迫る形相!!
いいですね~~~♪
惚れ惚れしてしまいます。

今回も宗像教授はカッコよくて、渋くて、いい男♪
かなづちで泳げなくて女性(忌部)に助けられるのも可愛い!
そして、その後寒いと言う忌部にコートを与えて、
「これで貸し借りなしだぞ」
なんてセリフを言う教授もとっても可愛い!
まあ、要するに何をしても教授は可愛いのです♪(笑)

教授はいつも同じ服、同じコートを着ているのかと思ったけど違うんですね。
「人穴」では、助けの合図のために服を燃やしているし、
「鬼の来た道」では、コートがビリビリに破けてしまってるし、
「神在月」では、コートと帽子は横月さんが持っててくれたから大丈夫だったけど、木の下敷きになった時にたぶん背広はかなり痛んだのではないかと・・・。
こういう風に見ていくと結構教授の服はすぐにボロボロになってるみたいだから、たぶん同じような背広やコートをいっぱい持っているのでしょうね。
この事に気がついて、連想したのが「パタリロ!」(魔夜峰央)
パタリロもいつも同じ服みたいだけど実は同じようで微妙に違う服をいっぱい持ってるんですよね。



宗像教授とパタリロが似たもの同士だったなんてちょっと面白い。(笑)


宗像教授伝奇考 (星野之宣)

2007-10-11 19:02:00 | 漫画家(は行)
宗像教授・・・格好いい!!・・・と言うと、たぶん子供達に「お母さん好みのハゲだもんね」・・・と言われそうだが、ハゲだから好きなのではなくて、好きなのがたまたま「ハゲ」だというだけなのです。
三つ揃いに黒いコート(ああいうのって何て言うんだっけ?)帽子にステッキ、そして鼻の下にヒゲをたくわえている。体型も大きくて、いかつい顔。
・・・もう最高!!モロ私の好みのタイプです。もちろん、性格も私好み。頭が良くて、冷静沈着。行動力もある。いう事ないですね。

ストーリーは流石、星野之宣!豊富な知識量に奇想天外な解釈を加えて、面白い読み物にしている。
専門家に言わせると、「学会に発表するとかなりつっこまれますよ」てな事になるんでしょうけど、つまらない真実よりもよく出来た嘘の方が面白いんですから、これでいいんですよね。

宗像教授の帽子の下には勿論、毛はありません。(笑)
禿げた為、毛がないのか、あるけど、剃っているのか、それは判りませんが、男は髪の毛があってもなくても構わないのです。
バーコードにするぐらいなら、思い切って剃ってしまった方が格好いいと思うのですが、どうでしょう?
アップにしても結構いい男なんだけど、似顔絵を敢えて全身にしたのは、トレードマークともいえる、この姿がとっても素敵だからです。

頭が良くて、深い考察力、洞察力があり、優しいし、食べるのが好きで、もぐもぐ何かを食べているところなんて可愛くて最高!性格も、ちょっと天然っぽいところもあったりして、言う事なし!っていう感じ。
とにかく、一言で言えば渋くて素敵な大人の男・・・でしょうか?

山へ行く (萩尾望都)

2007-10-09 12:41:12 | 漫画家(は行)
(2007年発行)

この本を読んでの最初の感想は・・・
やっぱり萩尾望都はすごい!大御所中の大御所だね・・・。
っていう感じだった。

これに収録されている「山へ行く」は雑誌掲載時に本屋で立ち読みしていたのだが、その時の感想は、
良質の演劇を観たっていう感じだった。

「山へ行く」のあらすじは、一言で言うと、主人公が山へ行きたかったのに行けなかったという話だ。(笑)
この「山」っていうのは別に「海」でも「川」でも「湖」でもいいのだと思う。
いや、自分の部屋の中でひとり好きな音楽を聴くのでも好きな本を読むのでもいいのだと思う。
<日常生活からの脱却>が出来ればいいのだ。
ああ、そういえば、この本のサブタイトルは「シリーズ ここではないどこか」だった。
その通りなのだ。
ここではないどこかに行きたかったのだ。
それなのに、いろんな日常の出来事に煩わされて結局「山へ」行けない。

