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真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

甘利明氏が小沢一郎氏だったらと考えてみる

2016年01月25日 09時59分59秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                    

 「植草一秀の『知られざる真実』」

                             2016/01/2

 


 甘利明氏が小沢一郎氏だったらと考えてみる


               第1348号

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耳を疑う発言だった。

甘利明経済再生担当相をめぐる金銭授受疑惑に関し、自民党山東派の山東昭子
会長が発言した。

その模様が報道された。

「政治家自身も身をたださなければならないが、(週刊文春に)告発した事業
者のあり方も『ゲスの極み』。

まさに『両成敗』という感じでたださなければならない」

こんな発言をする人物が参議院議員を務め、自民党の派閥の領袖を務めてい
る。

さすがは金権腐敗体質の政党の派閥領袖であると、称えるべきか。

週刊誌を通じて告発した人物は氏名も公表している。

どのような人物であるのかははっきりしない。

しかし、

公職選挙法や政治資金規正法に抵触する可能性のある犯罪性の高い事案を告発
したのである。

問われるべきは、この問題事案であって、内部告発という行為ではないはず
だ。

これまで公表されている内容からすると、告発者はいわゆる贈賄側の実行人物
であるということになる。

汚職は金品を提供する贈賄側と金品を受け取る収賄側の二つによって成立する
事案であるから、収賄側の責任が問われるだけではなく、贈賄側の責任も問わ
れることになる。



贈賄側の責任が問われるという意味で発言したのならともかく、発言そのもの
は、こうした機密案件を告発した、その行為を批判しているように見える。

このような事案が明るみに出るきっかけの多くは内部告発である。

犯罪性の高い事案があり、その事案を告発する人物が存在する場合、この告発
者は隠ぺいされていた犯罪性の高い事案を、広く世に知らしめたことで、称え
られることはあっても、批判されるべき存在ではない。

内部告発を促進することが、このような汚職=経済犯罪を抑止する、重要な抑
止力になる。

公益通報者保護法

が制定されたのは、こうした内部告発を積極的に支援するためである。

山東昭子氏の発言は、

こうした内部告発の行動そのものを

「ゲスの極み」

であると批判するものである。

「ゲスの極み」のスキャンダルが広がっているが、思わぬかたちで、さらなる
展開を示してしまった。

山東昭子氏の心情は、

「賄賂の贈呈という、何よりも隠ぺいしなければならない行為を告発すること
など、「ゲスの極み」だ」

ということなのだろうが、驚愕の発言と言わざるを得ない。



甘利明氏は、問題になっている企業の社長と面会したことを認めているが、週
刊誌が指摘する現金の受領については、記憶が定かでないと述べている。

この程度の金額の受領は、記憶の外にあるというのは、日常茶飯事であるか
ら、いちいち覚えてはいられない、ということなのだろう。

そのような現金受領は一切行わない、と言うなら、この事案についても、現金
受領はない、と断言できるはずだ。

しかし、記憶があいまいではっきり答えられないということは、少なくとも、
類似した事案が多数存在することを想起させるものである。

1月20日の記者会見で甘利明氏は、

「私は、今日まで政治家として法に反するようなことはやってきていない」

と述べていたが、1月21日の国会質疑では、これが、

「私は、今日まで政治家として法に反するようなことはやってきていないつも
り」

に変化した。

「やってきていない」



「やってきていないつもり」

では天と地の開きがある。

これまでの発言を見ると、いわゆる「あっせん利得罪」に該当する犯罪行為
は、すべて秘書の責任として処理し、現金受領は正規の政治資金受領として押
し通す算段なのだと思われる。

告発者は、写真、録音データなど、多くの証拠を保持していると見られるか
ら、甘利氏が事実に基づかない逃げ道を作ろうとしても、容易ではないと推察
される。

菅義偉氏、麻生太郎氏、甘利明氏の3名は、第二次安倍政権を支える三本の矢
と呼べる存在である。

その一角が重大な経済犯罪事案で転落するということになれば、政権の命運は
一気に暗転する。

現段階では、まだ真相が明らかではないから、今後の真相究明が何よりも強く
求められるが、この事案を契機に、政局の流れが劇的に転換することになるな
ら、主権者にとって悪いことではない。



