【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

映画 「シスタースマイル・ドミニクの歌」

2010-12-22 19:00:00 | 映画の香り


   今日の起床時の気温は何と16.5度。
  さすがの私も暖かい! 
  と思ったものです。

   今年も残す所10日を切った
  この時期にこの気温。
  到底信じられません。

   ~なんて。
  最近、こればかりですね。

   さて今日は予(かね)てから心待ちに
  していた映画、「シスタースマイル・
  ドミニクの歌」を観て来ました。
  (フランス・ベルギー合作)

   “ドミニク、ニク、ニク・・”~♪
  で始まるこの歌は、世界中で
  知らない人はいない程、有名ですね。

   誰もが1度か2度は、
  必ず口ずさんだ事のある歌。
  今も、ついハミングしたりして。

   ただこの曲は知っていても、どこの誰が歌っているのか・・。
  歌手の事、ましてや曲の背景など、深く掘り下げて考えた事など毛頭ありません。
  しかもこの曲を作ったのが修道女だったなんて。
  
   物語の舞台は、1950年代末のベルギー。
  直感を信じ行動するジャニーヌ(セシル・ド・フランス)は、
  アフリカで救援活動に我が身を捧げる日を夢見ています。

   一方、母ガブリエルは結婚をさせ、家業のパン屋を継がせようと思っています。
  そんな事もあって彼女の語る夢には全く聞く耳を持ちません。

   両親への反発、特に独善的な母親から逃れ、
  生きる意味と安息を求め修道院に入るジャニーヌ。
  
   厳格な規律に反発しながらも、やがて音楽の才能を開花させ、
  修道会の聖人、ドミニコを讃える歌 「ドミニク」 を作詞作曲するのです。

   やがてジャニーヌは、修道生活を送りながら、
  歌うシスター、「シスター・スマイル」(芸名)としてレコード・デビューを。
  それは300万枚という、世界的な大ヒットを記録するのですが・・。

   この映画の副題には、“夢を追い続けたシスターの心揺さぶる実話” とあります。
  でも実際に観た感想は、ちょっと違うような気も。

   彼女は結局、教会を離れ、独立して歌う事を選択するのですが、上手く行きません。
  確かに 「ドミニク」 は、軽快な曲で耳に残る素敵な歌です。
  
   でも大ヒットした最大の要素は、彼女が修道女であるという事。
  プラス、宗教的な歌詞の歌だったからと・・。 

   おまけに教会側の思惑(教会の建て替え等)との一致。
  そして、初物的物珍しさも多分にあったのではないでしょうか。

   ようするにジャニーヌは、教会とは無関係に自分自身の歌声や魅力で売れたという、
  勘違い? があったと思うのです。ある意味、仕方のない事ですが・・。

   たまたまヒットした曲で一躍有名になった事が、
  人生を狂わせる事になったのでしょうか・・。尤も良くある事ですね。

   最後に。自殺を禁じられている修道女であったにも関わらず、
  一緒に暮らしていた女性と薬物心中を遂げてしまうという悲劇に胸が痛みます。


 
 

映画 「氷雪の門」

2010-11-11 21:46:25 | 映画の香り


   今朝は、何もない空で明けました。
  しかもその空は1日中続き・・。

   右を見ても左を見ても前も後ろも、
  青 ― 青 ― 青。本当に良いお天気!

   そんな日本晴れの空の下、
  映画 『樺太1945年夏 「氷雪の門」』 を
  観て来ました。

   映画を観終わった後の気分・・。
  今日の美しい空と何という違いでしょう。
  
   それは何とも陰鬱な重苦しい雨に
  打たれた気分・・といった処でしょうか。

   この映画は、1974年(昭和49年)に
  制作されたものの、
  ソ連の圧力によって封印されたとか。

   それだって戦後29年も経っていますのに。
  それから又々、36年を経て、やっと封切られたという訳です。
  
   映画の封切でさえ、しめて65年の歳月。
  圧力に弱い・・日本らしいと言えばそうですが・・。
  でも、そんな事で本当に良いのでしょうか。

   周知の如く、未だに北方4島はロシアに実行支配されたま返還されていません。
  返す意思さえもない? これこそ、江戸時代から日本固有の領土でしたのに。

   この映画の内容は以前、本を読んだ事もあり、大略は知っていたつもりです。
  でも、あくまでも想像上の書物と視覚に訴える映像の違いでしょうね。
  後味の悪さ・・こればかりは、どう仕様もありません。
   
