まろの公園ライフ

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やなせたかしの反戦

2015年08月30日 | 日記

今年は戦後70年ということもあって
例年になく「戦争」に関する報道が多かったように思う。
いろいろ考えさせられた。



先日、FBにこんな写真が投稿されていた。
痛々しいほどに骨と皮だけに痩せ衰えた戦場の兵士たちである。
記事には「戦死者の60パーセントは餓死だった」という
衝撃的な文字が添えられていた。
戦時中、海外で戦死した日本人はおよそ300万人と言われているが
その6割が「餓死」だったとは初めて聞く事実で
それがいかに無謀で無慈悲な戦争だったかをあらためて思い知った。
祖国のため、天皇陛下のためと、決死の覚悟で遠い戦地に赴いた兵士たちは
兵站を断たれ、空腹に喘ぎながら死んでいったのである。
名誉の戦死よりも、名誉の「餓死」がはるかに多かったのが先の戦争だった。



その話に漫画家の「やなせたかし」さんを思い出した。
やなせさん自身も戦時中、22歳で中国戦線への出征を体験しておられる。
多くの仲間が戦死する中、ご自身は運よく命は永らえたものの
戦地での「飢え」は塗炭の苦しみだったと言う。
野草やタンポポの根、小動物まで食べて飢えをしのいだと言う。



あるテレビ番組に出演された折にも
飢えがいかに人間の尊厳を踏みにじるかを力説しておられた。

  「正義の戦争というが、まずは飢えている仲間を食べさせるのが正義ではないか」

いつの世も戦争は「正義」の名で始まるが
やがて集団的自衛権という「正義」によって戦地に送られる自衛隊員たちも
おそらく同じような苦しみに直面するに違いない。
近代戦においても「兵站を断つ」のは戦争の常道であるからして
輸送船や輸送機は真っ先にミサイルの攻撃を受ける。
中東の砂漠地帯で「飢餓」にさらされる隊員たちの姿は現実のものなのである。



やなせさんの飢餓体験が「アンパンマン」につながっているのは言うまでもない。
お腹が空いた子供、泣いている子供がいれば、アンパンマンは自分の顔をちぎって食べさせる。
正義を振りかざして勇ましく敵をやっつけることは本当の正義なんかじゃない。
弱くて格好悪くても、時には自分が犠牲になってでもみんなの暮らしや平和を守ること
それこそが本当の正義なのだと…。
政治や外交の世界にも通じる反戦リベラリズムではないか。



筋金入りの「反戦主義者」だった。
戦争につながる政治の動きには徹底して反対を貫いておられた。

   なんのために生まれて
   なにをして生きるのか
   答えられないなんて
   そんなのは嫌だ

やなせさんにとって反戦こそが「正義」だったのである。

今日は歴史的な日になるかも知れない。
やなせさんが生きていたら、きっと参加していたと思う。
私も傍観者を返上して、40年ぶりにデモに参加してみたいと思う。

 


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