多くの人間はたまには日常の生活から脱却して、自分ひとりだけの落ち着いた空間に浸ってみたい・・・と思っているのではなかろうか?
そういう<想い>がここで表現されているように思える。

家族内の何気ない一コマ。
みんなそれぞれバラバラに好き勝手しゃべっていながらそれはそれで何となく会話が通じている状態。
普通の家族の普通の朝の光景・・・これを見事に表現するっていうのは結構難しいと思うのよね。
何気なさをさらりと描いてるけど、こういうところ、かなりスゴイです。

・・・で、ちょっと気になったのが<手袋>。
手袋を無くしてつぶやく生方。
「今日はもう・・・やめようかな・・・
山に行くの・・・
手袋もないし・・・」

手袋がなければ行けないような山ではないのです。
その証拠に次のページでは、さっき自分が思ったことを忘れたように、
「もう山へ向かう道だ・・・
あと少しだ
頂上へ着いてもちょっとしかいられないだろうけど・・・・・・」
なんて事を言ってるのだ。

次の話「宇宙船運転免許証」では<手袋>が重要な小物として使われている。

そういえば、このシリーズではないけれど「完全犯罪」でも<緑色の手袋>は非常に重要な小物だった。
ただ単に手袋を小物として使ったのかもしれないけど、何か作者の秘められた意図があるのかな~?ってフト思った訳です。


「メッセージ」で登場する少女。
まるで「ポーの一族」のメリーベルのような髪と衣装。
でもね・・・最近の絵ではどうしてもあの頃の絵の雰囲気は出ないんですよね。
まあ、それは仕方ないんですけどね。

家族に嫌われていると思っている少女が首吊り自殺をしようとしてひも?が千切れて地面に倒れてるところにやってきた男性。彼は言う。
「あなたを愛しています
あなたはすばらしいひとです・・・」
何度も何度も「あなたを愛しています」
と言う見知らぬ黒いマントの男性。
ラスト・・・少女は思う。
わたしこれから
眠れない夜はあなたのことを思い出すわ
そしてあなたのメッセージをだきしめるわ
ありがとう

生きる事に絶望した時に・・・こういうメッセージを貰えるといいんだけどね・・・。




「メッセージⅡ 貴婦人」では、同じ男性が同じような内容の事を<貴婦人>に語りかける。
その貴婦人は神を信仰していて自分もみんなに親切にしようと思っている。
「わたくしみなさまに親切にしてさしあげたいの
そう考えるとなぜか涙がこぼれますわ
たくさんの愛をさしあげたいの」

ところが、男性の右手が青い手だとわかった途端、態度を一変する。
「あなたは神の罰を受けているのではなくて?
その手は罪の証なのではなくて?」
・・・で、ラスト、黒いマントの男性を追い出してつぶやく貴婦人。
「怖かったわ」
同じページ左半分には、
男性は一人高い岩?の上で顔を手で覆ってしゃがみこんでいる光景。

こういう貴婦人のような人って多いと思うのよね。
自分は正しい。自分は優しい。自分はなんていい人なんだろう!・・・って信じている人。
でも、それは単なる自己満足でしかないのだ。
この貴婦人も、黒マントの男性に対して実に残酷なことを言い、非情にも追い出してしまったではないか。
貴婦人のセリフ「怖かったわ」・・・は、右手が普通ではない男性が怖かったというだけの意味なら単にそれだけの浅い人間。
もし、ここで貴婦人が自分の偽善に自分で気が付いてそういう自分自身が「怖い」と言ったのなら・・・実に深いんだが、果たして・・・?