   あまりにも、リアルで悲惨。
  観ていて気分が悪くなるような映画です。それと言いますのも・・。

   1945年(昭和20年)、8月15日に終戦を迎えたにも関わらず、
  ソ連軍は、侵略を繰り返します。一般市民を巻き込んで。
  
   いいえ、巻き込んで・・なんて生易しいものではありません。
  「戦争は終わったのだから侵攻はしても銃は撃たないわ」
  そう信じていた女性や子供達にも、正面から銃を向けて撃ち殺すのですから。

   しかも日本とソ連は、「日ソ不可侵条約」 を結んでいたのに・・です。
  言葉は悪いけれど、「火事場の泥棒」 と一緒ですものね。
 
   白旗を掲げている日本軍なのに、完全無視。
  「国際協定違反では」 という精一杯の問いかけにも、
  「敗戦国が何を言う」 と言い、これ又、撃ち殺すのです。

   戦争映画は、これまでにも幾度か観て来ましたし、
  戦争による悲惨さも分かっているつもりです。

   市民、国民など非戦闘員を巻き込んでしまう殺戮などから
  戦争の悲惨さを描き、2度と戦争を起こしてはいけないと考えさせる作品と、
  「バジル大作戦」 に見られるように、
  戦闘要員同志との一大スぺクタクル・エンターテイメントの様相のものも。
  
   それは、ある意味、戦争賛美? のような面もあり、
  戦勝国に対する恨みや憤りを感じた事は、ほとんどありません。

   しかしながら、いくら戦争とは言え、この映画ほどの残忍無比な国を知りません。
  こんな時、司馬遼太郎作の 「坂の上の雲」 を思い出します。
  
   ロシアに苦しめられていた、ヨーロッパの国々から、
  「残忍なロシアと戦ってくれる日本」 と称賛された本当の意味を知る事になろうとは・・。
  
   ソ連軍は、日露戦争に負けた仕返しをしたのかも知れませんね。
  こんな卑怯なやり方で。

   それにしても9名の電話交換手の乙女達。
  郵便局長初め、なぜ彼女達を守ってやれなかったのか・・残念です。
  
   身を呈してでも真っ先に本土に送還すべきだったと思うのです。
  最後に。「死後、政府による勲章よりも彼女達は生きたかったであろう」
  ~と結んでありましたが、正にその通りだと思います。


 
    


   10╱22付の産経新聞に 「北方の悲劇」 と題した記事が載っていました。
  紛れもなく今日の映画の歴史的背景。以下に記して置きます。

【北方の悲劇】
8月15日、日本は降伏した。だが、ソ連軍は侵攻をやめない。
ソ連の戦車は今はサハリンと呼ばれる樺太で国境線を突破。
南下して日本の将兵のみか婦女子も多数殺戮さつりくした。

死亡者は引き上げ船が撃沈された事もあり、四千数百人に上る。
ソ連が樺太全域の占領を目指したからで、終戦5日後の8月20日、
南の真岡まおかにソ連海軍は艦砲射撃を加え上陸した。
そのソ連軍のもとへ停戦交渉に赴いた日本側軍使一行は
白旗を掲げていたが、射殺された。街には火災が発生する。

真岡の名は日本の辞書にはもうないが、
世界地図にはホルムスクと出ている。
戦争中は人口2万、全人口が40万の南樺太では大都会だった。

その真岡郵便局に踏みとどまって最後まで勤務した9人の電話交換手の
少女達は、ソ連軍が迫るや、「皆さん、これが最後です、さようなら」の
通信を豊原に送って青酸カリで自決した。

