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山口二郎が「構造改革」をふりかえる
「構造改革」の名のもとに社会保障が大きく後退してきたことは周知の事実だ。小泉純一郎の5年間の政治は日本社会をある面では破壊してきた。弱者への配慮など、他者にたいするまなざしをまったく私は感じることはできなかった。そのことは弊ブログでも再三、のべてきたつもりだ。それは、「小さい政府」という言葉をあやつることで、国民に自分のことは(自分の責任で)自分でやりなさいという思想をおしつけるものであった。
また小泉の5年間は、不平等と格差を日本中に広げてしまう一方で、対米従属のいっそうの深みに日本を陥れ、そして戦争への道を大きく開いてきた5年間であった。その小泉から安倍晋三が政権を引き継いだ。安倍が首相になって、2カ月をわずかに超えた地点にわれわれは立っている。この2カ月だけでも小泉政治のツケがぎつぎと噴出している。
ちょうど安倍が政権を引き継ごうとする時期に山口二郎が「社会保障の今後と日本政治」と題し講演している。山口は講演の最後で、つぎのようによびかけ講演をしめくくった。
私たち個人は自らの脆弱さを認識することが必要であると思います。しかし、個人個人の力は弱いけれど、社会全体でリスクを背負い、連帯をすることによって一人で苦しむことから回避できます。 |
「平和と平等」を求めるあらゆる政党・団体、人間が連携・協力しながら悪政に対抗していくことを山口は強調したのだった。
講演の一部を紹介する(『社会保障』、講演は9月、中央社会保障学校で行われている)。以下の引用部分は、いかにして小泉「構造改革」がもちだされたのか、それはどんな手法でおこなわれたのかに言及した部分である。山口はその上で、日本の現状を打開するための1つの考え方を提示している。
バブル期によって80年半ば、国民の総中流社会が形成されました。しかしその後、90年代のバブルの崩壊また冷戦の終結後等の急激な財政危機が起こりました。 1990年代、規制緩和・民営化がグローバルスタンダードの名の下に進められ、市場原理が浸透していきました。日本政府はバブルが崩壊した後大きな借金を背負いながら、公共事業を進めていきました。企業は、生活経済での競争原理の中で、税負担が足かせになって厳しいたたかいを迫られました。競争力を高めるために、労働者は使い捨てにされていきました。 それまでは、規制により競争が不十分であった結果、消費者物価一般が高かったことと、談合などにより公共事業のコストが外国よりも高いなどにより、高コスト社会の道を進みました。そして、裁量の弊害、金融業界の乱脈経営や交付税措置の乱用、無益な公共事業がおこなわれるなどのモラルハザードの蔓延により、日本におけるリスク社会化の限界に達していました。 日本の政府が行っている裁量的政策の弊害はその政策自体が不透明性であり、必然的に腐敗汚職が蔓延するということです。一例としては、ゼネコン、旧大蔵省と銀行の癒着、薬害の問題が挙げられます。「裁量的政策はけしからん。汚職や腐敗の温床だ」という論調の中で、小泉政権が生まれました。 彼の人気はどこからきたのかを考えてみたいと思います。私は、小泉政権によって多くの痛手を被っている当人である弱者が、小泉政府の掲げる「小さな政府」を支持することに対して、理論的な説明はつかないと思います。しかし、可能性として考えられることは、小泉首相は「弱い者いじめ」をしているようには見えないことが彼の支持率に寄与していると思います。裁量的政策の中で自分のふところの肥やしを増殖させてきた議員を巧みな手法であぶり出し、国民からの支持を勝ち取りました。メデイアなどで汚職がクローズアップされる中、このように官に汚職がはびこるのならば、小さな政府が好ましいと考える国民が増えてきたのです。「小さな政府」=自由、という錯覚が生まれてしまいがちになります。郵政民営化についても同じ流れの中にあり、同じ説明がつくと思います。 次に、日本の現状と誤った処方箋についてお話します。日本の社会は、リスクの普遍化をしていく必要があります。日本的セーフティネットは崩壊し、企業の終身雇用制度がなくなり、地域社会がなし崩しになり、公共事業が削減されました。また、官から民への流れの中で、起こっている民のモラルハザードには、目を見張るものがあります。粉飾決算や、耐震偽装をはじめ、生命、財産への脅威となっています。ガス器具やプール監視の問題などは、最近のモラルハザードの代表例です。安全はタダではなく、むしろリスクの社会化を進め、安全にはお金をかけていくべきであるのだと思います。また、自然災害と環境のリスクに関しても今まで、北日本の雪害で100人の生命が奪われたことはありませんでした。 |
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「労働の融解」 -ホワイトカラー・エグゼンプション
われわれの労働は今後、使用者のいうがままになっていくのだろうか。こんな不安を抱かせるような労働法制の改変がおこなわれようとしている。
ホワイトカラー・エグゼンプションの導入を検討している厚生労働省が、対象労働者の要件として年収1000万円以上を軸に検討している。年収1000万円以上の民間給与所得者は全体の4.8%といわれている。男性に限ると7.2%になる。労働政策審議会の労働者側委員は、導入自体こ強く反対している。長時間労働を助長する懸念も消えていない。
厚労省は、対象者を管理職一歩手前で一定の権隈を持つ労働者と想定。使用者側が主張する「4百万円以上」では幅が広すぎると判断している。これに対し労働者側は「規制がなくなると際限なく働かされてしまう。現に規制のない管理職の過労死が多い」と主張。労働基準監督署の関係者も「年収が高いからといって、体が丈夫になるわけではない」と言う。 働き過ぎが原因の脳・心臓痴愚で昨年度に労災認定された人は330人と過去最高だった。うち過労死は157人に上る。長時間労働の問題は深刻化する一方だ。(西日本新聞、11・26) |