「柳の木」では定点にいるものがいて、それは変化しないのに周囲が変化するという手法。
こういう手法で描かれたものは他にもあると思う。
今、すぐに思い出せるのは「宵闇通りのブン」(高橋葉介)の「パパを待つ」。
こういう手法は演劇的な感じがするから、もしかすると演劇にこういうのがあるのかもしれない。
・・・で、ここでは柳の木の生長と少年の成長、それをず~~っと見守る女性。
ラストがいいですね。余韻を感じます。

イグアナの娘 (萩尾望都)

2007-09-07 14:06:24 | 漫画家(は行)
(プチフラワー 1991年11月号掲載)

これはドラマにもなったと思うがそちらは観ていない。



カバー折り返し部分の説明文より・・・
生まれてきたのは、イグアナの姿をした女の子!!
お互いに愛したくても愛せない母親と長女の葛藤を、シュールな心象描写で浮き彫りにし、大反響を呼んだ



実際の姿ではない姿で表現するという手法は大島弓子の「綿の国星」などでも使われていて、それほど目新しいものではないかもしれない。
しかし・・・実際は可愛い女の子を「イグアナ」の姿で描く!!
それだけでかなり”衝撃的”である。
しかも内容は「母と娘の葛藤」!!

作者は親子の葛藤などを描くのが非常に上手い人である。
娘の姿をわざわざ「イグアナ」として描かなくても母娘の葛藤を表現出来た筈である。
それなのに、何故わざわざ敢えて「イグアナ」にしたのか?
ただ単に奇をてらったわけではないだろう。

「イグアナ」の姿にすることによって、母子の葛藤という禍々しいものを一種「メルヘンチックなオブラート的なもの」にくるんでいるのかもしれない。

直接的に訴えないことによって、読者がこの話を<第三者の目>で捉えることが出来、
それは逆に内面からじわ~~っと母娘の哀しさをより切実に感じるような演出をしているのかもしれない。



お互いに愛したいけど愛せない
なんて哀しいことだろう!!



大学卒業と同時に結婚し、実家から離れた所で暮らし始めたリカは思う。
しあわせって 愛する人と一緒にいること・・・・・・
こんなに心が満たされて・・・・・・
こわいくらい…
リカは母親と離れて初めて心から幸せを感じたのだ。

その後母親が急死して実家に帰る途中、
ホッとして、ちっとも悲しくない自分にショックを受ける。
そして・・・
母の死に顔を見て自分とそっくりな顔・・・つまり「イグアナ」だったことに驚愕する。

母の枕辺で夢を見るリカ。
夢の中で母もまたイグアナだった。
そして母の哀しみを理解したリカは、そこで初めて涙を流すのだ。



・・・で、普通なら次のページからは
「イグアナ」ではなくて「人間」として表現しそうなものだが作者は尚もリカを「イグアナ」として描く。



リカは愛する夫や息子と共に幸せそうに散歩している。
彼女は思う。
母の枕辺で夢を見たときなにかが浄化されたのだ
不思議だけど・・・・・・
あたしもまた苦しかった
母に好かれたくて
・・・・・・でも嫌われて・・・
母を愛したくて
・・・・・・でも
愛せなくて・・・・・・
でも もういい
あたしは夢でガラパゴス諸島へ行って母に会った
あたしは 涙と一緒に
あたしの苦しみを流した

どこかに
母の涙が凝っている



最後のコマは遠景の三人の人影だがここで初めてリカは「人間」として描かれている。



しかし・・・母の涙はどこで凝っているのだろうか??
リカの心の片隅で?
それともリカたち家族が幸せに散歩している足元に・・・??
その<母の涙>もいつかは流されていくのだろうか?