映画 「雷桜」

2010-11-01 19:17:07 | 映画の香り


   起床時には
  上がっていた昨日の雨。
  その後、又降り出し・・。

   天気予報通り上がったのは、
  午前9時頃だったでしょうか・・。
  今日も暖かい朝です。

   今日は朝、1番に映画を観に行く
  予定にしていましたのに、
  段取りが悪く出掛けにバタバタと。
  結局、時間を遅らす羽目に。

   「都合のいい時にゃ、
  必ず、何かしら、しなくちゃ
  ならない事が出来て来る
  ものですね。(略)」

           【「アンの友達」 9.】

   ~ ↑ とは良く言ったものです。

   しかしながら今日の天気は、すこぶるお天気屋さん。
  太陽も出ていた空なのに、出掛ける30分前になってまたもや雨。
  
   幸い家を出る時にはやんでいましたので、自転車で地元の映画館へ。
  終わって映画館を出た時には既に青空でしたが、地面は濡れていましたし、
  皆さん、手には傘を持っていらっしゃいましたもの。やはりザ~ッと来たようです。

   

   それにしても本当に久し振りの映画となりました。
  その映画とは、岡田将生、蒼井優主演の 『雷桜』 です。

   早くから手元に用意していた、チラシには・・。
  “運命に挑み、愛を貫いた2人。日本版「ロミオとジュリエット」”
  ~なんて、ありますもの。興味をそそられるというものです。その物語は・・。   

   時は江戸時代。徳川将軍・家斉の息子で清水家の当主・斉道(岡田将生)。
  母親の愛を知らずに育った斉道は、うつけ(心の病)に。

   静養のために瀬田村に向かう道中、天狗が出るという噂の瀬田山で、
  斉道は自由奔放な娘、雷(蒼井優)と運命の出会いをします。
  それは落雷に撃たれ、公孫樹の根元に桜が芽を付けた不思議な巨木、雷桜の下で。

   実は雷という娘は誘拐され、10年以上も山で育てられた庄屋の娘、遊だった・・。
  そして遊の兄は、斉道に仕えている家臣の瀬田助次郎(小出恵介)。

   決して交わる筈のなかった2人の境遇は、互いに保ちながらも深く絡み合い、
  運命の恋に落ちて行くのです。それは、まるで雷桜のように。

   叶わないと知りながらも互いの心を求め合う斉道と遊。
  2人は初めて人を愛し、愛を知る事で心の成長を遂げます。
  しかし宿命(さだめ)は、2人を引き裂き…。

   長々とあらすじを述べてしまいましたが、一言で素敵な映画でした。
  そして美しいのです。主役の2人は勿論の事、何もかも。
  こんな素晴らしい映画に出会った事に感謝です。

   写真の雷桜の木も。春は勿論、桜だけですが秋も素晴らしい!
  公孫樹の黄色と桜の赤い葉っぱが絡まって。

   それにしても、このロケ地は一体どこなのでしょう。
  白い花や黄色の花が咲く草原を馬で颯爽と駆け抜ける・・。

   この映画は、身分の違いから結ばれる事のない運命の悲恋物語ですが、
  すっかり感情移入して見入っていました。
  
   映画が終わって明るくなっても一瞬、自分がどこにいるのか分からなくなり・・。
  それは、タイムスリップした江戸時代から現代に戻って来たようで・・
  しばらく後を引きそうです。

ヴィクトリア女王~世紀の愛

2010-04-28 18:26:36 | 映画の香り


   未明まで降り続いた雨は、
  朝には上がっていました。
 
   と言うより、“朝から太陽”。
  再び雲一つない快晴となりました。
 
   定番の “空気がピカピカ光っている”
  状態も健在です。
  
   たったそれだけの事ですのに、
  いつもの庭が随分、新鮮に見えます。
  
   そんな日は、
  ついつい長居してしまいますが、
  今日は早めに切り上げました。
  それと言いますのも・・。

   今日は、英国・アメリカ合作映画、
  『ヴィクトリア女王~世紀の愛』 を
  観に行く予定にしていましたから。

   全国的には昨年末、封切られたようですね。
  やっと我街で封切られる事となりました。遅れる事、4ヶ月です。

 



   映画は、7つの海を支配し、英国を 「太陽の沈まない国」 と
  呼ばれるほどの世界最強の帝国に押し上げた、
  ヴィクトリア女王(エミリー・ブラント)の若き日の愛の物語です。

