ハイドン:交響曲第88番「V字」
交響曲第93番
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
指揮:クレメンス・クラウス
管弦楽:バイエルン放送交響楽団(ハイドン)
バンベルク交響楽団(シューベルト)
録音:1951年(ハイドン)/1953年(シューベルト)<ライヴ録音>
発売:1979年
LP:日本フォノグラム(amadeo) 13PC‐13(M)(AVRS19 065)
クレメンス・クラウス(1893年―1954年)はウィーン出身の名指揮者であり、同じくウィーン出身の指揮者エーリッヒ・クライバーと並び当時人気を二分していた。その指揮ぶりは、ウィーン情緒たっぷりな優雅で気品に満ちており、それが当時のウィーン気質にぴたりと合った。遺された録音は、そう多くはなく、このLPレコードは貴重な録音である。クレメンス・クラウスは、ウィーン音楽院で学んだ後、各地の歌劇場で研鑽を積む。1929年にウィーン国立歌劇場の音楽監督、さらに翌年には、フルトヴェングラーの後任としてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任する。この時代に、ベルクの「ヴォツェック」などの意欲的なレパートリーを取り上げるなど、進歩的な一面を持ち合わすが、このことも災いしてか、ウィーンを離れざるを得なくなる。そして、エーリッヒ・クライバーの後任として、ベルリン国立歌劇場の音楽監督に就任。さらに、1937年にはナチスによって辞任に追いやられたハンス・クナッパーツブッシュの後任としてバイエルン国立歌劇場の音楽監督に就任する。第二次世界大戦後は、ナチスに協力したという容疑で連合軍により演奏活動の停止を命ぜられたが、無罪となり、活動を再開。最後の演奏会の曲目は、このLPレコードにもある、得意としていたハイドンの交響曲第88番であったという。このLPレコードでの2つのハイドンの交響曲(第88番、第93番)は、持ち味である典雅さを前面に打ち出し、しかも実に軽快なリズムを持った演奏に終始し、聴いていて小気味いい。一方、シューベルト:交響曲第8番「未完成」の指揮ぶりは、ハイドンとはがらりと趣を変え、シューベルト特有の歌うような旋律を、実に重々しく、厚みのある表現で演じ切っている。クレメンス・クラウスは、この名曲を単に情緒的に演奏することはせず、シューベルトが到達した、一種の悟りの境地みたいな心境を表現したかったように私には聴こえた。クレメンス・クラウスの日本での評価は必ずしも高かったとは言えなかったが、今、こうして聴いてみると、再評価されてもいい指揮者の一人ではないだろうか。指揮のクレメンス・クラウスは、オーストリア出身。ウィーン音楽院で学ぶ。1929年ウィーン国立歌劇場の音楽監督に、また翌年ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの後任としてウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任。さらに、1935年ベルリン国立歌劇場の音楽監督に就任。(LPC)
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