今何処(今の話の何処が面白いのかというと…)
マンガ、アニメ、特撮の感想ブログです。




【物語三昧:絶対悪とは、時間軸のない(弱い)物語であり、目的はテンションの転換であって世界を再現することではないのでは?】
http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20090616/p3

本日友人と、映画『ダークナイト』のジョーカーの話で盛り上がった。絶対悪を描く時に外部帰属(=悪になった理由)を描くと陳腐になるという話をしていて、レクター博士の二作目は最低につまらないし、『モンスター』のショボさったらなかった、という話になった。

ペトロニウスさんのこの話題、僕の周りのMixiのマイミクさんたちの間でも話がされていて、僕も「悪役」が大好きな人間なんで、何か書き留めておこうかなと。…とは言え、本当はMixiでの流れとかがあって、そこらへんの文脈が分からないと全体像が伝わらないかもしれないんですけど(汗)………僕の理解でかいつまむと、これって「究極の“悪役”ってどんな奴?」という話かな?と思っています。“悪”ではなく“悪役”~抽象的なそれを体現/顕現する者。“悪人”ではなく“悪役”~あくまでドラマツルギー(エンターテインメント)の中で成立する演者。…という理解です。

これは、元々“答え”が無い(唯一解が無い)ような話ではあるんですよね。さらに言えば、現代社会では「善と悪の物語」を単純に信じ切れない程…ある意味、成熟してきており、様々な要素が絡んで“答え”をさらに複雑なものにしている面がありますね。昔は「そもそも悪とは何か?」なんて話をする必要は(大勢において)なかったのが、現在だと、まずそこから考えないといけない状態というのは有りますよね。(※ここらへん、おそらく「相対と絶対の話」~「細分化と一本化への再構築の話」にも繋がってくるような気がします)ただ、色んな人と話をしていても、おそらくこれは共通項というか“究極を目指す悪役”の条件と言えそうなものが一つある事が分かってきました。それは何かっていうと……“悪役”は言い訳なんかしちゃダメだよね?w…という話でw
いや、言い訳しても“悪役”というカテゴリーから即外れるってワケでもないですが、少なくとも“究極の悪役”候補にエントリーする気はちょっと失せてしまうw「自分はこんなに不幸で可哀想なので他の連中も同じ目に合わせてやろうと思いました」でも「世界を救う為には自分が悪を引き受けるしかないと思いました」でも何でもいいんですが、言い訳をはじめたら、それは“悪”ではなく“ルサンチマン”だと言うのは、本当にそんな気がします。まあ、希に自説を滔々と垂れ流していても、異様な自信というか“交渉不能感”に満ちたキャラクターがいて「ちょwwwひえええ~ww通じねえこいつ…!w」って感じ入ってしまう事もあるんですが…まあ、希ですねw

…で、僕の方も「絶対悪」という言葉から思い浮かんだ“悪役”たちを挙げておこうと思います。いずれも、今は古典の部類に入る作品なんで、現代の“究極の悪役”とは?という問いには必ずしもフィットしないとは思うんですが…(汗)古典故に、シンプルに“悪”を突き詰めている所があって、思考の出発点になるかな?とは思っています。


■不滅の悪…黒い幽霊団(サイボーグ009)



