★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇フォーレ:ピアノと管弦楽のためのバラード/組曲「ペレアスとメリザンド」/ピアノと管弦楽のための幻想曲

2021-02-22 11:17:45 | 管弦楽曲

フォーレ:ピアノと管弦楽のためのバラード
     組曲「ペレアスとメリザンド」
     ピアノと管弦楽のための幻想曲

指揮:ルイ・ド・フロマン

管弦楽:ルクセンブルク放送管弦楽団

ピアノ:グラント・ヨハネセン

録音:1974年11月

LP:ワーナー・パイオニア H-5001V

 「ペレアスとメリザンド」は、ベルギーの劇作家メーテルリンクが書いた戯曲。フランス語で書かれ、1893年にパリで初演された。舞台設定は、中世ヨーロッパのアルモンド王国(ドイツを意味する仏語「アルマーニュ」+世界を意味する仏語「モンド」の合成語)。それにフォーレが劇付随音楽を作曲したが(1898年)、その中から5曲(第3曲だけ声楽が入るので、このLPレコードなどのように、この曲を除いた4曲で演奏されることがある)を抜粋したのが、このLPレコードに収録されている組曲「ペレアスとメリザンド」(1900年)である。物語は、王太子(王位継承の第一順位の王子)ゴローの妻(后)であるメリザンドと、ゴローの異父弟であるペレアスとの“道ならぬ恋”の物語であり、最終的には両者とも兄ゴローに殺されてしまうという悲劇的な結末となっている。第1曲:前奏曲、第2曲:糸を紡ぐ女、第3曲:メリザンドの歌、第4曲:シシリアーノ、第5曲メリザンドの死、からなっている。曲は、フォーレ独特な繊細な表現でつくられており、その旋律と和声の美しさは、筆舌に尽くせないほどの高みに達した管弦楽作品。このほかに、このLPレコードには、フォーレの青年期と晩年に書かれたピアノと管弦楽のための作品「ピアノと管弦楽のためのバラード」(op.19、1881年)と「ピアノと管弦楽のための幻想曲」(op.111、1919年)が収録されている。前者は、憧れに満ちて優しくのびやかな青春の詩とも言える作品。一方、後者は、ときにきびしく、激しい内面の表情をかざらずに表現する作品となっている。このLPレコードで指揮をしているルイ・ド・フロマン(1921年―1994年)は、フランス・トゥールーズ出身。パリ音楽院では、アンドレ・クリュイタンスなどに師事。1958年からルクセンブルク放送交響楽団の首席指揮者に就任。このLPレコードの組曲「ペレアスとメリザンド」でのフロマンの指揮ぶりは、繊細を極め、微妙なニュアンスを巧みに表現ており、フォーレの作品に誠に似つかわしい演奏を聴かせる。ピアノのグラント・ヨハネセンは、アメリカ・ソルトレイクシティ出身。ニューヨークでロベール・カザドジュに師事したことがあり、フランス音楽の演奏では定評がある。フォーレの2曲のピアノと管弦楽のための作品でのヨハネセンのピアノ演奏は、ビロードのように柔らかく、フォーレの作品にとても馴染んでいる。なお、このフォーレの2曲のピアノと管弦楽のための作品は、共に佳品であり、もっと演奏されてしかるべき曲と思う。(LPC)

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