koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

8/10 宇部定期開院

2019-08-13 | おもちゃ
8月度の宇部おもちゃ病院定期開院日です。
先月来てくれた宇部工業高校の子たちが、さらに一人増えて5人も来てくれました。

1件目、ラジコンカー。またもや写真撮りそこないました。ネットから多分これと思う物を拝借。

TAIYOの「スピントルネード」というラジコンカーだったと思われます(w)。
本体~ギアボックス間でのモーター線の断線です。高校生たち主体で直していきました。

ギアボックス側の付け根で断線ですが、本体側の付け根も傷んでるようだったので「本体側から全部引き直したい」という事で、本体側も分解。
本体分解の為にボディを外すには、頭(前輪中心部)を外さないといけない(頭の回転部分の下にネジがある)。
頭を外すには、車輪近くにあるネジ2本以外に、センターのシールの下にネジがあるので、シール破ってネジ外します。頭を外してボディを外せば、基板を出すのは簡単でした。

後輪のギアボックスの分解は、ちょっと悩みました。後輪はセンターでネジ止めなのですぐ外れますが、車軸が6角。ケース側の6角とちょうど位置を合わせれば、ケース分解できました。
ぼくの手持ちのビニール線だとちょこっと細めだったのですが、高校生君たちの「細いのは良くない」という意見で、他のドクターに赤黒の電源線を貰って、それに取り替えました。
今までよりもだいぶ太くなったので、本体側・ギアボックス側共に、線の取り出し部を削って広げないといけなくて、それが大変でした。

故障はここだけだったので、配線取替えして組み戻しして、試運転→ばっちり動いて終了です。

2件目、FisherPriceの知育おもちゃです。

電池ボックスに液漏れマンガン電池が入ってて端子がボロボロだったので、リューターで磨いてもらった結果、LEDは点くようになりましたが、音は全く出ない…。
φ40mmのスピーカー不良だったので、手持ちのφ36mmの薄型スピーカーで、裏に詰め物して、取り替えました。
これで試運転してみるも…、上の写真の青い部分、ノートパソコンを模したような箇所にA~Fと音符マークのボタンがある部分が、全く反応しない…。
高校生君たちが基板まで分解しましたが、特に異常はないし、導電ゴムSW部を直接短絡しても反応なし…。時間切れになって「もうこれでいいんじゃない?」となりかけましたが、入院でぼくが預かる事となりました…。

難航を予感したのですが、簡単なトラブルでした。
外してゴソゴソしてたら、ふと鳴る事がある。どうやら、ノートパソコンのフタを開けないと、下のボタンは反応しない仕組みになってる。その「開」の検知がしっかりできてない様です。
開の検知は、小さなリミットSWでした。

SW自体の反応は特に悪くない。フタ側の構造も、特に割れたりしてない。写真の白い部品(ボタン全体を押さえてる部品)でSWを押さえてる箇所が、押されて逃げるか少し遊びがあるかで、フタを開けてもSWの押しが不十分な状況と思われます。
SWのおしり側に厚めスポンジの両面テープを二重に貼り付けて組んだところ、ちゃんと開・閉反応する様になりました。

さて3件目、かなり年季の入ったおもちゃです。トミーの「はたらくじどうしゃ ビッグローダー」です。

高校生君たちがだいぶ悩んで、とりあえずモーターの8Tピニオン取替えまではしてみましたが、前進・後進の切り替えがうまくいかず時間切れで、これもぼくの入院となりました…。

フリーで回転するドラムがあって、これをストッパーで止める位置で前後進を切り替えるのですが、分解状態でだいぶ長時間動きを確認した結果、このフリー部がいつも同じ所で引っかかる。

写真の上の矢印部、フリードラムのストッパーと下のギアが接触して、ここでフリードラムの回転が止まってしまって、前後進がちゃんと切り替わらない事が分かりました。
この接触の原因ですが、下の平ギア、ケースの切り欠き穴に対して、左に寄り過ぎてほぼケースと接触してしまってます(下の矢印部)。この平ギアがもっと右に寄ってるべきと思われるのですが…。

