人間の歯は、固いエナメル質の表面と、その下の象牙質の部分からなっています。哺乳類や爬虫類、魚類などでも基本的な構造は似ていますが、歯のでき方や組成に違いがあります。進化の過程でどうして差異が生じたのか謎なのです。
東北大学の原子分子材料科学高等研究機構などの研究グループが、サメの歯の原子構造を電子顕微鏡で観察するのに成功したと発表がありました。サメの歯はあらゆる生物でも最も固いエナメル質を持っています。電子顕微鏡で見ると柱状の結晶(フッ化アパタイト)が束になってエナメル質を構成しているのです。結晶の真ん中には、化学結合力が強いフッ素原子が鎮座して結晶を形作る他の原子をガッチリまとめていたのです。
このため強度が高いだけでなく、酸などの作用によって結晶からカルシウム原子が抜け出すのを防いでいるのです。人間の歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムの一種)には、フッ素ほどの強力なまとめ役がないのです。フッ素原子は軽いため電子線で捉えにくく、従来の電子顕微鏡では見づらかったのです。「超高分解能の電子顕微鏡とスーパーコンピューターを使った計算を組み合わせて原子の位置を確かめられた」と言います。
なぜサメの歯にフッ素が潤沢にあるのか。サメは海水中のフッ素を取り込んで歯の表面で濃縮させていると考えられるのですが、その仕組みは分かっていない」と共同研究者の高野東京医科歯科大教授は話しています。フッ素アパタイトの歯は哺乳類などでは見られません。またすべてのサメがフッ素の多い高強度の歯を持つわけでもありません。
エナメル質のでき方も違っています。人間の歯は象牙質の土台の上に、口の中の粘膜細胞の仲間が乗っかって固い結晶を形成します。サメでは逆に象牙質の土台を作った細胞がエナメル質の部分も形成するのです。上から作るか下から作るかの違いです。
研究グループの悩みは、研究に適した新鮮なサメの歯がなかなか手に入らないことです。今回の解析に用いたのは、フカヒレの加工販売を手掛ける福寿水産から東日本大地震の直前に提供された試料だったのです。
震災で工場が甚大な被害を受けて生産中止に追い込まれていたのですが、1月から再開できました。「提供された歯で研究成果を挙げられたと改めて感謝したい」と高野教授は話しています。
東北大学の原子分子材料科学高等研究機構などの研究グループが、サメの歯の原子構造を電子顕微鏡で観察するのに成功したと発表がありました。サメの歯はあらゆる生物でも最も固いエナメル質を持っています。電子顕微鏡で見ると柱状の結晶(フッ化アパタイト)が束になってエナメル質を構成しているのです。結晶の真ん中には、化学結合力が強いフッ素原子が鎮座して結晶を形作る他の原子をガッチリまとめていたのです。
このため強度が高いだけでなく、酸などの作用によって結晶からカルシウム原子が抜け出すのを防いでいるのです。人間の歯の主成分であるハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウムの一種)には、フッ素ほどの強力なまとめ役がないのです。フッ素原子は軽いため電子線で捉えにくく、従来の電子顕微鏡では見づらかったのです。「超高分解能の電子顕微鏡とスーパーコンピューターを使った計算を組み合わせて原子の位置を確かめられた」と言います。
なぜサメの歯にフッ素が潤沢にあるのか。サメは海水中のフッ素を取り込んで歯の表面で濃縮させていると考えられるのですが、その仕組みは分かっていない」と共同研究者の高野東京医科歯科大教授は話しています。フッ素アパタイトの歯は哺乳類などでは見られません。またすべてのサメがフッ素の多い高強度の歯を持つわけでもありません。
エナメル質のでき方も違っています。人間の歯は象牙質の土台の上に、口の中の粘膜細胞の仲間が乗っかって固い結晶を形成します。サメでは逆に象牙質の土台を作った細胞がエナメル質の部分も形成するのです。上から作るか下から作るかの違いです。
研究グループの悩みは、研究に適した新鮮なサメの歯がなかなか手に入らないことです。今回の解析に用いたのは、フカヒレの加工販売を手掛ける福寿水産から東日本大地震の直前に提供された試料だったのです。
震災で工場が甚大な被害を受けて生産中止に追い込まれていたのですが、1月から再開できました。「提供された歯で研究成果を挙げられたと改めて感謝したい」と高野教授は話しています。
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