   何より、ロマンス小説そのままの、
  アルバート公(ルパート・フレンド)との
  美しい愛の物語に驚かされます。
  
   と言っても、王室の権力争いや、
  マスコミが書き立てるスキャンダルは、
  いつの時代も一緒ですね。

   真の絆を結ぶまで数々の波乱と困難を乗り越えながら、
  2人は、純粋に愛を育(はぐく)んで行きます。

   私は英国を初め、このような王室物語が大好きなのですが、
  このヴィクトリア女王の事については、以前のブログでも書き込みました、
  【こちら】 の本でも読んだ記憶があります。

   その本には2人の肖像画が描かれているのですが、
  アルバート公は、映画そのままにハンサムです。
  
   どうやら、ヴィクトリア女王の一目惚れだったようですね。
  実際の女王は、相当に我儘(わがまま)で自分の感情をむき出しにする性格。
  
   それを優しくたしなめ、理想的な君主に教育して行ったのが、アルバート公でした。
  容貌の方も、美人には程遠いとも。

   とは言え、映画の女王は美しく高潔です。
  映画を観るまでは、映画 『ある侯爵夫人の生涯』 のキーラ・ナイトレイを私自身、
  引きずっていましたが、エミリー・ブラントも素敵です。

   ヴィクトリア女王については後年、黒服をまとい、
  白いレースをあしらった、写真があまりにも有名ですね。

   しかしながら映画では、様々の素敵なドレスが楽しめました。
  青いドレス、黄色いドレス、外出着・・。
  
   薔薇の花が、必ず効果的に・・素敵に飾られています。髪に、帽子に、ドレスに。
  宮殿の室内装飾と共に、こんな所も目の保養とさせて頂きました。

   


   
     明日(29日)は、ブログをお休みさせて頂きます。
    勝手を申しますが、どうぞよろしくお願い致します。

    

映画 「シャネル&ストラヴィンスキー」~背徳の香り

2010-03-31 18:26:16 | 映画の香り




   起床時こそ太陽が顔を覗かせていましたが、その後時を経ず真珠色の空に。
  良いお天気が長続きしません。

   気温の方は、昨日までの真冬から平年並みに・・という事でしたが、
  それほど暖かいとは思いません。曇り空のせいかも知れませんね。

   こんなお天気の中、当初ほど気は進みませんでしたが・・
  先週はパスした、フランス映画、『シャネル&ストラヴィンスキー』 を観て来ました。

   やはり、昨年10月に観た 『ココ・アヴァン・シャネル』 では登場しなかった、
  ストラヴィンスキーの存在が気になりましたし、
  『アンの世界』 にも共通する、20世紀初頭のファッションや、
  その背景にも興味ありますから。

   昨年観た映画は成功するまでを描いていましたが、
  今回の映画は、既にデザイナーとしての地位を確立していた、
  シャネルのその後の人生を描いています。
  『アンの世界』 より少し後の時代ですね。1920年以降です。

   今回のシャネル役は、自身が長年シャネルの
  “ミューズ” を務めているという、アナ・ムグラリス。
  (私自身は、あまり好きではありませんが)

   道理で歩き方や、着こなしが抜群だと思ったものです。
  ストラヴィンスキーを演じるのは 『007/カジノロワイヤル』 のマッツ・ミケルセン。

   映画は、ストラヴィンスキーの 「春の祭典」 初演から始まります。
  (この場面は実に丁寧に描かれています)
  
   当時としては前衛的な 「春の祭典」 を酷評され、
  打ちのめされるストラヴィンスキー。
  
   しかしながら、そんな彼の音楽に惹かれ、
  資金提供を申し入れるシャネル。尚且つ別荘にまで彼と家族を住まわせます。
  
   でも、ストラヴィンスキーの代表的な作品、「春の祭典」に、
  シャネルが、こんな風に関わっていたなんて・・初耳です。

    服と同じ黒白で統一されたアールデコ調のインテリアにも興味をそそられます。
  プラス、ストラヴィンスキーの奏でるピアノの黒白の鍵盤にも運命? が絡み・・。

   今回は、シャネルの代名詞とも言える、香水「No.5」 と、
  創造性と独創力に惹かれる、2人の秘密の恋。
  
   やがて、病気がちなストラヴィンスキーの妻に知られる事になるのですが・・。
  共通の創造性と独創力も、「君のは芸術ではない。洋服屋だ」 と言われ、傷つくシャネル。
  
