M・吉田のブログ

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バナナ~無間地獄~

2006-07-31 00:06:08 | ピュアでもない日々
皆さんはバナナというパズルゲームをご存知でしょうか。
M・吉田はつい先日プレイしたのですが。

1986年…
ファミコン初期、ディスクシステム誕生年。
ファミコン世代にとっては、最も印象深い時代。

ゼルダの伝説、ドラゴンクエスト、グラディウス、ツインビー、アトランチスの謎、影の伝説、
魔界村、がんばれゴエモン、メトロイド、スーパーチャイニーズ、東海道五十三次、
神龍の謎、ドラえもん、忍者ハットリくん、うる星やつら、グーニーズ、高橋名人の冒険島、
スターソルジャー、ザナック、スパイvsスパイ、マイティボンジャック、キングスナイト、
ソロモンの鍵、バベルの塔、ワルキューレの伝説、アルカノイド、コンボイの謎、
迷宮組曲、スーパーマリオ2、ソンソン、スーパーモンキー大冒険、
ハイドライドスペシャル、メトロクロス、水晶の龍、アルカノイド、たけしの挑戦状…。

まさに群雄割拠と言えるこの時代、
何気なく生み出されたパズルゲーム、それが「バナナ」なのです。



ステージは、たいていブロックで埋め尽くされており、
岩を避けながら掘り進むことで、進んでいきます。
岩やブロックを掘り進むイメージは、大体ディグダグに似ていますね。

ブロックを掘り進みながら、画面内にある 「食べ物」 を全部回収し、
仲間になる女の子を救出し、そして、ゴールに入る。
イメージとしては、ロードランナーが近いですかね。

これが、このゲームの流れです。

チープながらファンシーな(?)BGMをバックに、ステージを解いていく、
いかにもファミコンチックな、ファミコンパズルな、
そんな雰囲気のゲームですよね。


ですがまあ、このゲーム、
恐るべき狂気の難易度を誇るゲームなのです…!



ま、話をちょっと変えまして…。

あなたは「バナナ」というゲーム名を聞いて、
主人公はどんなキャラだと思うでしょうか?


サル?

ゴリラ?

普通はそう思いますよね。



しかしながら、なぜか主人公はモグラ。


「バナナ」という名前からはとても連想できません。



じゃあバナナは何?
バナナを集めるゲームとか、
バナナを取るのが目的のゲームとか、そういうもの?

と疑問に思います。
いや、M・吉田もそう思いましたが。
これがまた違うわけで、



バナナは単にゲームに登場する食べ物のひとつです。



いや、撤回。
単に、というのは語弊がありますね。
バナナを取ると…

・ 爆弾
・ ハシゴ
・ ロープ
・ 岩

という道具が、ランダムで1個手に入ります。
これは、パズルが解けないときに、画面上に上記の道具を追加して、
無理矢理ステージをクリアするという用途に使われます。

なるほど、これは重要なアイテムですね!
ゲームのタイトルにするものかどうかは、別として。


さて、賢明な読者の皆様なら お気づきとは思いますが、
なんでバナナを取ると爆弾が増えるのか。という疑問は当然発生しますよね。
ええ、疑問ですよね。
まさに疑問です。

なぜ、バナナを取ると爆弾が増えるのか!?


しかし、それは世の中にはわからないことの方が多いってもんです。
バナナを取ったら岩が増えたからって、文句は言わないようにしましょう。

魔界塔士SaGaでは、岩だって立派な武器になります。
シャドウゲイトでは、プーロの呪文を使えばロープが伸びます。
ゼルダの伝説では、「爆弾をもっと持ちたいじゃろう」と危険な勧誘をされます。

そう、
頭で考えるんじゃない、心で感じるんだ!



