ンデルスゾーン:八重奏曲
ヴォルフ:「イタリアのセレナード」
ロッシーニ:弦楽ソナタ第3番
弦楽合奏:イ・ムジチ合奏団
発売:1979年
LP:日本フォノグラム(フィリップスレコード) 13P‐167(802 725LY)
メンデルスゾーン:八重奏曲は、2つの弦楽四重奏団が演奏する楽器編成をとっているが、室内楽的感覚というより、弦楽合奏といった雰囲気に近く、一部分管弦楽や交響曲的な雰囲気も漂わす、メンデルスゾーンが少年期(16歳)に書いた初期の傑作である。少年といっても、この曲を聴くと既に音楽の技術的手法は十分にマスターしていることを窺わせ、メンデルスゾーンの早熟ぶりを垣間見せつける曲となっている。第一ヴァイオリン2、第二ヴァイオリン2、ヴィオラ2、それにチェロ2の合計8つの楽器が融合しあうと同時に、その一つ一つの楽器が自己主張するという、相矛盾する要件を巧みに取り入れているところに感心してしまう。非常に聴きやすく、全体が流れるような快活さに満ちており、表現の簡潔さにも好感が持てる。妙に室内楽的に深刻ぶらないことが、成功した要因として挙げられるのかもしれない。そんなからっとした曲想にピタリとあてはまるのがイ・ムジチ合奏団の演奏だ。イ・ムジチ合奏団は、1952年に、ローマの聖チェチーリア音楽学校に学んだ12人の音楽家によって結成され、指揮者は置かず、ヴァイオリン6挺、ヴィオラ2挺、チェロ2挺、コントラバス1挺、チェンバロ1台の編成によっている。ヴィヴァルディの「四季」で、バロック音楽ブームの火付け役となったこの合奏団は、現在でも活発な演奏活動を展開している。このLPレコードでも、いかにもイタリアの演奏家らしい、歯切れの良い演奏を聴かせてくれており、充分に楽しめる。ヴォルフ:イタリアのセレナードは、ヴォルフが27歳の時の作品。ゲーテやアイヒェンドルフ、メーリケなどの詩に付けた数多くの歌曲で知られるヴォルフであるが、器楽曲は交響詩「ペンテレージア」や、この「イタリアのセレナード」などが知られているほどで、極めて少ない。ここでのイ・ムジチ合奏団の演奏は、分厚くしかも緻密な音の表現力を存分に聴かせてくれている。ロッシーニが6曲からなる弦楽のためのソナタを書いたのは、1804年頃とされており、まだ12歳であったという。ロッシーニは、モーツァルトのように幼い頃に英才教育を受けたわけでもなく、今日聴いてみて一人前の作曲家の作品としか思えない作品を、わずか12歳の少年が書いたというのは奇跡的だとしか言いようがない。この曲でのイ・ムジチ合奏団は、楽しそうに合奏しているところが目に浮かぶようであり、聴いているだけで浮き浮きしてくる演奏内容だ。(LPC)
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