黒い幽霊…「009ト言ッタナ、ワタシニソンナモノハ役ニ立タナイヨ。ドンナチカラモ、ワタシヲ滅ボスコトハデキナイノダ」

そもそもストーリー・マンガで戦いの果てに“根源的な悪”にまで到達したのは「サイボーグ009」がはじめてのような気がするんですけど…どうなんでしょうね?いや、今、思いつきで書いているし、そも“根源的な悪”の捉え方自体で変ってくる事なんで、拙速に詰めても詮無いですが(汗)…ただ、こういう“敵”に遭遇する可能性がある物語ってSFあたりになってくると思うんですが、たとえば「鉄腕アトム」は“根源的な悪”というモノと対決する事はなかったですね。(繰り返しますが、捉え方によるものではあります)それは「鉄人28号」も、よりハードな「エイトマン」もそうです。(…ああ、でもその後、あの「幻魔大戦」か…)
これは特撮ヒーローなんかでもそうで「月光仮面」や「七色仮面」は基本的に“悪”を討つと言っても相手はギャング団(犯罪者)なんですよね。それが宇宙からの来訪者に変っても本質的な部分は同質と言え……「ウルトラマン」をどう評するか?という所もありますが、何だか得体の知れない“根源的な悪”のようなもの…と対決する事になるのは、同じ石ノ森作品である「仮面ライダー」の登場を待ったはずです。多分、これは石ノ森先生のテーマなんだと思っています。

その黒い幽霊が009と対峙した時、彼(?)は自分を滅ぼす事が不可能である事を主張します。その理由は3つあるんですが以下の通り。

1.自分は電磁バリアーで守られており009の武器ではこれを破壊できない。
2.自分は黒い幽霊の“細胞”の一つに過ぎず、その一つを破壊しても“細胞”はまだ多数存在する。
3.自分は“人間の心”から生まれた存在であり、人間を皆殺しにしない限り、何度でも甦る。

この3つ目の理由が黒い幽霊をして“根源的な悪”と言われる由縁であり、ラスボスが断末魔代わりによく言う「私を倒しても第二、第三の(ry」…って言うのは出典なんですっけね?wそういう「終わりなき善と悪との戦い」を一つの作品内で説明つけてしまっているんですね。もっとも「サイボーグ009」における“悪”とは(大意においては)「戦争を起す者」の事であり、何故、戦争が無くならないのか?と言えば、人間の心の中に“悪”があるから…という、現代的に観れば「そんな単純なもんでもないんじゃ…?」という指摘がないワケではないでしょうけど、ただ、そういう“悪”という考え方が時代によって変化しようとも、それが人間の心から発生する限り滅する事のできない存在であるという指摘であり、たとえばそれは今も「正しい者と悪い者の対決の物語」(つまり第二、第三の黒い幽霊)が作られ続けている事によってメタ的に証明を受けている…とも言えるんですよね。


■純粋な悪…グルンワルド(太陽の王子ホルスの大冒険)



グルンワルド…「ゆけ、そしてホルスを倒すのだ。お前自身のために…」

「太陽の王子ホルスの大冒険」を知っている人で、グルンワルドを今の話題に入れる事には違和感を感じる人がいるかもしれません。グルンワルドって所謂“悪魔”なんですけど、キャラクターそのものは実はそんな悪人に観えない所があって……いい人では全然ないんですけどね…わりと熱心に仕事をする“悪魔”…?(´・ω・`)いや、余計な話は置いておいて(汗)戦闘力的に観てもグルンワルドはそんなに脅威的な存在ではないんですよね。“絶対勝てない感”はない…。むしろ、クライマックスはホルスと彼が従えた村人たちに、正直、なぶり殺されている。(正直、可哀想になってしまうくらい惨めに死にます)しかし、「ホルス」のテーマとは正に“善と悪の戦い”そのものであり、最期はなすすべも無く滅びてしまうからこそ、悪魔グルンワルドは、“純粋な悪”なんです。