   それより何より、ストラヴィンスキーの 「春の祭典」 の舞台の素晴らしさに圧倒。
  そして随所で流れる美しい彼の音楽と、シャネルの紡ぎ出すファッションセンスに脱帽です。

映画 「クララ・シューマン 愛の協奏曲」

2010-01-06 20:01:28 | 映画の香り


   今日も、
  こんな鋭角的な空になりました。

   思わず、「寒い!」 ~なんて、
  起き出したものですが、
  それでも・・いつも目を遣(や)る
  居間の気温は、意外にも12度。

   昨日よりは 2度下がっていますが、
  体感的にはもっと寒く感じられ・・。
  
   でも、この位でしたなら、
  どうって事ありませんね。

   さて、そうは言いつつも、肌に当たる風は冷たいけれど・・冬日和の中、
  予(かね)てから待ち侘びていました映画(ドイツ、フランス、ハンガリー合作)、
  『クララ・シューマン 「愛の協奏曲」』 を観て来ました。

   一番早い所では昨夏、封切られたようですね。(こちらでは9月)
  今回(12╱26~)、やっと我街の映画館に掛かってくれたという訳です。



   シューマンとその妻クララとの愛の
  物語は、あまりにも有名ですし、
  私にとってもクララは憧れの存在。

   そして、シューマンの弟子、
  ブラームスとクララとの恋。

   ブラームスが生涯独身を通したのも
  クララへの愛を捧げたから。
  これらも周知の事でしょう。

   倍も(実際は14歳)年下の、それも才能ある美しい青年から崇拝される・・。
  そんなこんなで・・期待に大きく胸を膨らませ? 行って来ました。

   そうそう、クララ役のマルティナ・ゲディック、どこかで観たと思いましたら・・。
  映画 『善き人のためのソナタ』 に出演していましたね。(その記事は 【こちら】
  
   映画は、ロベルト・シューマン(パスカル・グレゴリー)とクララ(マルティナ・ゲデック)が、
  汽車に乗っているシーンから始まります。

   「汽車は早過ぎる。これでは魂が吸い取られる」
  と言うロベルトに対し、「速いって素敵!」 とクララ。

   時代は、モーツァルトやベートーヴェンの 「馬車」 から 「汽車」 へ。
  近代世界に移り変わろうとしています。
  そんな時代に前述の二人の会話。暗示的に物語は展開して行きます。

   それらの対応の違いは、その後のロベルトの頭痛、
  すなわち精神的な病(躁鬱病)として現れ・・。
  尤も芸術家特有の繊細な神経の持ち主という事もありますが・・。

   天才作曲家ロベルト・シューマンの妻クララは、
  夫と共に、ピアニストとしてヨーロッパを回りながら、妻として、
  7人もの子供の母として、多忙な日々を送っています。

   そんな時、天才作曲家として注目されつつあるものの、
  まだまだ無名のブラームスに出会います。
  
   ブラームスは、やがて尊敬するシューマンの住む家に弟子として住み込みます。
  ここから美貌のクララを挟んで、ロベルトとブラームスの愛と葛藤の始まりという訳です。

   ところで、私が昔読んだ本では、クララとシューマンの物語は、
  それはそれは美しいものでした。

   そしてブラームスも、クララに対する気持ちは、どちらかと言えば、
  片思い的に描かれていたように思います。
  (と言って今日の映画が美しくないと言うのではありません)

   ロベルトが亡くなった後も献身的にクララを支え、クララの死後は、
  これも約束通り、後を追うようにブラームスも・・。

   ただ、いつものように求めたパンフレットに衝撃の事実が・・。
  真実は、時に知らなくてもいい事ありますね。
  続きは、明日に・・。(多分)

