鈍いなまくら刀で社会を斬る!

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PCR検査の賛否に思う

2020年03月06日 00時33分16秒 | ポリシー
新型コロナウィルス(以下、COVID-19)はこれからが山場ということです。

その山場に打ち勝つ為に安倍総理はイベント中止と小中高の休校を決めました。
根拠はないですが、とりあえずやってみた、とのことなので、いつ元に戻すのかも
とりあえず戻すんでしょう。
安倍総理に唯一足りない知性という要素。
ホント、足りてないことが悔やまれます。

で、COVID-19なんですが、ずーっと問題になっている事項があります。
それはPCR検査です。
これについては、当初から話題になっていましたし、本質でないところで
様々なトラブルになっているところです。

PCR検査については2つの大きな意見があります。

1つ目は、PCR検査をどんどんやって欲しい。
2つ目は、必要な数だけ厳選してやらないと意味ないし医療崩壊が起きる。

回答を言うと両方とも正解。

最初の方は、患者やその家族がとにかく安心したい。
精神安定剤としての検査のことを指しています。

次のは、重症者に対して確定診断をして治療をするとかの
ちゃんと治療や隔離することのエビデンスの為の検査のことです。

結局、患者本人や家族、その人達に寄り添う末端の臨床の医師、
彼ら彼女からすれば、PCR検査の感度や特異度がどうであろうが、
検査をしてもらう事自体が安心感ですし、希望なのです。

一方、厳選して真に必要な数をやらないと、医療全体や感染症全体を
考えた時に意味がない、という事も当然です。
検査は完全ではありませんし、そもそも100%完全という検査は存在しません。
医師は主訴や所見、エピソード、時間軸に沿った体調変化というものを見極め、
一般的な疾病(例えば、マイコプラズマ)を除外する検査をした後に
PCR検査に回さないと、いい加減な結果しか出てきません。

更にCOVID-19のPCR検査は、感度が70%程度ということなので、検査結果が
間違う可能性が高いのです。

今はむしろ、胸部CTのほうが検査感度が高いという報告も出てきています。
同じ患者約1,000人で比較して、PCR検査と胸部CTでは、
PCR検査が30〜60%程度の感度で、胸部CTは97%の検査感度であった
という中国からの報告です。
これが本当であれば、胸部CTでの読影のコツさえわかれば確定診断が
出来るようになるかも知れません。

閑話休題。

日本全体や世界を見ている感染症や疫学・公衆衛生の専門家が
いくら「やみくもにPCR検査をしても意味がない」と言っても、結局、患者や家族、
末端の臨床医からすれば、1/1なんです。

重症化は20%とか30%とか言われても、検査感度が70%と言われたとしても
目の前のその患者だけが関心事なのです。
いくら冷静に、PCRの感度や特異度を言われても誰も納得はしないのです。

だって、COVID-19が世界中で蔓延していようが、していまいが、目の前にいる
自分の家族が息を苦しそうにしていて、肺に影がある、って言われたら
理屈じゃないですよね。とにかく検査をして病気を特定して、治療して欲しいって
思いますよね。それは当然なんです。

だから、かかりつけ医が、ありきたりな疾病を除外した上で「やろう」と言ったら
検査がすぐに出来る体制を整えることが、いま求められているのです。