そうであって欲しい・・・と思う。


極楽りんご (林正之)

2007-07-26 09:15:19 | 漫画家(は行)
(1巻は平成5年発行)

これは長女の買ってきた漫画。
私とは随分シュミが違います。(笑)
先日、たまたまこれが目に入って読んでると、それを見た長女が一言。。。
「お母さんがそれを読むとは思わなかった!」
・・・私もそう思う。。。

たま~~~に、暇な時、こういうのを読むのもいいものです。
絵自体は結構綺麗な線だし、話も訳がわからない面白さがあるし・・・ね。

邪眼は月輪に飛ぶ (藤田和日郎)

2007-07-12 09:04:16 | 漫画家(は行)
(2007年5月2日発行)

この人の漫画を読むのは実はこれが初めてなんです。
「うしおととら」とか「からくりサーカス」とか、面白いとは聞いていたのだけど、長すぎるんですよね。
全巻一気購入はお金にも置き場所にも困る。
図書館にでもあれば嬉しいのだが、いつも利用している図書館には置いてないし。。。

・・・で、この作品。
全1巻!!
いいですね~♪(笑)
即、買いましたよ。

パラパラっと見ての第一印象は・・・グロい。。。
グロいのは嫌いじゃないけどね、出来れば清水玲子のようなグロさの方が好きなんです。
でもまあ、こういうのも悪くはない。

「むかし
むかし……」

って、昔話を語ってるという感じでこの話は始まる。
ど~して、そういう風にしたのかな~?って考えた。
時代はほぼ現代だし、
ラストで、これを語ってる人物が誰だかわかるのだけど、
こういう構成にしたのは何か理由があるはずだ。

昔話・・・あ!輪(りん)は智恵子の養女。
杣口 鵜平 (そまぐち うへい)は、智恵子の元夫。

昔話では、おじいさんとおばあさんには子供がなくて、血のつながりのない子を育てるパターンが多い。
「ももたろう」とか「かぐやひめ」なんかはそうだよね。
それを考えると輪はおじいさん(鵜平)とおばあさん(智恵子)の血のつながりのない子供。
そして、鬼(ミネルヴァ)を退治に出かける。
輪はようするに「ももたろう」的存在と言えるのかもしれない。
では、犬、雉、猿は誰か?
犬は当然、マイケル・リード。
鵜平のいなくなった犬の代わりになってやるって自分から言ってるもんね。
雉は空を飛ぶということで、元アメリカ空軍アクロバットチーム所属パイロットだったケビンかな?
鵜平の仮面がくちばし風に見えないこともないから鵜平を雉とみなすことも出来るんだけどね。
いや、あれは鼻か?じゃあ、天狗っていう感じか?
最後、鵜平もケビンも飛ぶからどちらも雉だと考えてもいいのかもしれない。
・・・とすると、猿がいなくなるんだけどね。
まあ、その辺の所は完璧に「ももたろう」と一緒ではなければならないわけでもないし、
鵜平は猿とみてもいいし・・・。(何となく、猿っぽい?)

それにしても話は変わるけどケビンの車がいいですね~。
フェラーリですよ。
フェラーリの何かな~?F430スパイダーにちょっと似てるけど、いろいろと違うしね。
詳しい人なら一目見て車種が何かわかるんでしょうね。
ケビンって、アメリカから日本に来るときにわざわざフェラーリを持って来たのかな~?
それってミネルヴァ退治に必要だと最初から思ってたわけでもないと思うんだけどね。(笑)
結局ミネルヴァ退治に役にたったんだけどさ、ぐちゃぐちゃに壊しちゃって、ああ、勿体無い~~!