   最後に。全編に、シューマンとブラームスの音楽。それにすっかり酔いました。
  その曲目を以下に記して置きます。

   
ロベルト・シューマン : ピアノ協奏曲イ短調Op.54~第1楽章
ヨハネス・ブラームス : ピアノ三重奏曲第1番ロ長調Op.8~第2楽章
ロベルト・シューマン : 交響曲第3番ホ長調「ライン」Op.97~第1楽章、第2楽章
ヨハネス・ブラームス : ピアノソナタ第2番嬰ヘ短調Op.2~第1楽章
ロベルト・シューマン : 色とりどりの小品Op.99~第4曲「音楽帖第1番」
ヨハネス・ブラームス : 子守歌Op.49-4
ロベルト・シューマン : ピアノソナタ第1番嬰ヘ短調Op.11~第1楽章
ヨハネス・ブラームス : ハンガリー舞曲第5番嬰ヘ短調
ロベルト・シューマン : 幻想小曲集Op.12~第1曲「夕べに」
クララ・シューマン  : ロマンス・ヴァリエ(ピアノのためのロマンスと変奏)Op.3
ロベルト・シューマン : クララ・ヴィークの主題による10の即興曲Op.5
ヨハネス・ブラームス : ピアノ協奏曲第1番ニ短調Op.15~第1楽章  

映画 「沈まぬ太陽」~感動と慟哭の物語

2009-11-20 19:16:16 | 映画の香り


   起床時、久し振りに、
  スッキリした空になりました。

   その後の空を見る限り、
  鋭角的な冬の空になっています。

   朝、一番に窓を開けて、
  ピリッと来る冷気。
  この瞬間、結構好きだったりします。

   そんな中、ちょっと久し振り、
  山崎豊子原作の社会派映画、
  『沈まぬ太陽』 を観て来ました。
  (ポイントが貯まりましたので)

    間に 10分間の休憩の入る、大作です。(3時間22分)
  この映画の原作(全5巻)は、もう何年も前に、既に読了しています。
  思えば・・この本から私の音読は、スタートしたのです。
   




   原作を読んだ当時も、
  よくぞ出版出来たと思ったものですが、
  同じ事を映像化出来た今も、思います。

   当然、フィクションをうたってはいますが、
  国民航空が日本航空である事は、
  一目瞭然ですし、御巣鷹山の惨劇となれば、
  なおの事でしょう。
  
   しかも、この惨劇を映画の冒頭に持って来て
  いますし、一つのキーワードにもなっています。

   映画は、日本が経済大国へと急成長した激動の時代を背景に、
  巨大企業に翻弄(ほんろう)されながらも、頑固と言ってもいいほど、
  自らの信念を貫く男の姿を描きます。

   組織と闘う主人公の恩地 元(はじめ)役を演じた、渡辺謙を初め、
  一緒に組合活動をしながら、恩地とは全く違った生き方、
  エリートコースをひた走る行天(ぎょうてん)四郎役の三浦友和。
  
   その愛人役の三井美樹役の松雪泰子、石坂浩二等など・・
  他にも実力派俳優の揃い踏み。
  長い映画でしたが、長さを全く感じる事なく、画面に釘付けでした。

   政治と金の癒着は言うまでもなく、つい最近のJR西問題でも垣間見える、
  社会の裏側をこの映画は余す所なく、見せつけます。
  
   ましてや現在の凋落振りを見ますと、作者の慧眼(けいがん)には恐れ入ります。
  でも、そこは映画ですね。
  
   原作では恩地は常に冷静、沈着、激昂する事などないように描かれていましたが、
  映画では違いましたし、恩地(渡辺謙)も大股で颯爽と歩く姿もカッコイイ・・。
  
   それでは行天(三浦友和)も、恩地に対して、
  ある種の嫉妬もあったかも知れません。なぜか、そんな風に思えてなりません。

   ともあれ、大衆迎合の映画が多い中で、日本の企業体質(組織悪)に、
  鋭くメスを入れた、この映画は、必見の価値があると思います。

映画 「ココ・アヴァン・シャネル」

2009-10-20 19:35:15 | 映画の香り
   起床時こそ、真珠色の空でしたが、
  こちらは今日も秋晴れです。

   そんな中、遅ればせながら、
  フランス映画 『ココ・アヴァン・シャネル』 を
  観て来ました。

   この映画は先月、
  “室内と戸外の優劣” に負けてしまって
  ・・と言いますか、新型インフルエンザが
  流行っているという事もあり、
  やめてしまった経緯があります。

