★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇チャールズ・グローヴズ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルのシベリウス:管弦楽秘曲集

2023-03-20 09:36:29 | 管弦楽曲


~北欧の抒情シリーズ シベリウス:管弦楽秘曲集~

シベリウス:春の歌
      ダンス・インテルメッツォ
      森の精(管弦楽のための音画)
      パンとエコー
      アンダンテ・フェスティヴォ
      ヴァルス・ロマンティク
      カンツォネッタ
      美しい組曲(フルートと弦楽のための)
      田園組曲
      ロマンス

指揮:チャールズ・グローヴズ

管弦楽:ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団

LP:東芝EMI EAC‐30357

 シベリウスの管弦楽曲というと、交響詩「トゥオネラの白鳥」を含むレンミンカイネン組曲(4つの伝説曲)、交響詩「フィンランディア」、交響幻想曲「ポホヨラの娘」、交響詩「タピオラ」、劇音楽/組曲「ペレアスとメリザンド」、劇音楽「テンペスト(嵐)」・・・などを思い浮かべる。そして、それらの曲の内容の素晴らしさに気づかされる。これらの曲は、いずれも北欧音楽特有の美しいメロディーと透明感ある響きに満ちたもので、クラシック音楽の中でも独特の位置を占めている。特に祖国愛に溢れた交響詩「フィンランディア」などは、聴いているうちに熱い思いが胸に迫ってくる名曲中の名曲だ。そんな傑作の多い、シベリウスの管弦楽曲の中でも、「アンダンテ・フェスティヴォ」以外、現在ではあまり演奏されなくなった曲を集めたのが、今回のLPレコードである。現在ではあまり演奏されなくなったといっても、それはシベリウスのこと、それらのすべてが優れた曲であることに、少しも変わりがなく、逆に現在演奏されなくなった理由が分らないほど、それぞれの曲が優れた内容を持っている。「春の歌」は、実に愛らしい雰囲気を持った小曲で、これだけ聴いただけで、シベリウス独特の音の世界を堪能できる。「ダンス・インテルメッツォ」と「森の精」は、第3交響曲から第4交響曲の作曲時期にあたるもので、交響詩風な雰囲気を持っており、特に「森の精」は、第4交響曲を先取りした作品と言われている。現在でもしばしば演奏される「アンダンテ・フェスティヴォ」は、シベリウスの葬儀の際に演奏されたという力作である。最後に収められている「ロマンス」は、有名な交響曲第2番の前に作曲された作品で、若い頃のシベリウスの作風が垣間見えて興味深い。ここではチャールズ・グローヴズ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルのコンビが、北欧の自然をほうふつとさせる、いずれも説得力のある名演を聴かせる。伸びやかなオーケストラの響きがリスナーの心を和ませ、目の前に北欧の自然が広がるような錯覚を覚えるほど。指揮のチャールズ・グローヴズ(1915年―1992年)は、イギリス、ロンドン出身。BBCノーザン管弦楽団(現BBCフィルハーモニック)、ボーンマス交響楽団の首席指揮者を務めた。さらにウェールズ・ナショナル・オペラ音楽監督、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者、イングリッシュ・ナショナル・オペラ音楽監督などを歴任。(LPC)   

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