「ホルス」における“悪”とは何かというと、それは「互いを信じられない心」なんですよね。「ホルス」の舞台は北海道(アイヌ)というか北欧というか…ともかく冬は極寒となる土地で人々は小さな村落で身を寄せ合って生きています。…そんな中で“互いを信じる事”を止めてしまったら、後は、人間は冬の凍てつく吹雪に呑込まれて滅びるだけなんですよね。グルンワルドは正にそこを突いてくる“悪魔”であり(グルンワルドの目的は分かりません、ただ人間のいない凍てついた土地を拡げる事だけが彼の望みに観えます)、妹のヒルダを使わして、村人たちの猜疑心を煽り、互いに助け合う気持ちを奪ったところで冬の軍団を差し向けて滅ぼす…そういう話です。
そのグルンワルドに主人公のホルスはどうやって勝利するのか…?実は、僕はこの話めちゃめちゃ好きで…wヒルダの手によって、一度入ったら永遠にさまよい続ける“迷いの森”とういう所にホルスは落とされるんですですけどね。ホルスはそこから理由なく抜け出るんですよね。そしてグルンワルドに対抗する太陽の剣を打ち直す方法を理解して村に帰り、その時から、ホルスの反撃が始まります。この展開に入った所で、先ほど述べたように戦いはホルスと村人側のほぼワンサイドゲームになる。…その転換点となった迷いの森からの脱出について、ホルスは突然「そうか!分かった!!」と叫んだかと思うと、迷いの森を抜け出してしまうんですよね。何と言うか、そこに説明らしい説明がほとんど無いんです。

これねえ…どういう事かと言うと…。悪魔を倒すのに最初から理由なんか要らなかったっていう話なんですよね。人間が正しい心を持ってさえいれば、悪魔はそれだけで滅びるしかないという物語なんですよね。「雪の女王」とかも、これに近い話ですね。(…というか、この作品、多分「雪の女王」は参考にしていると思うんだけど…)……何の力も持っていないゲルダがカイを救い出す事ができたのは、なぜか……?数は多くないんですが、(大抵の作品は説明を用意するのに対して)たま~にここのラインを狙ってくる作品はありますね。…単にご都合とか、説明不足で片付けられちゃったりもしますが…(汗)

というか「ダークナイト」のジョーカーにおける、客船の“あのシーン”が正にこれ!なんですよね。人間に正しく行動されるだけでジョーカーはただの道化に成り下がる。先の「だからこそ我々は滅びない」と断言する黒い幽霊の逆説なんですが、“悪”が人の心から発するものであるならば、その人の心が、正しさを失わなければ、純粋な悪であればあるほど、もう何も為す術はないのだという指摘もまた有るのですよね。


■邪悪…白イタチ・ノロイ(ガンバの冒険)



ノロイ…「お前たちは“この世で一番美しい白い花”を汚した!わかっているはずだな!白を汚したものはどうなるか!」

白イタチ・ノロイは“究極の悪役”の一つでじゃないかと思っています。上に掲げたセリフは、実は部下のイタチに向けられたものです。イタチの集団がガンバたちを追い詰めて爪を掛けた時、その血が白い花につき“汚した”……その事をノロイは許さず、部下を引き裂いて殺すんですね。この白に対する異様な執着から、ノロイの本性を垣間見る事ができます。
「ガンバの冒険」はネズミの天敵であるイタチに集団で追い立てられる…という絶望的な状況に陥った島ネズミたちを救うために出発した勇敢なネズミたちの物語なんですが、このイタチの集団を統率するノロイという白いイタチは、単に天敵という自然の摂理を越えて、過剰な残虐さでひたすらネズミたちを虐殺する、悪意の塊のような存在として描かれています。
そもそも、群れずに単独行動するイタチを数十匹率いている…という事からして異常事態なのですが、このノロイ、わざわざネズミの言葉を話してガンバたちに語りかけてくるんですよね。他のイタチはネズミたちとは全くコミュニケーションが取れません。つまり、恐るべき知能で、ネズミの言葉を覚えたのでしょうが、そうやって覚えた言葉で何を語るかと言うと、ただただ、ネズミたちを嬲るために使われます。歓迎の言葉を唱えながらネズミたちを引き裂き、時に「待ってやるから、私に殺される順番を決めろ」なんて事も言い出す。時に騙し、時にネズミたち同士を裏切らせる、という具合にひたすらネズミに悪意をぶつける事にのみ、その頭脳は使われている。これだけ悪意のみを見せ続けたキャラクターは、そうはいないと思います。

