★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ポール・パレー指揮デトロイト交響楽団のラヴェル&イベール管弦楽作品集

2020-04-16 09:59:11 | 管弦楽曲

ラヴェル:スペイン狂詩曲(夜への前奏曲/マラゲーニャ/ハバネラ/祭り)
     道化師の朝の歌
     なき王女のためのパヴァーヌ
     ラ・ヴァルス
イベール:寄港地(ローマ、パレルモ/チェニス、ネフタ/ヴァレンシア)

指揮:ポール・パレー

管弦楽:デトロイト交響楽団

録音:1962年

発売:1976年

LP:日本フォノグラフ(フィリップスレコード)
 
 このLPレコードは、ラヴェルとイベールの異国情緒たっぷりの音楽が、ポール・パレー指揮デトロイト交響楽団の演奏で聴ける楽しさ溢れる録音である。デトロイト交響楽団を世界有数のオーケストラに育て上げたことで知られるポール・パレー(1886年―1979年)は、フランス人の作曲家兼指揮者。パリ音楽院で学び、世界的な作曲賞であるローマ大賞を受賞。第一次世界大戦後から本格的な指揮者活動に入り、コンセール・ラムルーなどを指揮する。この頃、このLPレコードにも収録されているイベール:寄港地を初演している。1939年に米国デビューを果たし、1951年から1962年までデトロイト交響楽団の音楽監督を務めた。ポール・パレーは、フィランス人指揮者でありながらワーグナーを盛んに取り上げるなど“反骨精神の指揮者”としても知られる。この反骨精神が第二次世界大戦中は、戦闘的なレジスタンスの一員に駆り立てた。その指揮ぶりは男性的で、既成概念に囚われず、その曲の持っている新しい側面を引き出して見せるといったところが高く評価された。フランス音楽というと繊細でサロン的印象が強いが、一面ではポール・パレーの指揮のように、男性的な力強さも同時に持ち合わせているようだ。ラヴェル:スペイン狂詩曲は、ラヴェルが書いた、たった一つの演奏会用のオリジナル管弦楽曲で、フランス人がスペインに寄せる思いが込められている。「夜への前奏曲」「マラゲーニャ」「ハバネラ」「祭り」の4曲からなる。ラヴェル:道化師の朝の歌は、ピアノ独奏曲「鏡」の第4曲目をオーケストラ用にアレンジした曲。スペイン風の情熱的なリズムが印象的。ラヴェル:なき王女のためのパヴァーヌも、ピアノ曲をオーケストラ用にアレンジした曲。パヴァーヌとは、16世紀の宮廷舞曲のこと。ラヴェル:ラ・ヴァルスは、ワルツの黄金時代を賛美するバレエ曲で「ワルツの誕生」「主要部」「終結部」の3つの部分からなる。最後のイベール:寄港地は、「ローマ、パレルモ」「チェニス、ネフタ」「ヴァレンシア」の3曲からなり、地中海を航行する船が立ち寄る港の印象が描かれ、各地の民俗音楽の要素が巧みに採り入れられている。このLPレコードでのポール・パレーの指揮は、メリハリの利いた、それでいて情感にも溢れ、活き活きした表現力を備えたものとなっている。特にラヴェル:スペイン狂詩曲とイベール:寄港地の演奏で見せる、独特なリズム感と異国情緒溢れる表現力は、今でも他の指揮者に追随を許さないものとなっている。(LPC)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ◇クラシック音楽LP◇フラン... | トップ | ◇クラシック音楽LP◇アイザ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

管弦楽曲」カテゴリの最新記事