このギア、スプリングが付いた「クラッチ機構」のギアセットですが、何かがおかしい…。

よくみると、スプリングが半透明の接着剤で固めてあります…。これは…シロウト(ご家庭のお父さん等)のしわざとは思えません。どこかのおもちゃドクターのやった事と思われます…。
(後日)修理完了の連絡時に聞いたら、おもちゃ病院での修理初めてで、ご主人が修理を試みたとの事…。じゃあしょうがないか…。

多分、クラッチが滑って坂を上らなくなった様な症状に対して、クラッチ機構を固定してしまったと思われます。クラッチが滑る場合には、ギア全体をバネが縮む方向にずらして、バネによる押し付け力を上げる調整が正論であり、バネを接着剤で固定するなんて…。
(クラッチのボス部に亀裂が見られる。軸との保持力下低下してギアがずれたのかも。)
せめてもうちょっと右で固定してくれてれば被害が少なかったのに、ケーシングに当たりそうな左めいっぱいで固定されてる…。
接着剤が緩まないかとドライヤーで加熱してみたけど、全く緩む気配なし。多分エポキシです。
左側にナット噛まして、バイスで相当力掛けてみたけど、まっっったくビクともせず。恐るべしエポキシ…w。

しかたなくこの位置で、当たる部分のフリードラム側をほんの少し削って、まあまあフリードラムは止まらないようになったけど、車輪の軸に入ってる平ギアとの噛み合いが凄く悪い…。手で回してもゴリゴリなって引っかかりがある。

このクラッチ付きの平ギア、よくみると、これもなんだかおかしい…。

歯と歯の間に所々半透明なものがくっついて、歯が埋まりかけてる箇所がある…。エポキシと思われる…。このせいで、相手の平ギアの歯先が当たってしまって、ゴリゴリと抵抗になっている。
スプリングにエポキシ塗った時に誤ってついたのか、歯の傷みを補修しようと思ったのか、いずれせよヒドい…。
とりあえず、カッターでなんとか歯型整形してぼちぼちにしてみたけど、まだいまいちスムーズじゃない…。

上下、組んだ状態でこんな感じ。

このクラッチ付き平ギア、ただでさえ薄いのに、歯幅の半分ぐらいしか上のギアに噛んでない。どのみち、この位置では噛み合い外れたり引っかかったりの懸念が解消されない。
え~い、「資材持ち」なので、取り替えてしまえ~!

あ~、すっきりw。以前に雑多ギア各種詰め合わせで買った中の24T平歯車に取り替えました。

これでだいぶ改善したのですが、まだどこかで引っかかる。もう怪しい所を片っ端からやってくしかない!

フリードラムの軸にもなってる、モーターからのクラウンギアについてる8Tピニオン、割れでピッチが開いてる様なので、取替え。(クラウンギアのボスも亀裂が入ってるっぽかったのですが、今の所トルクが掛けられるようだったので、クラウンギアとピニオンは連結はせず、それぞれ軸との摩擦でもたせる事にした。)

これで、さらにだいぶ改善したが、コースを走らせてみると、タイヤが空回りして中々ちゃんと進まない。坂が全く上れないだけじゃなくて、平地でも空回り。特にカーブがヒドい。
駆動輪のゴムが、片側はスカスカして空回り、片側は硬化してカチカチ。これもなんとかしなくては…。

スカスカの方外してみると、車輪側の溝がかなり深くて、プラレール用の動輪ゴムでは、溝の中にすっぽり入ってしまう。

1mm程度のゴム板在庫があったので、溝の中に二重に敷いてから、プラレール用の動輪ゴムをだいぶ伸ばしてはめると、なかなかいい感じに仕上がりました。

しかしこれでもまだ、負荷が掛かると「ガッ、ガッ」と歯飛びしたり引っかかって動かなくなったり…。全体的に摩耗が進んで遊びが増えてる気がします…。
最終的に、例のクラッチが付いてた軸の軸受部に敷き板したら、歯飛びもせず回る様になりました。

これでやっと、コースのどこでもばっちり走る様になった~!!!
で、コースを走らせてみると…、レールの青い部分、ダンプからショベルローダに乗り換えて、ショベルですくい上げる動作の所で、ショベルが上がらずにつっかかって車体が浮いてしまい、前進→後退の突起を蹴れず、次の動作に進めない…。
何かがおかしい、何かが足りない…。

ここで、ネットで動画を探して確認。oh!部品が足りてない!