そしてこれだけの行為に及びながら、ノロイは何故、自分がそうであるのか?という説明(言い訳)を一切しないんですよね。でも「受け手」には、ノロイの所以を少し想像する事ができるんです。原作(の絵)ではノロイは単なる白い可愛いイタチだったんですけどw…アニメでは明らかに白子(アルビノ)…一種の奇形として描かれている。異端者だったノロイがどういう経緯でこうなったかは語られる事はないのですが、それゆえ逆に想像がかき立てられるものがあります。あの白いものに対する執着からも、それは感じ取る事ができる。…でも、ノロイはそれを黙して語る事はない。
まあ、この頃の“悪役”って、特に背景もなく単なる“悪人”として描かれているのが大抵でしたので(ランプをはじめとした、手塚先生の悪役なんかが代表的ですが、さしたる理由もなく悪人なので、同時にふっと、手のひら返すように改心したりするんですよね)あれほどの凶行に及ぶ“悪役”に対して背景の示唆がされている事が、むしろ「ガンバの冒険」のただ事じゃない所なんですけどねwまあ、ともかく僕は、ただただ己の残虐な悪意のみを外に振るう白イタチ・ノロイをこれ以上ないくらいに美しい“悪役”に思っていて、“悪役”と言えば一番最初に思い出すキャラクターです。



さて、心に残っている“悪役”たちを3つ程挙げさせてもらいましたが、この頃の“正義の味方”というのは自分たちの行動に迷いが無い分、“悪役”たちも、また安心して“悪”を演じる事ができている面がありますね。そのため「善と悪の戦いの物語」は…ちょっと変な言い方になりますが、何か清々しいものさえ感じるんですよね。しかし、サイボーグ009が、その戦いの果てに自身の心の中にある“悪”に問いかけをされたように、白イタチ・ノロイがただの悪魔ではない事が示唆されたように“悪”とは何か?という問いかけは小さいながらも、隠しようもなく、そこに置かれてもいるワケです。

…この“悪”と“悪役”にまつわるお話って、ちょっと「面白い」というか個人的に興味あるテーマなんで、また日をおいて何か書こうかと思います。



(その他)

【絶対悪ってなに?(´・ω・`)善悪逆転編】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/a58f2370c3f40af6e878fcdc2c97b64a

【絶対悪ってなに?(´・ω・`)悪の終焉編】
http://blog.goo.ne.jp/ldtsugane/e/8aa3fcc617eed515159fc4903fc82b67


コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
Unknown (1)
2009-07-07 20:37:42
『モンスター』ってシャーリーズ・セロンの『モンスター』ですか?
 
 
 
Unknown (UHI)
2009-07-07 20:55:07
浦沢直樹の『MONSTER』でしょう。
 
 
 
「MONSTER」です。 (LD)
2009-07-08 00:02:23
こんばんは。

UHIさんの言われる通り、浦沢直樹先生の「MONSTER」ですね。

 
 
 
Unknown (KING)
2010-08-15 18:59:36
白面の者!!!!純粋邪悪
 
 
 
太陽の王子 ホルスの大冒険 (太陽の王子 ホルスの大冒険 動画)
2011-11-15 12:16:16
太陽の王子 ホルスの大冒険  好きです
 
 
 
Unknown (加藤)
2013-11-11 21:43:11
そもそも犯罪者は凡人が悪だと思い込んでるだけで彼等にはそれなりの過去がある
何も無い奴は彼等を只のモンスターと思い込む
彼等はとある立場にあるものにとってはそもそもヒーローだったりするんだ
絶対悪とは彼等を邪悪に仕立て上げた貴方達なのです
おまけにはしょぼいとまで言う屑
レクター博士もモデルからしてフランケンシュタインのモンスターの様になりたくてそうなったんじゃなくおまえらのような存在がそうした
 
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