森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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安倍政権;過剰なダークサイドと。
政権発足当初から、領袖の器についてさまざまうんぬんされてきました。誕生直後からすでに短命という予測すらあがっていた。
そんな推測に加えて、政権発足後、にわかに安倍首相の足元を揺るがしかねない事態が続いて訪れる。佐田玄一郎行政改革担当大臣、本間税調会長の辞任です。そうこうするうちに今度は、松岡農水相のあいつぐ疑惑、そして久間防衛大臣辞任とそれにつづく赤城農水相の事務所費疑惑。
内閣発足後10カ月に満たない短期間のうちに、これだけの人事交代をしないといけない事態そのものが、すでにこの内閣の危機管理水準の低さを私は物語っていると思います。首相のもともと弱い求心力が時を追ってさらに低下してきたことをあわせて示しているでしょう。
これだけの内閣の存亡をも問いかねない事件が続出しているにもかかわらず、もちこたえているのは圧倒的な与党の議席数です。
そのことは、野党の反対があり、国民の反対の声があるにもかかわらず、改憲手続き法をはじめ、数々の政府提案の法案がつぎつぎに成立していったことに表れています。国会がまるで法案成立マシーンのようにも私には感じられました。先の国会で「異常成立」がかつてない数にのぼったのがそれを象徴しています。すなわち、これは国会という代議制の形骸化ともいえるものでしょう。
そして、この形骸化は以下の問題をもはらむのではないかと考えるわけです。たとえば改憲に反対する勢力の一部にも、住民投票など直接民主主義を評価する立場から国民投票法というしくみを評価する議論(*)がありましたが、「国会の形骸化」という今日の事態が、いわば直接民主主義至上主義に向かうことをいっそう後押しすることも考えられるかもしれません。
この10カ月ばかりは、安倍政権のもろさを露呈させました。このもろさは、以上の過剰なダークサイドから生み出されたものでしょう。
しかし、同時に、もろさを孕みながらも、安倍政権はその政権の「任務」を果たしてきているともいえます。小泉首相がなしえなかった課題をひきついだ側面です。それはたとえば、小泉政権はたしかに歴代の自民党内閣ができなかった自衛隊の海外派兵を強行し、インド洋域だけでなく、イラク派兵によってはじめて他国の戦地で自衛隊が活動する実績をつくりあげました。しかし、同時に憲法をかえることなく派兵したために、武力行使ができず、このことがアメリカにとってみれば軍事的貢献を日本が果たしえない現実にたいする不満でもありました。
この点で、改憲手続き法を成立させることによって安倍政権は道を開いたといえるでしょう。
また、小泉構造改革によって生じた社会の亀裂を埋めるための教育基本法ととらえることもできます。成立によって社会的な統合を図っていくという狙いです。
安倍政権の以上の性格もみておく必要があるのではないでしょうか。
ダークサイドとは、いわば暗黒の世界。誰もが陥るのかもしれません。しかし、政権はそうであってはならない。
参院選は、この過剰なダークサイドと、自民党政治そのものを問うものでなくてはなりません。
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そんな推測に加えて、政権発足後、にわかに安倍首相の足元を揺るがしかねない事態が続いて訪れる。佐田玄一郎行政改革担当大臣、本間税調会長の辞任です。そうこうするうちに今度は、松岡農水相のあいつぐ疑惑、そして久間防衛大臣辞任とそれにつづく赤城農水相の事務所費疑惑。
内閣発足後10カ月に満たない短期間のうちに、これだけの人事交代をしないといけない事態そのものが、すでにこの内閣の危機管理水準の低さを私は物語っていると思います。首相のもともと弱い求心力が時を追ってさらに低下してきたことをあわせて示しているでしょう。
これだけの内閣の存亡をも問いかねない事件が続出しているにもかかわらず、もちこたえているのは圧倒的な与党の議席数です。
そのことは、野党の反対があり、国民の反対の声があるにもかかわらず、改憲手続き法をはじめ、数々の政府提案の法案がつぎつぎに成立していったことに表れています。国会がまるで法案成立マシーンのようにも私には感じられました。先の国会で「異常成立」がかつてない数にのぼったのがそれを象徴しています。すなわち、これは国会という代議制の形骸化ともいえるものでしょう。
そして、この形骸化は以下の問題をもはらむのではないかと考えるわけです。たとえば改憲に反対する勢力の一部にも、住民投票など直接民主主義を評価する立場から国民投票法というしくみを評価する議論(*)がありましたが、「国会の形骸化」という今日の事態が、いわば直接民主主義至上主義に向かうことをいっそう後押しすることも考えられるかもしれません。
この10カ月ばかりは、安倍政権のもろさを露呈させました。このもろさは、以上の過剰なダークサイドから生み出されたものでしょう。
しかし、同時に、もろさを孕みながらも、安倍政権はその政権の「任務」を果たしてきているともいえます。小泉首相がなしえなかった課題をひきついだ側面です。それはたとえば、小泉政権はたしかに歴代の自民党内閣ができなかった自衛隊の海外派兵を強行し、インド洋域だけでなく、イラク派兵によってはじめて他国の戦地で自衛隊が活動する実績をつくりあげました。しかし、同時に憲法をかえることなく派兵したために、武力行使ができず、このことがアメリカにとってみれば軍事的貢献を日本が果たしえない現実にたいする不満でもありました。
この点で、改憲手続き法を成立させることによって安倍政権は道を開いたといえるでしょう。
また、小泉構造改革によって生じた社会の亀裂を埋めるための教育基本法ととらえることもできます。成立によって社会的な統合を図っていくという狙いです。
安倍政権の以上の性格もみておく必要があるのではないでしょうか。
ダークサイドとは、いわば暗黒の世界。誰もが陥るのかもしれません。しかし、政権はそうであってはならない。
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