ともあれ、道具がなくてもクリアできる(と思う)ので、
バナナは、必須となるファクターではなく、ピンチの時のヘルプ用という位置づけですけどね。
いやまあ、回収しなくちゃクリアできないので、その意味では必須ですが。



さて、道具で「岩」があると言いましたが、
ゲームを説明するときにも「岩」が有ると言いましたとおり、
「岩」はパズルを構成する重要なファクターとなっております。

このゲームは、主人公のモグラ君を操作して、岩の下を掘り進み、岩を落とすことで、
進路を確保したり、足場を作ったりして、先に進むわけです。

ディグダグのように…とは言いましたが、幸いなことに、
モグラ君は、岩が上から降ってきても潰されません。頑丈ですね。

モグラ君の上に岩が乗っている状態から、右に動くか左に動くか、はたまた下に掘り進むか、
これがパズルを解く上で重要なファクターとなったりします。
(モグラ君が動くと、モグラ君は普通に移動できるが、
 岩はさっきまでモグラ君がいた位置に落下する。)

ヘタに動くと、岩が落ちて進路/退路が断たれてしまうため、
落下後の状態をいかにイメージできるかが、このゲームのキモとなるわけですが。



と、ここまでなら、普通にパズルのルールを考え付くところですが、
ここに「バナナ」というゲームのマジックがあります。

それは救出するべき「女の子」の存在。
ちなみに、女の子は、モグラじゃなくて、人間です。


女の子は、救出をすると、モグラ君の後をついてくるわけなんですが…。



なんと、女の子が落ちてくる岩を支えてくれます。



驚くべきパワーです。
この、女の子が岩を支えてくれてる隙に「食べ物」を回収、というのはパズルを解く常套手段であり、
女の子の重要性を高めてくれてます。

さらにこの女の子、モグラ君の後をついてくる、と書きましたが、
モグラ君が、崖から落下すると、モグラ君の上に飛び降りてきます。
いい根性してます。


さらには、主人公のモグラ君、
ある一定の条件を満たすと、スーパーモグラ君状態に変身します。
BGMは派手派手になり、モグラ君の全身もケバケバしくフラッシュし続けます。


これはいったい、どんな効果があるのか!?


岩が掘れるようになるのか!?
ジャンプができるようになるのか!?
しかし、そう思って操作しても、まったく効果は不明。いったいどうなるんだ!?

仕方ないから、スーパーモグラ君状態のまま普通にゲームを進め、
女の子を救出~としていたら、
なんと子供を作りました。


バイナリィランドもビックリ!
って、もしやスーパー化した効果がそれなのかァーッ!?
それなのかァーッ!?!?

モグラと人間で子供が作れるのか!?
いや、それ以前に倫理規定とか大丈夫なのかッ!?
任天チェックOKだったのかァーッ!?

まあまて落ち着けM・吉田よ。
まずはこの子供をよく観察しようじゃないか、ええ。

さて、この子供、いったい どんな役割のキャラかと思ったら、
なんと子供も岩を支えてくれます。
すげえ。

つーか、お前生まれたてじゃないのかよッ!?

い、いやまあ生まれたての悟空が 戦闘力10であったのに対し、
ライフルを持った地球人のおっさんが戦闘力5だったので、
きっと宇宙一の戦闘民族だったのかもと考えれば…云々。

ともあれ、この子供を使うと、
バナナで入手できる道具と同様、パズルが解けないときの手助けとなります。
「バナナ」というゲームは、パズルが解けないときの逃げ道も用意されているわけですね。



まあ、逃げ道が用意されているからって、決して簡単なワケではないのがこの「バナナ」。
冒頭で言ったとおり、異常なまでに狂気にひた走った難易度をしているのです…!

その難易度の一端を担っているのが、
以下のようなことなんですが。

↓のようなMAPがあった場合、あなたはどうやってクリアしますか?


○=主人公 □=ブロック(上or横から掘れる) #=ハシゴ ▲=回収すべき食べ物 扉=ゴール


   ○          ▲
  ▲#□□□□□□□□□□# 扉
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





おそらく、半数以上の方が、左の▲を回収して、
#のハシゴを登り、右の▲を回収して、扉(ゴール)に行く、と答えるかと思います。
というか、M・吉田もそうします。



しかし、そう答えたアナタは負けだ。



あなたは「バナナ」の罠に嵌まっているッ…!




なんと驚くべきことに、ロードランナーばりに登場するこの #(ハシゴ)、
ハシゴが存在するY軸までしか登ることができないのです!

