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消費税の問題を真剣にそして深刻に考えよう

2019年03月26日 09時40分45秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                    「植草一秀の『知られざる真実』」
                            

                                2019/03/25
             

 消費税の問題を真剣にそして深刻に考えよう
             
  

                                     第2290号
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政治の最重要テーマの一つは財政である。
政治活動の中核は財政活動であると言っても過言でない。
私たちは選挙で代表者を議会に送る。
その代表者が議会で意思決定を行い、政治が行われる。
日本国憲法は国会を国権の最高機関と位置付けている。
国会は立法機関であり、法律を制定するが、同時に予算も決定する。
予算を執行することが法律の執行と同時に行政機関の役割である。
財政活動とは財源を調達し、その財政資金を支出することだ。
政治の最重要の機能と言って過言でないだろう。
日本では財政赤字が最重要の財政問題として論じられることが多いが、財政赤 字は本質的な問題でない。
最重要の財政問題は、財政資金を何に、どのように投入するのかである。
これが財政問題の根幹だ。
この次に重要な問題が、財源をどのように調達するのかという問題だ。
支出に対して収入が不足すれば不足資金を調達しなければならない。
これが財政赤字の問題だ。
何よりも重要な問題は、財政資金の支出のあり方だ。
日本の財政論議でもっとも欠落しているのがこの問題の考察である。

財政支出のありかたについての考察は別の機会に譲り、ここでは、財源調達問 題を考えてみる。
これが税の問題だ。
2019年は政治決戦の年だ。
多くの政治課題が存在するが、2019政治決戦においては、税の問題に焦点 を当てる必要がある。
安倍内閣は2019年10月に消費税率を10%に引き上げようとしている。
この問題に対する論議が決定的に不足している。
しかし、これこそ、2019政治決戦における最重要の争点である。
徹底的な論議が求められている。
消費税問題が十分に論じられない最大の理由は、旧民主党が消費税増税に深く 関与したからだ。
関与したと言うより、旧民主党が消費税増税を主導したと表現するのが正確 だ。
この事実があるため、この問題が脇に置かれている印象を拭えない。
しかし、日本の主権者は、消費税問題を軽視するべきでない。
財政支出のあり方をも含めて、消費税問題に対する論議を徹底的に深めること が必要不可欠だ。
結論を先に示すなら、消費税は増税ではなく、減税するべきだ。
明確に「消費税減税」、そして「消費税廃止へ」の方針を打ち出す必要があ る。

所得税と消費税を比較すれば、その違いは明白だ。
所得税の場合、夫婦子二人の標準世帯を考えると、子の年齢によって若干の相 違があるが、片働きの場合、年収約350万円までは無税だ。
この収入水準を「課税最低限」と呼ぶ。
この収入以下の者は無税である。
ところが、消費税の場合、所得がゼロの個人、子どもから高齢者まで、すべて の国民に8%の税率で課税される。
所得が100億円の個人も適用される税率は同じ8%だ。
財政の最重要機能は所得再分配機能であると私は考える。
経済活動の結果がもたらす格差を是正する機能を財政が有している。
この機能に反するのが消費税制なのだ。
「幸福の増税論」などという言葉が流布されるが、「不幸を拡大させる税制」 でしかない。
盤石の社会保障制度が整備されている国で消費税制度が存在することは是認で きる。
しかし、日本ではその社会保障制度が貧困で、かつ、その貧困な社会保障制度 自体が破壊の対象とされているのだ。
2019政治決戦では、明確に消費税減税を公約に掲げる勢力が登場しなけれ ばならない。
これが「ガーベラ推薦」の第一条件になる。
参院選に向けて「消費税減税」を明示する政治勢力の確立を目指す。

消費税が導入された1989年度と2016年度の税収構造の比較を示してき た。
この事実をすべての国民が知る必要がある。
1月13日に
「消費増税は誰のため?消費税10%をぶった斬る!」
と題する講演をした。
https://bit.ly/2DaAnY7
こちらの動画をぜひご高覧賜りたい。
また、3月2日のオールジャパン総決起集会で
「ガーベラ革命で共生社会を実現しよう」
のタイトルで話をさせていただいた。
https://bit.ly/2Tqh5H1
こちらの動画もご高覧賜りたい。

国税収入規模は1989年度が54.9兆円、2016年度が55.5兆円で ほぼ同額である。
変化したのは税収構成である。
所得税 21.4兆円 → 17.6兆円 法人税 19.0兆円 → 10.3兆円 消費税  3.3兆円 → 17.2兆円
すなわち、税収全体の規模が変わらず、
法人税=9兆円減少、 所得税=4兆円減少、 消費税=14兆円増加
という変化が生じたのだ。
法人税は2007年の政府税制調査会が
「法人税減税の必要なし」
と結論づけたものである。
それにもかかわらず、法人税が9兆円減税されて、消費税が14兆円増税され た。
その結果として、極めて深刻な「貧困問題」が発生している。

どのような政治を目指すのかについては議論がある。
政治哲学の問題と言ってもよいだろう。
経済政策の基本スタンスは大きく二つに分類できる。
ひとつは、経済活動の結果に政府は介入するべきでないとする思想・哲学に基 づくもの。
この思想・哲学をリバタリアニズムと表現することもできる。
いまひとつは、経済活動の結果に政府は一定の介入をするべきだとの思想・哲 学に基づくもの。
この思想・哲学をリベラリズムと表現できる。
ただし、リベラリズムは結果における平等を図るものではない。
経済力の大きいものに相対的に大きな負担を求めて、最低保障ラインを引き上 げるというものだ。
その実現を政府の役割と位置付ける。

どのような政治を実現するのかを決めるのは主権者である。
主権者が判断して現実の政策路線が決定されねばならない。
だからこそ、選挙における争点に経済政策問題を明示する必要がある。
リバタリアニズムの根底には、自然界は弱肉強食であるとの世界観がある。
人間界も基本は弱肉強食なのだとする世界観だ。
だから、経済活動の結果をならすために政府が介入するのはおかしいと判断す る。
これに対して、リベラリズムの発想の原点には、競争に向かう出発点において 大きなハンディキャップが存在していることを踏まえれば、結果における一定 の調整が必要であると考える。
リベラリズムの立場に立つなら、消費税増税は容認できない。
消費税を減税し、法人の負担、富裕層の所得税負担を適正化するべきというこ とになる。

現時点では、山本太郎参議院議員だけが消費税減税を唱えている。
共産党は消費税増税に反対しているが消費税減税にまで踏み込んでいない。
旧民主党勢力は、消費税増税を主導した過去を引きずっている。
だからこそ、主権者が主導して「消費税減税」を公約に明示する政治勢力を全 面支援する必要がある。



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