『ケアとジェンダーの比較福祉社会学』年内発刊切望中!!『東アジアの高齢者ケア:韓国・台湾のチャレンジ』絶賛販売中!
大学教授キョトンC日々アラカルト便り!!
masaさんのブログの感想(3)。
masaさんのブログの感想、その3。
以下は、1月7日の記事のブログの最後の部分である。
masaさん曰く、
日本よりスウェーデンは出生率が高く、さらにここ数年はその率が上昇傾向にある。つまり少子高齢化の進行速度はスウェーデンより日本の方が深刻なのだ。その日本で一人の高齢者支援に関わる若年者数をそれらの国と同じにすること自体が不可能である。しかも財源として考えることができる消費税率は日本が5%であるのに対し、スウェーデンにいたっては25.3%である。
よって我が国の現状から鑑みるとケアの質の担保を、ケア単位を縮小化させて、少数の介護者が少数の高齢者をケアする方法だけ考えていてはシステムが崩壊する恐れが強いということだ。
特養の新設や増設をユニット型の新型特養に限定したり、グループホームなどの小規模対応型施設の増設を奨励したりする政策では人も金も足りなくなるのは目に見えている。 スケールメリットという言葉があるが、これは何も費用の面だけで考えるべきものではなく、ケアの方法論、効率的な部分を含めたケアの品質の担保という部分からも考えられて良い。
つまりは高齢者の支援システムにもスケールメリットに着目した効率的な介護方法も求めていかねばならない、ということである。人手をかけなくとも、ケアの質をある程度保つ方法にも重点を置いて考えないと、この国のケアは持たないのである。そこの視点や研究が足りなさ過ぎる。 この点、厚生労働省が現在進めているケアの単位の小規模化という制度設計自体が間違っているのである。
質の担保をケア単位の小規模化でしか見ない向こう側には、施設あって労働者なし、という状況を生み、介護サービスそのものが崩壊するであろう。 ないものねだりの制度設計でどうしようと言うのだ。
認知症ケアにしても、一番認知症の高齢者が多い我が国から発信する「新たな認知症ケア」の発想があったって良い。諸外国のサービスを参考にすることを否定はしないが、既にそれらの教科書の想定外、手の届かない場所を我々は歩いているのである。
まず、細かいツッコミを一つ。
スウェーデンの消費税は25%。25.3%ではない。スウェーデン方式の消費税の在り方は、我が国での消費税アップの議論の中で是非取り上げるべきである。スウェーデンでは、食料品関係は12%の消費税、新聞購読やオペラ鑑賞など文化的なものに関しては6%、それ以外は25%と、3種類の消費税率を設けている。デンマークは、一律
25%の消費税をかけており、スウェーデンと異なっている。
外国の制度やシステムを研究する一つの意義は、このような<制度やシステムの考え方>を選択肢の一つとして、検討することにある。
例えば、消費税について、スウェーデン流のやり方も参考にして、議論すればよい。
やみくもに9%に上げるのではなく、ものによって、3%-5%-9%と、3段階に、あるいは2段階に設定する。食料品は生存のために必要だから、3%に下げ、贅沢品については9%に上げるというやり方もある。
スウェーデンの高齢者ケアの最大の特徴は、施設ケアにある。認知症高齢者の方のためのグループホームはすべて個室。ADLの低い高齢者のためのナーシングホームも大部分が個室である。デンマークほどだだっ広くないが、個室で、トイレ、シャワー付きで28-40㎡の広さを持つ。全て、ユニットケアである。
2009年度から始まる新しい介護保険制度は、複雑怪奇過ぎて、加算が嵩んできて、
モンスターになりつつある。
スウェーデンのようなシンプルなシステムも検討されてよい。もちろん、向こうは措置制度なので、基本的に異なっている。が、しかし、例えば、グループホームは、高齢者本人の所得水準の高低に関係なく、医師の診断書があり、コミューンのニーズ判定員によって<判定>されれば、<どなたでも>入居できる。
あっ、
長くなり過ぎたので、
やっぱり、続きは、第4回へ。
« 今日は、奈良へ。 | スウェーデン... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |