この夏、ソウル市内の国立中央博物館を参観した。米軍基地だった 九万三千坪の広大な敷地に、三階建ての広々とした展示場があっ た。国立中央博物館は元朝鮮総督府の建物を使っていたが、それ を壊して、2005年にこの地に移転新築したものだ。その二階の半 分は「寄贈文化財」となっていて、国宝級の文化財が展示されてい る。寄贈者十余名のうち、日本人の研究者が三人まじっていた。 金子量重(1925年~)、八馬正理(1928年~)、井内功(1911 年~92年)である。金子はアジア各地の生活用具や民族楽器を, 2002年から2005年にかけて千三十五点を寄贈している。八馬は 青銅器時代から朝鮮朝(李朝)にかけての精巧な工芸品三百八十三 点。人類の文化遺産は本来あった場所に返すべきだとの考えのも とに、韓国に贈ったのだという。井内は三国時代から統一新羅、高 麗、朝鮮朝にかけての古瓦。それも出土した場所と時代が特定でき る貴重なものである。人が一生かけて収集した美術品なり考古学資 料を、そのまま海外に寄贈することは、そう簡単にできることではな い。何よりも研究者としての情熱なくしては、こうも収集できるみので はない。それを晩年になってそっくり寄贈したという。わたしは展示 物にも感動したが、それ以上に三人の行為自体に深く心を動かされ た。一方、博物館側の展示の説明も、客観的で説得力があり、将来 の日韓両国の関係を見すえていた。 わたしは寄贈文化財の展示場から、しばし離れられなかった。(大村 益夫・早稲田大名誉教授)
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