どうも、本筋には関係のない所ばかり気になってしまうという変な癖が出てしまったけど、
全1巻で、きちんと話としてまとまってるし、主要登場人物たちのそれぞれの過去や現在の想いも表現されている。
ミネルヴァが一体どういうものだったのかは描かれていないが、それは読者がそれぞれに考えればいいものだと思う。
何巻も続く作品だと、懇切丁寧に何もかも説明してしまう作品が多いが、全1巻で、細部は読む者の想像力にまかせるという作品があってもいいと思う。



<ラスト、輪のセリフより>
人間が、動物たちの
……いえ、
この世界にとっての
「邪眼」にならないよう……
あたしは祈っています。

9つの夜の扉 (波津彬子)

2007-07-08 10:09:36 | 漫画家(は行)
(平成9年発行)

9つの短編が収録されている。
そのうち5本は「男同士の恋愛」がコンセプトである雑誌に載ったもの。
他の作品も似たような雰囲気ではあるけどね。

でもまあ、この人の作品はハードなヤオイ系ではないので安心して読めますね。
憂いを帯びた上品な切れ長の目の男性・・・いいですね~。
現実にはこういうタイプはいませんね。

夢の世界にのみ存在する者っていうことで、
時たま”夜の扉”を開けては現実の世界を忘れ暫し彼らの夢の世界に浸りたいと思うのです。

雨柳堂夢咄 ・ 其ノ十一 (波津彬子)

2007-07-07 01:03:47 | 漫画家(は行)
(2003年~2005年 眠れぬ夜の奇妙な話掲載)

この作品は「骨董不思議因縁譚」(アンティーク・ロマン)というらしい。
成る程、確かにその通りだ。

”気”を宿した骨董が、迷える者たちを優しく導く話を描いている。

今回の話もまたどれも温かく包み込んでくれるようなものばかりだ。

一話目の「秋の鈴音」は六歳で両親を亡くした鈴音が引き取られた遠い縁者の大おじさまとの話。
頑固で恐いだけの大おじさまだと思っていたら、実は・・・
という話で、まあ、取り立てて新しいテーマではないがそれでもほろりとさせられる作品に仕上がっている所がいい。
作品全体に漂う上品で優しい雰囲気がいいのだろう。



8ページの短編なのだが「銀の台・金の盞」に登場する人形がいい。
気位が高くてわがままで偉そうな人形なのだが、表情が豊かで実にいい。
ツンとした表情、ちょっと寂しい表情、泣き顔、照れながら本心をぽろりと言う時の表情・・・
どれも非常に良い表情だ。


月の出をまって (波津彬子)

2007-07-06 09:01:04 | 漫画家(は行)
少女漫画って「夢」「憧れ」「非現実世界」といった要素を持っているものが多い。
・・・と私は思っている。

暫しの間、現実逃避をさせてくれる「少女漫画」は好きだ。

だから「超大金持ち」とか「超天才」とか「超美形」とか「お貴族さま」などがいっぱーーーい出てくるのは大歓迎なのだ。

これは19世紀末英国を舞台にしてお貴族さまも当然出てくる。

作者が「あとがき」の中で

「あああ  日本の一平民の
わたしにはわからない生活」
「きっと わたしが描くと
四畳半の部屋で こたつに入って
みかんを食べているような
お貴族さまに なってしまうぅ
かんべん してくださーい」


と書いているが、充分雰囲気は出てる・・・と「日本の一平民」である読者の私は思う。
描く方も、読む方も(たいてい)「日本の一平民」だろうから、それでいいのではなかろうか?
ウソでもいいのだ。何となくそういう気になれば・・・。
もし本物のお貴族さまがこれを読んだとしても(お貴族さまが日本の少女漫画を読むのか???)、どういう感想を抱くかは「日本の一平民」である私には全く見当もつかない。(笑)

とにかく少なくとも私のイメージする「19世紀末の英国」・・・っていうムードは裏切っていない漫画には違いない。

異国の花守 (波津彬子)

2007-07-05 08:28:25 | 漫画家(は行)
作者は茶道をなさっているらしい。
そのせいか、”和”の雰囲気をしっとりと違和感なく描いている。
私もしっとりと着物の似合う女性になりたいとちょっとは思うが・・・
実際、着物なんて浴衣程度しか自分で着られないし
茶道もしたことがない。
実は若い頃、姉たちが習いに行ってたので少々興味があったのだが”和菓子”を食べるということを聞いて断念したのだ。
私は”和菓子”は大の苦手なのだ!!(涙)

