★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇イ・ムジチ合奏団のレスピーギ:リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲/バーバー:弦楽のためのアダージョ/バルトーク:ルーマニア民族舞曲/ブリテン:シンプルシンフォニー

2022-05-02 09:38:25 | 管弦楽曲


レスピーギ:リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲
バーバー:弦楽のためのアダージョ
バルトーク:ルーマニア民族舞曲
ブリテン:シンプル・シンフォニー

弦楽合奏:イ・ムジチ合奏団

ソロ・ヴァイオリン:ロベルト・ミケルッチ(バルトーク:ルーマニア民族舞曲)

録音:1961年7月

発売:1979年

LP:日本フォノグラム(フィリップスレコード)

 イタリアの室内楽団のイ・ムジチ合奏団(「イ・ムジチ」とはイタリア語で「音楽家達」を意味する)は、1952年にローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミアの卒業生12名が集まって結成された。指揮者を置かず、ヴァイオリン6挺、ヴィオラ2挺、チェロ2挺、コントラバス1挺、チェンバロ1台という編成。バロック音楽における最も名高い楽団のひとつであり、特に、イ・ムジチ合奏団が演奏するヴィヴァルディの「四季」はバロック音楽ブームの火付け役となったことでも知られる。このイ・ムジチ合奏団は、設立当初はイタリアン・バロック音楽を主要なレパートリーとしていた。これは、ローマのサンタ・チェチーリア音楽学校の卒業生によって結成されたためであり、当然のことと言える。しかし、その後徐々に、バッハやモーツァルトなど我々にもお馴染みの作曲家の作品を演奏し始め、このことがイ・ムジチ合奏団の存在を、広く世界に広めるという結果となったわけである。そのエッセンスがぎっしりと収録されているのがこのLPレコードなのである。このLPレコードに収録された4曲は、いずれも短い作品ながら、クラシック音楽の中でも弦楽器の持つな伸びやかな美しさを最大限に引き出した名品ばかりで、聴いていて実に楽しい。「レスピーギ:リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲」は、レスピーギ(1879年―1936年)が音楽院の図書館で古いイタリアのリュートの作品を基に3つのオーケストラの作品を作曲した第3番目の作品で、懐かしさに溢れたお馴染みの名曲。楽器編成は弦5部だけで、管は使われていない。「バーバー:弦楽のためのアダージョ」は、米国の作曲家バーバー(1910年―1981年)が作曲した弦楽四重奏曲第1番の第2楽章を自らオーケストラ用に編曲したもので、静寂な雰囲気の弦楽合奏が胸を打つ。今では編曲の方が有名になり、バーバーの代表作となっている。「バルトーク:ルーマニア民族舞曲」は、はじめピアノ曲として1915年に作曲された。民俗音楽を基にしたこのピアノ曲を、バルトーク(1881年―1945年)自らオーケストラ用に編曲した曲。民族色豊かなリズムとメロディーを、イ・ムジチ合奏団がものの見事に表現している。最後の「ブリテン:シンプル・シンフォニー」は、英国の作曲者ブリテン(1913年―1976年)が10歳~13歳の時に作曲した曲を基に、20歳の時に自らオーケストラ用に作曲した作品。実にシックで、こじんまりとまとまった愛すべきシンフォニーをイ・ムジチ合奏団が好演している。(LPC)

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