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クリントン氏はいかに左傾化してきたか!

2016-06-13 08:15:24 | 政治(国内・海外)
16年前、ニューヨーク州民主党員の前で初の選挙戦の火ぶたを切って落としたヒラリー・クリントン氏は、自分が中道派であることを堂々と宣言しました。

 当時ファーストレディーだったクリントン氏は上院議員選挙への出馬を表明し、「私はニューデモクラットだ」と語りました。夫のビル・クリントン氏はそれまでの約10年間、民主党がよって立つリベラルな位置から党を離れさせ、無党派層の支持を得ようと取り組んでいました。そしてヒラリー氏もその「第三の道」という哲学を売り込んだというわけです。

 ヒラリー氏はその際、「政府が私たちのすべての問題の原因ではないし、解決策だとも思っていない」と述べました。

 ここにきてクリントン氏の演説内容が再び変化しました。だが今回は大統領選に向けてです。国内問題では急速に変化する党や、意外にしぶとい対抗馬となったバーニー・サンダース上委員議員に引きずられる格好で、クリントン氏は左寄りに動いたのです。自身の立場を覆すこともあれば、がらりとトーンを変えることもあったわけです。

 クリントン氏は長年、同性婚に反対してきましたが、その姿勢を取り下げました。また、2002年にイラクへの武力行使に賛成票を投じたことを詫たほか、地域や保護者で作るチャータースクールの支持から手を引き、さらには「大量収監の時代」を終わらせるよう訴えました。これは1994年にビル氏が制定した犯罪法を非難するものです。

 さらには、サンダース氏からの激しい圧力を受け、カナダとテキサス州を結ぶ原油パイプライン「キーストーンXL」に反対姿勢を示しました。国務長官在任中には承認に傾いていたにもかかわらずです。環太平洋経済連携協定(TPP)にも反対しました。クリントン氏は以前、TPPが世界の通商ルールの「標準基準(ゴールド・スタンダード)」になると発言していたものの、労働組合と民主党員の大部分やサンダース氏はTPPに反対していました。

 社会保障制度に関しても、クリントン氏は支払い能力拡充のため超党派による譲歩が必要だという長年の持論を、ほとんどかなぐり捨てました。そして給付金を削減しないというリベラル派の公約を受け入れたのです。

 2008年の敗北から8年後の今、クリントン氏は大統領選の候補指名に必要な代議員数を獲得しました。これは米国の主要政党で初めて女性の大統領候補が誕生した歴史的な快挙です。

 今秋の本選では共和党候補として指名が確実なドナルド・トランプ氏と対決することになりますが、少しリベラルに傾いたと見られることは無党派や労働者階級の有権者を取り込む上であまり役立たないかもしれません。さらに、クリントン氏の見解の変化は、同氏は信頼できないという一部有権者の見方をさらに強めることになりかねません。サンダース氏の支持者の多くがそうであったようにです。

 ラスベガス在住のビル・レッシュさん(63)は「正直言って、彼女は本物だとは思わない」と話す。サンダース氏の代議員でもあるレッシュさんは「彼女は当選するために必要なことなら何だってやる」と言います。

リベラル色強める国民と民主党

 クリントン陣営内外の民主党員は、彼女の見解の変化は新たな事実を反映したもので、中核となる理念を重視しながら状況に応じて調整しようというクリントン氏の意志を示していると指摘しています。 

 クリントン氏を支持するスーパーPAC(政治活動委員会)「プライオリティーズUSA」の世論調査員ジェフ・ガリン氏は「2008年以降、世界はとてつもなく変わった。経済も大きく変わった。8年後も同じ思考でいれば常識外れになる」と話しました。

 ただ、クリントン氏はサンダース氏ほど左寄りにはなっていません。サンダース氏は社会福祉制度の給付金を一律で増額することを主張しています。一方、クリントン氏の増額は目標が絞られています。特に同性婚問題で見られるように、国民は全体的にリベラルになりました。

 クリントン陣営で政策面の参謀長を務めるジェイク・サリバン氏は環境の変化に合わせて民主党が全体的に変化しているが、なかでもクリントン氏の変化が目立つと話します。例えば、銃規制を支持する姿勢は以前よりもかなり強くなっています。サリバン氏によると、これは銃乱射事件の多発を受けたものです。 

 トランプ氏は指名争いの中で自身の立場を何度も変化させてきました。彼もTPPに反対しているほか、社会保障制度には手を付けるべきではないと主張しています。

 クリントン氏にとって、当面の課題は、激しい指名争いを繰り広げた後の民主党の結束です。長かったこの戦いの中でクリントン氏が立ち位置を調整してきたものの中に、社会保障制度に対する見解があります。これは、民主党が左傾化するのを受けて変わってきたクリントン氏の見解の中で最も明白な例です。

超党派の委員会「最も賢明」 

 ベビーブーマー世代が退職すれば、政府が支払う給付金は税収によって賄われる分を超えることになります。現在の予測では、2034年までに社会保障制度の準備金は底をつき、政府は約束した金額の4分の3程度しか支払うことができなくなります。

 民主・共和両党の中道派は、いずれ両党が増税と給付金の削減を組み合わせた対策で合意するとみていました。そうすれば支払い能力が確保されるうえ、超党派による合意であれば両党とも政治的な大義名分が得られるからです。

 しかし、左派は別の見方をしていました。活動家らは、ここに現実の危機は存在しておらず、民主党は自らを恐怖で駆り立てているとして、すでに不十分な制度をさらに縮小すべきではないと主張しました。

 クリントン氏は長年、中道派と足並みをそろえてきました。上院議員選への出馬を表明した際、同氏は社会保障制度を財政責任という言葉で語りました。2008年の大統領選では、超党派による政策委員会を支持したほか、増税や退職年齢の引き上げなどで制度の延命を図る1983年の取り決めに言及。討論会で「レーガン大統領とオニール下院議長が委員会を創設した」とし、「あれは最適かつ最も賢明な方法だった。共和党と民主党を一緒に集められるからだ。私がやるのはそれだ」と述べています。

 クリントン氏が具体的に挙げた制限は、現在給付を受けている人の金額は削減しないことと、中間層には増税しないことだけでした。その後、大半の民主党員と同様に、社会保障制度の民営化に反対しました。民営化という政策は2005年にジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)が試みましたが、実現しなかったものです。(ソースWSJ)

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