   “ジュリアン 2世” から又々、券を頂き、
  今日の映画行きとなりました。

   新型インフルに関しましては、
  先月より今月の方がもっと大変ですのに、
  皮肉なものですね。

   物事とは得てしてこんなものでしょう。
  ~なんて、かなり開き直っています。

   ただ幸いな事に、映画も封切から1ヶ月を過ぎましたので、
  中心部の映画館にしては空いていました。
  
   何しろ、この映画館では観客動員数 NO1 の映画だそうですから。
  そして何事にも感化されやすい私は・・例の如く、夢見心地で帰って参りました。







   さて映画は、タイトルからも
  容易に想像出来ますね。

   今、世界中で最も愛されている、
  トップブランドの創始者であり、
  デザイナーの 「ココ・シャネル」 の
  半生を描いた、伝記ドラマです。

   先に挙げた数々の写真からも
  分かりますように、時代背景も
  『アンの世界』 に重なります。

   シャネル自身も、
  孤児院育ちなのですね。
  
   そんな所も、アンを彷彿したものです。
  尤もシャネルは、アンと違って
  生涯、結婚生活には無縁でしたが・・。

   映画は、意外にもデザイナーとして
  成功する彼女を描くのではなく、
  何事にも粘り強く、才能を信じ、ひたむきに生きる姿を描いています。

    この時代、彼女ほど自分の意志を
   曲げない人も少ないでしょう。
  
    だからこそ成功を導いたとも言えますが、
   なかなか出来る事ではありません。

    大嫌いなものは、当時の大袈裟な
   ファッションと言います。
  
    過剰なまでにレースで装飾され、
   不自然なまでにウェストを締め付けた、
   コルセット。大きく開いた胸元。
  
    (尤も、この “レースで装飾ファッション”、私は大好きなのですが)
   彼女は帽子から飾り立てている花を、女性を締め付けている、
   コルセットを取り去るのです。(まぁ、勿体ない・・)

   印象的だったのは、ドレスの色を選ぶ時。
  黒い瞳と髪に合うのは黒と、黒のドレスを選びます。デザインも至ってシンプル。
  
   周りが様々な色で溢れているのですから、これは目立ちますね。 ( 写真)
  白もそう。この二つの色には、絶対的な美しさがあると言っています。

   そうそう、冒頭のポスターもそうですが、彼女は煙草が大好きだったようですね。
  (このポスター、パリでは取り外されたとか)
  映画のあらゆるシーンで、煙草をくわえている姿が印象的でした。

   それでも88歳で亡くなるその日まで夜遅くまで仕事をし、
  パリのホテル・リッツ、スイートルームで眠ったまま息を引き取ったと言います。
  
   それは、シャネルの春夏オートクチュール・コレクションの数日前とか。
  ある意味、幸せな一生だったのではないでしょうか・・。

   それにしても、当時のフランス貴族たちの優雅で、怠惰な? 生活。
  私の脳裏には未だに華やかな衣装に身を包んだ、
  女性たちの歓声がこだまし、広大できらびやかな宮殿の光景が交錯しています。  

舞台 「わが町」

2009-10-08 16:53:53 | 映画の香り
   日本列島を縦断しました、
  (今も現在進行形中ですね)
  台風18号、皆様の所はいかがですか?

   こちらは眠っているうちにやって来て、
  起床時にはその風雨も治まっていました。

   それでも5時前に1度目覚めた時には、
  雨は窓に、ブツブツ音を立てて当たり、
  風は、ゴーゴー唸っていました。

   しかしながら、眠っているうちに・・
  これって、いいですね。
  恐怖が甚だ軽減されますもの。

   幸い、こちらは何も被害が
  ありませんでした。
  落葉の凄まじさを除いては・・。

   それにしても、
  「台風一過」とは、よく言ったものですね。

   午後になりますと、こんな青空に。
  空気が洗い流され、
  まるで吸い込まれそうな空!!