つまり…

この状態から…     このように上がることは出来ない!(1段下はOK)

     ▲    →  ○ ▲
   #□□       #□□
  ○#□□       #□□
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


ロードランナーのシステムに慣れた、
いや、ロードランナーをやっていなくとも!
これはユーザに対する「心理的トラップ」なのです…!


まあ、慣れればいいわけなんですが、
この、『ハシゴは踏み台にはなるが、ハシゴの上側には移動できない』というシステムは、
「バナナ」独特のシステムであると同時に、難易度の急上昇要因であることは間違いないわけです。

すなわち、一度下に降りたら、ハシゴが存在するY軸より上には戻ることができない
ということは、


「なぜスタート地点がここから始まるのか」
「なぜ一見、線対称なのに、よく見るとこのハシゴが長いのか」


などということを考えねばならず、
これこそが、「バナナ」不変のルールにして、
異常な難易度を誇る一因となっているわけです…!

というか、そのせいで、
パズルを解くには、そういった洞察力が必要となり、
一挙動でも間違えたら詰みになることはザラです。
恐ろしい…!


ついでに、こんなステージがあった場合、


○=主人公 □=ブロック(上or横から掘れる) #=ハシゴ ▲=回収すべき食べ物 扉=ゴール

   ○          
   #□□□#
   #▲▲▲#
   #▲▲▲#
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


上記のようなステージだと、先ほどのルールで言うなれば、
全部回収することが不可能のように見えますが…。

実は「▲の上には乗ることが出来る」という、これまた独特のルールがあります。

これまた心理的トラップです。


これは、「足場が増える」なんて、決して短絡的に考えてよいものではなく、

「足場はいつまで利用するのか」
「まわりの足場がなくなった後にこの足場を回収できるのか」
「いつ崩してよいのか」

と言った、頭を悩ませる新たな要因となり、
難易度上昇に一役買っているわけです。

難しいッ…!

ファンシーな(?)BGMが、地獄からの呻き声に聞こえるほど、
嫌な難易度ッ……!!!!




と、これまで述べたとおり、ツッコミどころの多いゲームですが…
実は、なかなかどうして、侮れない部分があります。

このゲームの特筆すべき点は、
ファミコンパズルにありがちな「アクションを要する場面」が皆無なのです。

ポーズをかけずに、悩みたいだけ悩める。
ロードランナーの「ロボット」や、「時間差」に該当するものさえない、
一切のアクションが皆無というゲームシステム。

そう、これは、「不思議のダンジョン」シリーズのごとく、
こちらが1挙動したら、画面内のオブジェクトも1挙動(岩が落ちるとかのみだけど)するという、
アクション一切なしの、純然たるオリジナルパズルゲームなんですね。


こういった点で、ルールを理解し、解いてゆくと感嘆するものであり、
ツッコミどころが多くとも、侮れないゲームではあります。



とはいえ、プログラムが残念な出来のために、
ゲームのテンポが非常に「もっさり」しているんですよね。

岩が落ちるときとか、岩が2個3個と連なっていても、1個ずつ落ちてくるとか。
非常に残念なプログラミングです。

さらに言うと、先ほども言ったとおり、
難易度は異常なまでの高騰ぶりとなっていて、
全100面以上あるわけですが、その序盤も序盤である、
4面をノーミスでクリアしたら賞賛に値する難易度なんですね。

ですから、微妙なキャラクターデザインとあいまって、
さらにプレイヤーを限定することは必至です。

アイデアやルールは良かったんですが、
完成度、洗練度が不足…それがこの「バナナ」の印象でしょうか。



逆にいうなれば、

 ・ もっと簡単なステージを増やす
 ・ テンポが良くなるようにプログラムを修正する

ということをすれば、良いパズルゲームになると思うんですけどねえ。
もし「バナナDS」とか出たら、値段次第で買ってもいいかも。
(パズル好きなので)




まあ、確実に、一つ言えることは…

当時、買わなくて良かったッ…!





Wiiが出たら、
気が向いたら体験してみてください。
この地獄を。




コメント (1)
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