マックンのメモ日記

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イスラム国の崩壊後に待ち受けている世界!

2016-09-18 19:38:26 | 政治(国内・海外)
2014年7月4日、黒いターバンを巻いた過激派組織「イスラム国」(IS)のアブ・バクル・アル・バグダディ容疑者は、イラク第2の都市モスルで、カリフ(予言者ムハンマドの後継者)を最高指導者とするイスラム国家を樹立すると宣言しました。シリア東部とイラク西部を制圧し、自らカリフと名乗る同容疑者はイスラム教スンニ派の同胞に向かって「尊厳、権力、権利、リーダーシップ」を取り戻すと告げました。

 しかし今や、イスラム国は台頭したのと同じスピードで退潮に転じているように見えるあす。戦闘では一連の敗北を喫し、制圧した都市を一つずつ失っているにもかかわらず、各地でテロ攻撃の頻度を高めています。一時は英国ほどの大きさがあった支配地域は、イラクでもシリアでもこの1年間に縮小の一途をたどり、イラクの要衝ラマディやファルージャ、シリアの古都パルミラやトルコとの国境地帯も失いました。また本部を置くリビア中部の都市シルテからも撤退しつつあります。残る重要拠点であるイラクのモスルとシリアのラッカを失うのも時間の問題です。

 では、イスラム国が崩壊したら何が起きるのかという疑問が持ち上がります。その空白を埋めるのが誰になるかで中東地域の未来が決まるでしょう。地上に残された空白はもちろん、より重要なのは、世界中のジハーディスト(イスラム聖戦主義者)の観念上の間隙(かんげき)をどう埋めるかです。

アルカイダの復活

 2001年9月11日の米同時多発テロから15年たった今、イスラム国崩壊の結果として考えられる可能性の一つは、ライバル関係にある国際テロ組織「アルカイダ」の復活です。イスラム国の残党と同様、アルカイダも存在意義を主張するため、一連の新たなテロを西側諸国などで仕掛けるかもしれません。

 オバマ政権下で国務省テロ対策調整官を務めたダートマス大学のダニエル・ベンジャミン氏は「ISIS(イスラム国)を追い払ったからといってジハーディストが消滅するわけではない」とし、「カリフ制の排除は一定の成果だが、それは終わりの始まりではなく、おそらくは始まりの終わりにすぎない」と指摘しました。

 バグダディ容疑者が世界のイスラム教徒に自身への忠誠を誓うよう求めたとき、他のジハーディストのリーダーや聖職者らは正当性を認めず、その企てが破綻するのは避けられないと警告しました。アルカイダの最高指導者アイマン・ザワヒリ容疑者は中でも最も敵意に満ちた批判を展開した一人です。

「最後のあがき」に警戒

 イスラム国が破竹の勢いだった間はこのような批判をものともしなかったのですが、今日のように劣勢続きでは、イスラム国の理論的な土台が危うくなってきます。パリ政治学院のイスラム専門家、ステファン・ラクロワ氏は「領土支配が2014年のカリフ制宣言の根拠となっていたため、領土を失うことは重大な問題だ」と指摘しました。

 ただ、領土をすべて失ったとしても、イデオロギー集団またはテロ組織としてイスラム国が完全に消えるわけではありません。むしろ存在感を誇示するように本拠地や西側諸国で世間の関心を引く大量虐殺に打って出る可能性があり、テロ対策専門家は「最後のあがき」に警戒を促しています。

顕在化する利害の対立

 またこの2年間、イスラム国に対抗するため、西側の民主主義国家からロシア、イラン、シーア派武装勢力、トルコ、クルド民兵組織、スンニ派の湾岸諸国に至るまで異例とも言える協力体制が構築されてきましたが、イスラム国が弱体化すれば、こうしたあり得ないパートナーの間で利害が対立し始めると考えられます。事実、シリア北部ではイスラム国から最近奪還した領土を巡って、米同盟国で北大西洋条約機構(NATO)に加盟するトルコと、米国が支援するクルド人勢力がすでに衝突しました。

 ヨルダンのジハーディスト研究者、ハッサン・アブ・ハニエ氏は「ISISが直面している挫折はこれまでより多くの問題を生み出す」と指摘。「ISISとの戦いという大義名分で中東全体の衝突や抗議デモが抑えられてきた面があり、ISIS を排除すればあちこちで衝突が再び勃発する。政府に対する改革要求も活発化するだろう」と述べました。

 こうした状況すべてを、ザワヒリ容疑者率いるアルカイダが利用する可能性があります。アルカイダはイスラム国の血なまぐさい攻撃や陰惨なビデオのかげに隠れていましたが、決して手をこまぬいていたわけではなく、同容疑者の下で組織を見直し、より穏健な組織とも手を結ぶなど、現実的な路線への転換を進めてきました。

 ここ数週間、ザワヒリ容疑者はイスラム国に対して一段と激しい非難を浴びせています。同容疑者がネット上に公開した演説では、アルカイダがスンニ派を一致団結させることに注力するのと対照的に、イスラム国は底知れない過激思想をもつ異端者であり、禁断の血を流していると断じました。

 元駐シリア米国大使でシンクタンク中東研究所の上席研究員であるロバート・フォード氏によると「特に印象深いのは(アルカイダの指導者が)イラクでの失敗やつらい経験から多くを学んだことです。シリアでは残忍さが消え、ジハーディスト以外の宗派とも協力している」といい、「彼らの戦術はつかみ所がなく、地元の大きなサポートもあります。こうした組織を封じ込めるのははるかに困難だろう」と指摘しました。

 イエメンや北アフリカにあるアルカイダ関連組織も、イスラム国の衰退に乗じて活動を活発化させることが考えられます。ヨルダンのアナリストで元軍人のマームド・イルダイサト氏は「モスルやラッカをISISから奪還しても、気を緩めることなく、緊張を保ち続けなければならない。油断すれば彼らは必ず復活する」と警告しました。

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