   さて、話は昨日に戻ります。
  券を頂いた事もあって、
  織田作之助原作、
  『舞台「わが町」』 を観て来ました。
  
   お芝居は本当に久し振り。
  映画もそうですが、
  お芝居もなおの事、観始めますと、たまりませんね。

   この物語は、大阪の吹き溜まりのような町、「河童小路」 に住む、
  車引き、佐渡島他吉(赤井英和)の生涯を描いています。
  「人間、体責めて働かな嘘や!」 が、口癖の力持ち、至って不器用な男。

   娘の初枝(安達祐実)が、亭主の死を知り、
  そのショックから赤ん坊を産むと同時に亡くなった後は、
  その忘れ形見である孫娘を、男手一つで育てるのです。
  (贖罪の気持ちもあって)それこそ愚直に働き続けます。

   他吉の心の支えは、かつて出稼ぎに赴いたフィリピンでの血の滲むような苦労と南十字星。
  それは、又忘れるに忘れられない思い出ともなっています。
  他吉と同じ、「河童小路」 の住人である、美しい三味線弾きのおとら(萬田久子)も、絡んで・・。
     
   やがて月日が流れ、他吉の孫娘・君枝(安達祐実・二役)は、
  美しく気立ての良い娘に成長し、幼馴染のジローと結婚。

   そして役割を果たし終えた他吉にも、漸(ようや)く、
  体を責めて働かなくてもよい日々が訪れるかに見えたのですが・・・・・・

   ~こんな、あらすじからも分かりますように、
  大阪の、ほんのり人情物を描いた作品です。
  
   ほろり・・とさせられる場面もあり・・。
  それもその筈、『夫婦善哉(みょうとぜんざい)』 などで知られ、
  人情を描いたら右に出る者のいないと言われる、織田作之助ですものね。

   ただ、舞台背景のセットが最初から最後まで同じでしたし、
  主演の赤井英和の台詞(せりふ)のとちりなど・・少々、目に付きました。
  尤も、それも彼の持ち味かも知れませんが・・。

映画 「約束の犬 HACHI」~待つ事の幸せ

2009-08-24 17:55:55 | 映画の香り




   今日も昨日以上の爽やかな朝を
  迎えました。

   起床時の空もご覧のような、
  仄かに染まった空。

   日中もカラッとして、
  大層良いお天気になりました。

   太陽の下は暑いけれど、
  ひとたび木陰に入ると、
  サラサラと気持ちの良い風が吹き、
  もうすっかり秋を思わせます。

   それもその筈、ただ今の湿度は、48%。
  行きは青い空と、もこもこと浮かぶ、白い雲に見惚(と)れながら、
  帰りは、抜けるような青空に、吸い込まれそうな思いを抱きながら・・
  映画 『約束の犬 「HACHI」』 を観て来ました。

   この映画の原版は、言うまでもなく、日本映画 『ハチ公物語』 です。
  この忠犬ハチ公物語は、あまりにも有名ですね。
  
   つい先日もテレビで、その 『ハチ公物語』 をやっていました。
  勿論、見た事は言うまでもありません。

   今日の映画のハチも、それはもう可愛くて可愛くて・・。
  迷い犬になったハチを自宅に連れ帰り、やがては自分で飼う事にする、
  主人公の大学教授、パーカー(リチャード・ギア)。

   そんな主人公、パーカーとハチの心温まる、愛の絆の物語です。
  それは毎朝、一緒にベッドリッジ駅まで行き、
  パーカーを見送り、帰りは必ず、午後 5時に待つハチ・・。
  それが、毎日の二人の心楽しい日課。

   このハチは、秋田犬ですが、秋田犬は決して人間に媚びない、
  威厳に満ちた、犬なのだそうですね。好き嫌いも一瞬で決めてしまう犬だとも。

   従って、芸などはしません。
  事実、ボールを取って来る事もしませんし、知らん顔しています。ところが・・。

   パーカーと永遠に別れる事になるその日だけは、そのボール遊びをするのです。
  喜ぶパーカー。でも、それが最後の別れになると・・一体、誰が知るでしょう・・。

   その後も・・毎日午後5時には、いつもの決まった場所で待つハチ。
  雨の日も雪の日もただ、ひたすらに・・。その健気な姿が、胸を打ちます。
  
   この映画は、見返りを求めない無償の愛と、
  信頼の持つ美しさと素晴らしさを教えてくれました。
  それでは、このハチの凛々しくもある可愛い雄姿をもう少し・・。



【ベッドリッジ駅、午後5時。駅にはいつも君が待っていた】