日本政治は2009年に大転換点を迎えた。

小沢一郎氏、鳩山友紀夫氏が主導して、主権者の選択で政権交代が実現したの
である。

この劇的な政権交代実現の起点は2006年4月の小沢一郎氏の民主党代表就
任だった。

偽メール問題をめぐる、民主党代表前原誠司氏の迷走で、民主党は壊滅の危機
に直面した。

この危機に際して、火中の栗を拾ったのが小沢一郎氏である。

2006年4月に小沢一郎氏が民主党代表に就任してから、民主党の破竹の快
進撃が始まった。

小沢民主党は2007年参院選に大勝し、民主党は参院第一党に躍進した。

2008年には民主党代表選で、小沢一郎氏攻撃が激化したが、この攻撃をか
わした小沢民主党は、いよいよ決戦の総選挙がある2009年を迎えたのであ
る。

このタイミングで、日本の既得権益は、ついに禁断の領域に足を踏み入れた。

小沢一郎氏に対する未曽有の政治謀略事案を仕掛けたのである。

その発露が2009年3月3日の西松事件勃発である。

小沢一郎氏の公設第一秘書である大久保隆規氏が、突然、逮捕、勾留されたの
である。

嫌疑は、西松建設関連の政治団体である未来産業研究会、新政治問題研究会か
らの政治献金を、事実通りに収支報告書に記載したことが、政治資金規正法違
反であるとされたのである。

驚天動地のでっち上げ犯罪捏造であった。

この大久保氏逮捕を契機に、メディアは、小沢一郎氏が極悪犯罪の首謀者であ
るかのようなイメージ報道を徹底的に展開した。



今回の甘利氏のような事案が、もし、小沢氏に関して発生したなら、メディア
は、その日のうちに小沢氏を辞任に追い込むような広報活動を展開しているは
ずである。

結局、小沢一郎氏の無罪潔白は法廷で証明されたが、メディアによる犯罪視報
道は猖獗を極めたのである。

これに対して、甘利氏の問題に対するメディアの追及の緩さは何であろうか。

NHKなどは、甘利氏の主張ばかりを大々的に報道し、事実関係についての調
査報道がほとんど実行されていない。

この国は、本当に腐り切ってしまっているのである。



小沢一郎氏が民主党代表室で民間事業者の社長と会い、その場で現金を受け取
り、小沢氏事務所がUR=都市再生機構に働きかけをして、当該企業が多額の
補償金を受領し、その謝礼として小沢氏事務所が一千万円単位の金品を受領し
たとの詳細な告発が公表されたら、メディアはどのような反応を示したのか。

これと、甘利明氏の今回の問題に対するメディアの対応を比較することによっ
て、この国のメディアの歪み、社会の歪み、政治の歪みが浮き彫りになる。

テレビの一部は、小沢氏事務所が、岩手県の胆沢ダム建設工事に関連して収賄
やあっせん利得の罪を犯したかのようなイメージ報道を展開し続けた。

検察は一年以上にわたって、不当な強制捜査を繰り返したが、犯罪の立件は何
ひとつできなかった。

元秘書で衆議院議員を務めた石川知裕氏は、水谷建設関係者から現金を受領し
た事実がまったく存在しないにもかかわらず、裁判所は事実関係の適正な証拠
調べもせずに、真実ではない事実認定をした。

政治とメディアが歪んでいるだけではなく、裁判所も腐敗し切っていることが
白日の下に晒された。



安倍政権は必要のない法人税減税を強行し、減税の利益供与を受けた大企業は
自民党に対する献金を増額した。

これこそ、絵に描いたような癒着、腐敗、汚職の構造である。

「政治とカネ」

の問題は、自民党政治にこそ巣食っている。

50万円の現金受領など、日常茶飯事で、記憶にも残らない、という点に、政
治の劣化、腐敗の構造が象徴されている。

「政治とカネ」の問題を根絶するには、自民党政治そのものを根絶する必要が
ある。

主権者はそろそろ目を覚ますべきだ。

そして、選挙で必ず一票を投じて、安倍政治に終止符を打つ。

これが、日本の主権者に課せられた、何よりも大事な責務である。
 



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