この作品に出てくるアレックスの様な男性は実に私の好みである。
アメリカ人ではなく英国人というのが、何となく素敵だ!(笑)
しかも父親は伯爵!!!!
顔も良くて性格もいい、そんな男と一緒に"茶道”のお稽古が出来るのなら
苦手な”和菓子”も我慢して、苦手な”正座”も”着物”も・・・ぜ~~~んぶ我慢して、
頑張るんだけどなぁ~~~(笑)

お目にかかれて (波津彬子)

2007-07-04 08:40:49 | 漫画家(は行)
(プチフラワー1985年~1987年掲載)

カバー裏表紙説明文より
アーニー・マクファーソンはベーキング・パウダー会社の社長。
仕事一途の堅物で、
美人秘書のミルドレッドが寄せる想いにも
気づかない野暮な男だ。
そんなアーニーの新しい買い物は、
亡き祖父の思い出が残る古びたビルディング。
だが、そこには数十年も彼を待っていた幽霊がいた!?
グラン・パの幽霊が幸せをプレゼントする表題作ほか、
「パリでいっしょに」「予期せぬ出来事」など全8編を収める
ハイセンス・ラブストーリーズ!


ちょっと昔のちょっと懐かしい古いセピア色のアメリカ映画を観ているような感じの作品。

絵に関しては、頭と身体のバランスが少々気になることもある・・・が、
全体に漂う雰囲気がステキなので、そういう事には目を瞑ろう。
話に関しては、あまりにもご都合主義的、安易に流れすぎる気もしないわけではないが、
ふんわりと温かい気持ちにさせてくれるから、そういう事にも目を瞑ろう。

細かい事をグチャグチャ言ってると、大きな幸せを逃しかねない。

しばしの間、古いアメリカ映画のヒロインになったつもりで
波津彬子ワールドに浸ってみるのも一興かもしれない。


パーフェクト・ジェントルマン (波津彬子)

2007-07-03 10:24:35 | 漫画家(は行)
(1987年~1988年 プチフラワー掲載)

カバー裏表紙の説明文より
コンラッド・ハードウィックにはツキがなかった。
自由が欲しくてウイルフォード財閥を飛び出たものの、
今の身分はしがないライター、ニューヨークに帰ってきたのも
出来のいい従兄弟にカネを借りるためだった。
しかも家に戻ったとたん、
身に覚えのない隠し子騒動がおきている!!
マンハッタンの名門クラブに集う
人間模様を温かく描いた作品



この作者は”日本情緒”のある作品を描かせても上手いが、
こういう感じの”西洋もの”を描いても実に上手い!

現代よりも少し時を戻した感じだけど、
現実には存在しない”時と場所”で起こる”夢のパラダイス”
とでも言えばいいのだろうか?

『有りそうで・・・無い。』
だけど、白々しくもなく妙に生々しくハートに響いてくる。

少女(或いは元少女)の”夢の世界”を
なんだか優しくて懐かしくて淡い郷愁すら感じさせる雰囲気で描き出している。

読んだあと、温かいモノが胸にふんわりと漂ってくる、
そんな作品だ。


水の中の月<冥境青譚抄・二> (波津彬子)

2007-06-29 09:21:57 | 漫画家(は行)
「幽霊宿の主人」の続編。

主人公、秋月青之介の洋装姿も素敵!!
・・・と、また見とれてしまってひとりニヤニヤしている私です。(笑)

「鹿鳴館」とか「舞踏会」とか「子爵さま」「伯爵さま」・・・
華やかで美しくて儚げで・・・
これぞまさしく「少女の見る夢の世界」!!

「(元)少女」だと言われそうだが、まあ、これを読んでいる時ぐらいは暫し「少女」になりきっていたい私です。