まろの公園ライフ

公園から世の中を見る

オペラシティの至福

2012年03月22日 | 日記

東京オペラシティに来ています。

息子がコンサートを楽しんでいる間
私はプラブラと館内を探検してみることにしました。
アクアリュウムの上に聳える高層ビルは35階建てのオフィス棟。
余計なお世話ですが「入居率」が気になりますねえ。

巨大な天窓から降り注ぐ外光が
さまざまなシルエットを映し出して、とても楽しい空間です。



こんなレトロな名前の喫茶店も・・・
大正時代のカフェをイメージした店内では
メイド服を着た若い「女給さん」が笑顔をふりまいていました。

アートギャラリーでは「難波田史男」展が開催中。
あまり聞いたことのない名前でしたが面白そうなのでチケット購入。
これが予想外によかったです!


<終着駅は宇宙ステーション>

難波田史男は1960年代を中心に活躍した抽象画家です。
ご覧のようなドローイングと呼ばれる独特の「線描」表現によって
コズミック風の個性的なイメージ世界を創り上げました。
文化学院から早稲田大学文学部の美術専攻を卒業。
今で言う「ひきこもり」のような繊細でナイーブなタイプの人だったようです。



<タイトル不詳>

初期の作品は内面の葛藤や苦悩をそのままぶつけたような
ちょっと暗いタッチのものが目立ちますが
その中にも不思議なユーモアが漂っています。
芸術は「自己とのたたかい」というのが持論で
音楽や文学を糧に「存在の不安」や「生と死」の問題と格闘し続けます。


<彩色画7>

とにかく作品の多さは驚くほどです。
中でも「無題」とか「タイトル不詳」といった作品が目立ちます。
ほとばしるように湧き出るイメージを次々と作品化していったために
いちいちタイトルなどつけるヒマがなかったのでしょうか。
逆に言えは「タイトル」などという既成概念を打ち破ったところに
難波田史男の本質的な魅力があるような気がします。


<自己とのたたかいの日々>

ペンによる線描と水彩による色彩をみごとに融合させた作品群。
その伸びやかなイメージの拡大はちょっと圧倒されるような力強さがあります。
それに比べて私のイメージは何と貧弱なことか・・・と天を仰ぎました。
1974年1月、九州旅行の帰路、瀬戸内海を航行中のフェリーから転落。
難波田史男は32歳の若さでこの世を去ります。
本当に惜しむべき才能でした。

展覧会を観た後、棟続きの「新国立劇場」も覗いてみました。
ふと見上げると、劇場の窓辺には無数の人が・・・

いったい何事かと思いましたが、どうやらオペラが開演中のようです。
皆さん、その「幕間」にティータイムを愉しんでいる様子。
うーん、なんか優雅だなあ・・・

館内にはこんな風にオペラで使用する衣裳が展示してあります。
何か「伝統」を感じますねえ。
自慢ではありませんが私は生まれてこの方
一度も「オペラ」なるものを見たことがありません。
おそらく一度も見ないまま、このまま死んで行くのでしょうか・・・

そんな私とは対照的に、我が家のピアノ小僧はオペラの大ファン。
とくにワーグナーが贔屓で呆れるほど熱心にDVDを見て興奮しています。
一度、連れて行ってやりたいなとは思うものの
ご存じのようにオペラのチケット代はは平気で4万円も5万円もします。
なぜにそんなに高いのか、一度、国会で真相究明を・・・

本日の演目は超有名なワーグナーのオペラでした。
息子を連れてきたら飛びあがって喜ぶとは思いますが・・・検討してみます。
展覧会を見て、オペラも「雰囲気」だけ味わって
なかなか芸術的な「至福の時」だったなあと思いつつ
「さまよえる日本人」はフラフラと出口に向かうのでした。


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