英国の欧州連合(EU)離脱が与える経済的な影響は、三つの不確定要素に左右されます。
まずは、先行き不透明感や資産価格の下落で英国の投資と個人消費が冷え込むかどうか。
二つ目に、英国が貿易と投資に関して欧州を含む他市場へこれまでと同じ程度のアクセスを維持できるか。
そして最後に、英国民投票の結果を受けて欧州の政治的および経済的な分断が進むかです。
エコノミストや財界人らの多くは23日、英国や欧州が経済的な損失を被り、その他の地域へも影響が波及しかねないとの見方で一致しました。重大なリスクがあるとの見方も支配的です。ただ一部では、英国をはじめとする各国政府が賢く対応すれば、短期的なダメージを抑制できると見る向きもいます。
英国はこれから欧州諸国とのさまざまな関係を再構築するための交渉に臨むことになります。コンサルティング会社HISグローバル・インサイトのエコノミスト、ハワード・アーチャー氏は「英国経済にとって今後かなりの期間、先行き不透明感が当たり前のことになるだろう」と述べました。
同氏は「こうした不透明感が続く間、企業は投資に極めて消極的になり、雇用にも慎重になるだろう」としたのです。そのため英国が今年後半にリセッション(景気後退)に陥り、来年は成長が足踏みすると予想します。欧州の貿易相手国の成長にもブレーキがかかると見込んでいます。
エコノミストの大半は、英国がEUから抜けた後、他国との経済的なつながりを従来と同程度に保つことはできないとみています。今回の国民投票の結果には、制限できない移民流入への嫌悪感が大きな要因となりましたが、欧州の単一市場においては自由貿易と人の移動の自由が同等に重要視されています。
資産運用会社マニュライフ・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、ミーガン・グリーン氏は「EU離脱派のキャンペーンがあれだけ移民問題に焦点を当てていたため、EUから抜けても単一市場だけ維持することは意味をなさない」と述べました。
政治的な影響が経済に最も大きな混乱を引き起こす可能性があるとの見方も多い。フランスやオランダなどではEUに批判的な右翼主義者が、それぞれの国でEU離脱の是非を巡る国民投票の実施を呼び掛けています。一方、イングランドとは違ってEU残留が過半数を占めたスコットランドには、英国からの独立を新たな国民投票で問おうとする動きがあります。
グリーン氏は「英国のEU離脱自体は世界経済にとっての災厄ではないが、EUの分裂は厄災となる」とし、「(EU分裂の)可能性が大きいとは言わないが、昨日よりはリスクが高まった」と指摘しました。
財界からは、英国政府がEUからの離脱をどのように進めるのか早期に示すよう求める声が上がっています。国内の政争より、他国との新たな経済関係の明確化を優先することも要請しています。
英国産業連盟(CBI)のキャロリン・フェアバーン事務局長は「喫緊の課題は市場に安心感を与えることだ」とし、「イングランド銀行(中央銀行)と協力しながら国内経済の信頼感と安定を支える英政府の強力かつ冷静なリーダーシップが必要だ」と述べました。
英国商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長代理は「企業が求めているのは、経済の安定を維持するための行動、EU離脱までの行動計画に加え、この歴史的な転換期とその後の経営に関して数多く存在する実践的な、現実世界の疑問への答えだ」と指摘。「政界の反省会ではなく、経済の健全性こそが最優先事項であるべきだ」と呼び掛けました。
欧州の航空・防衛大手エアバス・グループのトム・エンダース最高経営責任者(CEO)は、EUからの離脱を進める過程で「経済的な損害を最小限にとどめることを視野に入れる」よう求めました。エンダースCEOは英国のEU残留を支持していました。「英国は苦しむだろうが、EUや世界全体に比べた自国経済の競争力にいっそう集中するようになるのは確かだろう」との考えも明らかにしました。(ソースWSJ)
まずは、先行き不透明感や資産価格の下落で英国の投資と個人消費が冷え込むかどうか。
二つ目に、英国が貿易と投資に関して欧州を含む他市場へこれまでと同じ程度のアクセスを維持できるか。
そして最後に、英国民投票の結果を受けて欧州の政治的および経済的な分断が進むかです。
エコノミストや財界人らの多くは23日、英国や欧州が経済的な損失を被り、その他の地域へも影響が波及しかねないとの見方で一致しました。重大なリスクがあるとの見方も支配的です。ただ一部では、英国をはじめとする各国政府が賢く対応すれば、短期的なダメージを抑制できると見る向きもいます。
英国はこれから欧州諸国とのさまざまな関係を再構築するための交渉に臨むことになります。コンサルティング会社HISグローバル・インサイトのエコノミスト、ハワード・アーチャー氏は「英国経済にとって今後かなりの期間、先行き不透明感が当たり前のことになるだろう」と述べました。
同氏は「こうした不透明感が続く間、企業は投資に極めて消極的になり、雇用にも慎重になるだろう」としたのです。そのため英国が今年後半にリセッション(景気後退)に陥り、来年は成長が足踏みすると予想します。欧州の貿易相手国の成長にもブレーキがかかると見込んでいます。
エコノミストの大半は、英国がEUから抜けた後、他国との経済的なつながりを従来と同程度に保つことはできないとみています。今回の国民投票の結果には、制限できない移民流入への嫌悪感が大きな要因となりましたが、欧州の単一市場においては自由貿易と人の移動の自由が同等に重要視されています。
資産運用会社マニュライフ・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、ミーガン・グリーン氏は「EU離脱派のキャンペーンがあれだけ移民問題に焦点を当てていたため、EUから抜けても単一市場だけ維持することは意味をなさない」と述べました。
政治的な影響が経済に最も大きな混乱を引き起こす可能性があるとの見方も多い。フランスやオランダなどではEUに批判的な右翼主義者が、それぞれの国でEU離脱の是非を巡る国民投票の実施を呼び掛けています。一方、イングランドとは違ってEU残留が過半数を占めたスコットランドには、英国からの独立を新たな国民投票で問おうとする動きがあります。
グリーン氏は「英国のEU離脱自体は世界経済にとっての災厄ではないが、EUの分裂は厄災となる」とし、「(EU分裂の)可能性が大きいとは言わないが、昨日よりはリスクが高まった」と指摘しました。
財界からは、英国政府がEUからの離脱をどのように進めるのか早期に示すよう求める声が上がっています。国内の政争より、他国との新たな経済関係の明確化を優先することも要請しています。
英国産業連盟(CBI)のキャロリン・フェアバーン事務局長は「喫緊の課題は市場に安心感を与えることだ」とし、「イングランド銀行(中央銀行)と協力しながら国内経済の信頼感と安定を支える英政府の強力かつ冷静なリーダーシップが必要だ」と述べました。
英国商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長代理は「企業が求めているのは、経済の安定を維持するための行動、EU離脱までの行動計画に加え、この歴史的な転換期とその後の経営に関して数多く存在する実践的な、現実世界の疑問への答えだ」と指摘。「政界の反省会ではなく、経済の健全性こそが最優先事項であるべきだ」と呼び掛けました。
欧州の航空・防衛大手エアバス・グループのトム・エンダース最高経営責任者(CEO)は、EUからの離脱を進める過程で「経済的な損害を最小限にとどめることを視野に入れる」よう求めました。エンダースCEOは英国のEU残留を支持していました。「英国は苦しむだろうが、EUや世界全体に比べた自国経済の競争力にいっそう集中するようになるのは確かだろう」との考えも明らかにしました。(ソースWSJ)
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