牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

牛の種付け時に迷わない

2008-04-21 20:01:16 | 種雄牛
繁殖農家は、自分が繋養している雌牛に、どの種雄牛の精液を交配するかで決断を迷っているようである。
過去にも○○方式というような交配パターンが示され、農家はその指導を受けて交配してきた。
最近の和牛の雌牛群は、兵庫県の全てと宮崎県の半数以上を除き、肉量肉質が兼ね備なわった平茂勝号の系統で占められていると言っても過言ではない。
これらの系統の母牛には、但馬系統の種雄牛を種付けするのが順当な交配であろう。逆に但馬系統の母牛には、平茂勝の系統の種雄牛を種付けする。この単純な交配計画だけで、上物(A-4以上の格付け)以上の能力を持つ子牛が生産されている。
肥育している立場でも、この交配を繰り返して生まれた仔牛は、大体上物生産が目算できる。10数年以前には考えられなかった交配である。
最近注目されている種雄牛安福久号は、但馬系統であるが、平茂系統の母牛をターゲットに育成され、その交配により、肉質では高能力の成果をあげている。
話は変わるが、安福誉号という種雄牛がいる。平茂系統の母牛に交配した仔牛は、高い確率で、A-5にランクされる。ところが、子牛市場にその産子の出場頭数がかなり少ない。この産子が出れば確実に競り落とすことにしている。この産子は子牛育成時に若干小ぶりであるため、セリ価格も若干安い。そのため、生産農家が種付けしたがらないと聞く。子牛市では、体重220kg程度であるが、肥育の仕上がり時には800kgを優に越す。母牛の平茂系統がその能力を引き出させているのである。
ことによると安福久号に匹敵すると睨んでいる。農家は目先の利益だけに執着せず、優れた後継牛を生産する算段こそが、自らの将来に希望が持てることを考えていただきたいものである。

写真の2頭は、平茂系統の産子を肥育中の去勢牛である。


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