★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ギトリスのパガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番/第2番「ラ・カンパネラ」

2022-05-23 09:50:07 | 協奏曲(ヴァイオリン)


パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番/第2番「ラ・カンパネラ」

ヴァイオリン:イヴリー・ギトリス

指揮:スタニスラフ・ヴィスロツキ

管弦楽:ワルシャワ国立フィルハーモニー交響楽団

発売:1980年

LP:日本フォノグラフ(フィリップスレコード) 13PC‐282

 イタリアの名ヴァイオリニストであったパガニーニは、同時に作曲家でもあり、生涯で6曲のヴァイオリン協奏曲を作曲している。その中で、現在しばしば演奏されるのが、このLPレコードに収録されている第1番と第2番で、このほかには第4番も演奏されることがある。パガニーニのヴァイオリン協奏曲、とりわけ第1番は、私がクラシック音楽ファンの切っ掛けとなった曲の一つであり、思い出深い曲なのである。昔は、この第1番の協奏曲は、ラジオを付ければ必ずといっていいほど流れていた曲で、いわばクラシック音楽放送の定番ともいえる曲だった。第2番は、第1番を卒業したリスナーが聴くとその良さがじっくりと分ってくるような曲だ。演奏しているのが、日本でもお馴染みであったヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリス(1922年―2020年)。かつて一世を風靡したヴァイオリニストだけあって、十八番とするパガニーニのヴァイオリン協奏曲のジプシー的感覚を存分に盛り込んだ名演奏を、このLPレコードで存分に披露している。何よりも華麗な演奏スタイルが、パガニーニのヴァイオリン協奏曲には打って付けだ。イヴリー・ギトリスはイスラエルのハイファ出身。当時の大ヴァイオリニストであったブロニスラフ・フーベルマンの前で演奏した時、フーベルマンからヨーロッパ留学を勧められ、13歳の時にパリ音楽院に入学。入学試験の成績は1等であったが、学校生活に馴染めず、しばらくして学校を去ることになる。その後、ジョルジュ・エネスコなど、名ヴァイオリニスト・名教師に師事。第2次大戦が始り、ロンドンに移住。1951年の「ロン=ティボー・コンクール」では、結果は5位であったが、その時の聴衆から圧倒的な支持を受け、コンクール終了の数週間後に本格的なデビュー・リサイタルを開催。その後は、世界中でコンサート活動を展開し、次第に名声を得ていく。演奏内容は、超絶技巧によるヴィルトゥオーゾ風の個性あるもので、一部に熱狂的なファンを持っていた。東日本大震災の後、来日を控える演奏家が多かった中、ギトリスだけは来日を続けたように、親日家としても知られていた。東京、名古屋で演奏会を開催した合間を縫って、石巻市立女子高等学校を慰問。その後、石巻市立門脇中学校を訪れ、吹奏楽部の生徒たちと交流、バッハの無伴奏パルティータを演奏すると、そのお返しに生徒たちは「ふるさと」を演奏した。ギトリスはその演奏に落涙し、「君たちとは音楽でつながっている。音楽をずっと続けてほしい」とメッセージをったという。(LPC)


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