これが動画から取った画像。矢印の所、門柱みたいな金属枠が立ってる。ショベルの頭の部分についてる棒がこの枠に引っかかって、ショベルが上がる構造になってる。この「金属枠」がなくなってるのね!

この金属枠、無いなら作らないといけない。レール側の穴を確認すると、3mm棒だとジャスト。
ホームセンターに買いに行こうかと思ったけど、SUSの3mm棒なんて買ったら、多分数百円と掛かってしまう。
ちょうど我が家で20年使ってとうとう寿命になった物干しハンガーの骨を使う事にした。
被覆針金だが、切ってみたら、中は全く錆びてなかった。20年も経ってるのになんと優秀な。

各所測って寸法決めて、折り曲げ。かなりじょうぶ(曲げにくい)でいい感じの材料でした。
被覆外径が4mm、被覆を全部剥いじゃうと2.5mm。なので、外径ちょうど3mmになるぐらいまで、根気よく被覆を削って、ちょうど遊びなく穴に刺さる様に加工。
やっと「金属枠」完成~!

これでほぼ復活、動画を載せておきます。→「動画はコチラ

これからさらにちょっと微調整。右上のホッパーから玉をショベルのバケット落とす所、ゲートがあくのがちょこっと早過ぎて、かなり荷こぼれします。もう少し遅くあくように、部品を削る→引っかかってあかなくなる→エポキシ盛る、と、結構時間かけて調整。
これで、完璧に復活です!

いや~大変でした。それにしても非常によく考えられた凝ったおもちゃです。器用に前進・後退を切り替えながら、動作を繰り返していきます。「ピタゴラ装置」の様ですw。1977年発売との事ですが当時の日本おもちゃ業界の設計に対する気合を感じます。(ギミックも増えてトーマスバージョンになったりして、今でも売ってるらしい。)
しかし…、見てるだけでおもしろいとはいえ、これをずーーーっと見てても遊びにはならない…。レールを組み替えてオリジナルな動作とかができないと、発展の余地が無い…。
「遊び」としては、単純なプラレールの様な自由度の高い物の方が優れてる気がします…。


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2 コメント

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いいしごとしてますね (大泉茂幸)
2019-08-20 06:16:22
つつじが丘の大泉です。

いつもいい仕事をされていて感心しています。電子・機械の両刀使いですよね。素晴らしいです。

「これをずーーーっと見てても遊びにはならない…。」には共感します。おもちゃに遊ばれてはいけませんね。おもちゃは子どもの遊びの中での素材の一つでしかないと思います。それをどう使って遊ぶか、創意工夫することが遊びのおもしろさなんですよね。僕達にとっても、おもちゃはモノづくりや修理の創造的な活動の素材と言えますね。
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毎度ご愛読ありがとうございます (kohei)
2019-08-20 20:56:31
おほめに預かり恐縮です。

IWAYAの「歩いて鳴く犬のぬいぐるみ」、もう20体以上直してますが、
直すたびに「この子(このおもちゃ)の一生の中で、何時間スイッチを入れるだろうか…。動かなくてもぬいぐるみとしてかわいがってあげればいいじゃん?」と思ってしまいます。(何時間掛かっても直しますけどw。)

創意工夫で言えば、積み木とかレゴブロックとか、段ボールと紙与えて「好きな物作れ~!」とかの方が優れてるとも言えますが、
おもちゃ修理の大半は、電子おもちゃなんですよね…。矛盾してますw。
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