ホワイトカラー・エグセンプジョンはこのように労働時間規制の基本的な考え方を根本から変えてしまう規制緩和政策だ。
日本の労働時間規制は、使用者が働き手を時間外・休日労働に従事させるときには、36協定(労働基準法の条項36条でそれを定めることから、われわれはこれをサブロク協定などとよんできた。協定締結にあたっては厚生労働大臣告示が定める上限を超えないように規制)を締結してその範囲にとどめるように義務づけている。さらに、1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えたときには25%増し、週1日の法定休日に出勤して働いたときには35%増し、午後10時から午前5時までの深夜の時間帯に働いたときには25%増しの割増賃金を支払う義務を使用者に課している。そして、厚生労働省通達は、使用者に対して、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認・記録することによって労働時間を適正に管理するよう求め、その方法も、「使用者自ら現認」または「タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を基礎とする」ことが原則で、「労働者の自己申告」はやむを得ない場合に限るよう求めている。
だからこそ、今回は1000万円を超える者が(割増賃金の)「適用除外」の範囲にされたとしても、今後この適用除外の下限がさらに引き下げられる懸念を否定し去ることはできない。
エグゼンプション制度の問題点を、中野麻美はつぎのように明快に指摘している。
収入のための労働に充てた時間は、その分、休息や生活のための時間を奪うから、働き手の自由を確保するという労働時間規制の本旨からすると、収入のために労働者がどれだけ拘束されているのかを把握することが重要だ。しかし、「働いたかどうかを可視化できる「結果」で支払いたい」「それが最も公平なやり方である」という考えとともに、「労働時間」の否定がすすむ。エグセンプジョン制度は、そうした労働時間の否定の究極の姿であって、これが認められるようになったとき、労働時間の否定はもっと大規模にすすむだろう。なぜなら、その適用が可能になる仕事は「ホワイトカラー」といわれる事務労働に限らないからだ。割増賃金の支払いをめぐって争いになっているケースで、「本当に働いていたかどうかわからない」という反論が出される仕事は沢山ある。外食産業で働く店員や福祉施設で働くケアワーカーのような、ローテーションで組織されている仕事でさえ、労働時間の否定にあっている。これらの仕事までまるごと「エグセンプジョン」(除外)の対象になりかねないのだ。(中野麻美『労働ダンピング』114頁) |
労働ダンピングの実態を事例をあげて弊ブログでは別のエントリーでとりあげた。いま一度ふりかえると、それは、ダンピング競争の波にまともさらされる商取引化する非正規雇用を一方に、他方に「ノルマ」「成果主義賃金」「自爆」などのように請負化する正規雇用を置くという労働の二極化がすすんでいる姿であった。共通しているのは、中野の言葉でいいかえると、労働法による規制が機能せず、使用する側本位で決めた値段で働き手が自己責任で成果物やサービスを提供する「労働の液状化」である。ここに作動しているのは市場原理である。条件を決めるのは各人の力しかない。こんな労働の液状化という環境のなかで、働き手=労働者にとっては労働が苛酷な条件で取引される商品に収斂していくことを中野は「雇用の融解」と呼んでいる。
したがって際限のない労働ダンピングが横行することになる。低コストでダンピング可能、そして法制によって拘束されることなく、権利を働き手に保障する必要もないとなれば、商品としての労働の競争力は強力だ。こんな労働が正規雇用との競合関係に置かれたとたんに、こんどは正規雇用に影響が及び、そのなかでの「値崩れ」、競争がはじまる。
ホワイトカラー・エグゼンプションはこんな総体ですすめられる「労働の融解」の1つの表現だといえる。
ホワイトカラー・エグゼンプション
米国の労働時間制度の一つ。給与額や仕事内容の要件を満たせば、労働時間規制の対象外となり、週40時間などの親制を超えて働いても残業代が出ない。厚生労働省の素案は「自由度の高い働き方にふさわしい制度」と名付け「労働時間に関する一律的な規定の適用を除外する」としている。健康確保のため週2日以上の休日を義務付けることも盛り込んだ。年収400万円以上のホワイトカラー労働者に導入されると、1人当たり年2-400万円の残業代が失われるとの試算もある。(西日本新聞)
アメリカでは、公正労働基準法で、週40時間を超えて使用するときには労働者の通常の賃率の1・5倍以上の賃金を支払うことが義務づけられているが、こうした労働時間規制の適用から除外されるホワイトカラー労働者が、報酬ベース、報酬水準、一職務によって定められている。2004年に規則が改正となり、適用除外の報酬水準は週給455ドル、適用除外できる職務は、ファーストフード店のアシスタント・マネージャー、工場や建築現場のチーム.リーダー、会計・マーケティング・庶務等の担当者に至る広範囲なものとなった。.アメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)は、これによって新たに600万人が適用除外の対象となったと指摘している(連合「アメリカホワイトカラー・イグセンプジョン調査団報告書」)。こうしたエグセンプジョン制度を日本にも導入しようというのである。(中野麻美『労働ダンピング』)
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