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英国、EU離脱後に待ち受ける難題!

2016-06-20 15:03:31 | 政治(国内・海外)
あと2週間もしないうちに英国の政治、憲法、外交、経済は大混乱に陥るかもしれません。英国が6月23日の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めた場合のその後の計画を策定しなければならない政策担当者らは少なくともそう懸念しています。離脱賛成派が勢いを増しつつある明らかな兆候が広がる中、こうした懸念が現実味を帯びてきました。10日に発表されたある世論調査では、離脱賛成派が反対派を6ポイント上回りました。賛成派の投票率の上昇が見込まれることを鑑みると、この差は10ポイントに拡大します。ただ、これ以外の世論調査では依然、離脱派と残留派が拮抗(きっこう)しています。投票で「ブレグジット(英国のEU離脱)」が決まれば、英国は数々の大きな難題に直面することでしょう。

政治の問題

 まず、政治の問題があります。キャメロン首相は自ら率いるEU残留派が負けても首相の地位にとどまる意向を示していますが、すぐに辞任するとの予想が大勢です。同首相の実績を猛烈に攻撃してきたEU離脱支持派がEUとの離脱交渉を同首相に任せるとは思えません。それにいずれにせよキャメロン首相はその時点で信用を失ってしまっているでしょう。最近までは、ブレグジット支持派が勝った場合、その中心的存在であるボリス・ジョンソン前市長がすぐに次期首相に就任する可能性が濃厚でした。しかし、前市長もここ最近で人気が落ち、首相にふさわしくないとの声が周囲から上がっています。一部の有力保守党議員は党首選で前市長が最終的に負けるとさえ確信しています。党首選で複数の候補が争うことになれば、秋口まで政府のトップが決まらないという状態になりかねないのです。

憲法上の問題

 EU離脱が決まれば憲法上の問題も生じるでしょう。新政権は離脱後のEUとの関係をどうすべきか判断を迫られることになります。これは実質的に二者択一です。一つ目の選択肢は、できる限り現在の関係を維持し(いわゆるノルウェー型)、二国間貿易協定(FTA)締結交渉のための時間を稼ぐこと。二つ目は、EUと決別し、世界貿易機関(WTO)規則だけに頼りつつ、新たな貿易関係の確立を目指すことです。

 大半の議員は一つ目の選択肢を支持しそうです。議員の間ではブレグジット反対派が圧倒的に多く、しかも一つ目の方が経済の混乱は最小限に抑えられると考えられるからです。だがこちらの選択肢を選べば、ブレグジット運動を主導する多くの人たちが声高に反対しているEU内からの移民の無制限受け入れ、EUへの資金拠出、EU規則の順守といった義務はこれからも消えません。これは議会内の対立を生み、早期解散・総選挙につながる可能性があります。

外交上の問題

 混乱は政治や憲法の面だけにとどまらず、正式なEU脱退交渉の開始を先延ばしにしようとした場合は特に外交まで及びかねないと政府関係者らは懸念しています。あるEU関係者によると、EU側としては、新たなEU予算の交渉が始まる2018年初めまでに脱退協定を締結したい考えです。つまり、英国は早ければ今月末のEU理事会で、EUからの脱退を定めたEU条約第50条に準じて正式に脱退の意向を通告し、2年間にわたる交渉をスタートさせる必要があるということです。

 ただ、離脱支持派の中には、非公式な形であれ脱退時の条件で合意に至るまで第50条の発動を遅らせるべきだと主張する向きもあります。そうすれば、交渉でEUを優位に立たせることは回避できます。実際、ブレグジット派の主力メンバーの一人、ゴーブ司法相は、他のEU諸国から譲歩を引き出すため、現在の加盟国としての権利を利用してEU貿易を妨害することまで提案しています。

 一方、英国とEUの外交官らはこうした主張について考えが甘いとみています。実際には、英国が第50条を発動するまでEUは一切の交渉を拒否するでしょう。英国側も、脱退協定が成立するまで移民の受け入れやEU予算への拠出をやめることはできないと思われます。英国が一方的にこうした義務を一つでも放棄すれば、EUには英国を追放する明らかな理由ができます。そうなると、EUからの助成金やEU加盟国としての地位に依存している英国の経済セクターは即座に問題を抱えることとなります。大規模な英国の金融業界も例外ではありません。

 EUが英国にとって貿易の半分近くを依存し良い関係を築いてきた相手であることを踏まえると、こうしたやり方はいずれにせよあまり得策とは言えません。英国がパートナーから競争相手への転向を決めたあかつきには、EUは新たな脱退国を出さないことを優先事項と考えるでしょう。そうした状況下でEUが脱退後の英国に今よりも良い条件を与えることはほぼあり得ません。つまり、域内での人や物の自由な移動を認める義務を果たさなくても単一市場に自由にアクセスできる、というブレグジット支持派の目標が達成される可能性はほとんどないということです。

 さらに、政治、憲法、外交の混乱が経済にも波及することは確実と思われます。少なくとも不透明感が晴れるまでは覚悟が必要です。英国経済へのショックがどれほど深刻なものになるかは、EU全体への影響の度合いによっても変わってくるでしょう。結局のところ、英国の国民投票は欧州各国で政治的不安定性が高まる中で行われるもので、それだけを切り離して考えることはできません。

 一部の離脱支持派でさえ、英国がEUを離れれば海外への混乱波及が予想されることを認めています。実際、ゴーブ司法相は、ブレグジットによって欧州がユーロやEUから「解放」されることへの期待と確信を表明しています。英国だけでなく多くの欧州諸国の政策担当者らが、同相の見方は正しいのではないかと不安を抱いています。(ソースWSJ)

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