戦闘機ってなんでミサイルにロックオンされただけでわかるの?
http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/4825740.html
1: | 名無し募集中。。。@\(^o^)/ 2015/02/13(金) 10:23:21.50 0.net |
映画なんかでたまに見るけど まだ敵ミサイルが発射される前のロックオンでわかるみたい どうして?教えて狼のミリオタさん |
ニュースサイトを見てたらこんな質問があった。
そういえば昔、同じようなことを他の人からも聞かれたなと思い、
需要があるのかもと思い以下に解説。
ついでに空対空ミサイルについても。
1, レーダーの仕組み
まずこれを理解しなければならない。
何故レーダーというもので遠くの物体の位置や距離がわかるかといえば、
まず電波を発射して、なにか物体に当たったら跳ね返ってくる。
その反射してきた方向や時間などから、対象物の位置を計算している。
それを人間の目にもわかりやすくグラフィカルに表示する、それがレーダー装置。
通常、レーダーは物体を捜索するために、
アンテナを回して電波をいろいろな方向に飛ばしている。
アニメ・ドラゴンボールのドラゴンレーダーを思い出せばわかりやすい。
画面の中でピコーンピコーンって回転してるあれ。
ただしこれだともう一周してくるまでタイムラグがあるので、
ある高速な対象をリアルタイムに追跡するには向いてない。
なのである対象を目標と決めて常時追跡するときはモードを切り替えて、
アンテナの回転を止めてレーダー波の照射をその目標に限定する。
これが俗に言う「ロックオン」。
そうしてミサイルを目標に向けて誘導させるのだ。
2, レーダー警戒装置 (RWR=Radar Warning Receiver)
上で解説した通り、相手のレーダーで捕捉されるということは、
自機がレーダー波の照射を受けているということ。
アンテナの回転で断続的に受けていたものが、
ある時から集中的に受けていると、
ロックオンされているということになる。
戦闘機はこのレーダー波の照射を検知する、レーダー警戒装置を搭載している。
これによってアラームが鳴り、ミサイルが発射される前から、
敵機からロックオンされてることがわかるという仕組みである。
3, ミサイルの誘導方式の種類
上記が基本的なことであるが、実際はもっと複雑だ。
戦闘機同士の空戦で用いるミサイルにも種類がある。
それは大きく分けてレーダー誘導式と赤外線誘導式だ。
レーダー誘導式は主に中距離や長距離の対空ミサイルに用いる。
レーダーからの情報を受け取って誘導する方式。
世代や種類によって変わるが射程は30~100kmだったりする。
赤外線誘導式は、短距離の対空ミサイルに用いる。
敵機のエンジン熱などから放出される赤外線をミサイル自体が探知して追いかけるもので、
ミサイルの命中精度自体は一般的にはこちらの方が信頼がおけると言われる。
射程30km以下の短距離用のものが多く、ドッグファイト用ミサイルとも言われる。
勘の良い人は気づいたかもしれないが、
レーダー照射を頼りにするレーダー誘導式はロックオンされた時点で検知できるが、
ミサイル自体の目を頼りに追いかけてくる赤外線誘導式はレーダー警戒装置では検知できない。
というのが基本概念だが、そんな赤外線誘導式ミサイルも
もろもろの事情によって検知手段がある。
4, 赤外線誘導式ミサイルの検知手段
まず赤外線誘導式であっても、レーダー照射をする場合がある。
これはレーダースレイブ方式と言い、ミサイルの目だけに敵機を探させるのではなく、
レーダー情報によって「あっちの方向に敵機がいるよ」とミサイルに教えてあげること。
これによりミサイル自体が敵機を捕捉する確度が上がり、
なにより射程の延伸に寄与するというメリットがある。
なのでレーダースレイブ方式で発射された赤外線式誘導ミサイルは、
レーダー照射も活用しているのでロックオンを検知できる。
しかし逆にレーダースレイブ方式ではない、
完全にミサイルの目(シーカーと言う)だけを頼りに発射する場合。
ボアサイト方式というが、こちらは完全にレーダー照射に頼らないので、
実際に撃たれるまで検知できないので奇襲効果が高いと言える。
ではボアサイト方式で発射されたミサイルに狙われたら、気づきもしないうちに撃墜されてしまうのか?
発射炎とミサイル自体の噴煙を目視する以外に気づくことはできないのか?
以前はそういう時代もあったが、今では一応これも検知手段がある。
ミサイル警報装置だ。
これは赤外線を探知する機能があり、
ミサイル自体の噴煙から放出される赤外線を探知する機能がある。
なのでレーダー照射をされずにミサイルを発射されたとしても、
赤外線を捕捉して急接近を通知するものだ。
これにより撃たれたことはわかるようになっている。
5, ミサイルへの対抗手段
レーダー照射を受けたり、または赤外線式ミサイルの急接近を感知した場合。
戦闘機にはチャフやフレアといった防御手段がある。
チャフの放出:電波を放出する物体を散布しレーダー波を撹乱する。
フレアの放出:燃焼する物体を散布し赤外線を大量に放出、赤外線式ミサイルのシーカーを撹乱する。
また急な機動を行いミサイルのシーカーから自機を外すことも同時にやるし、
かつては太陽に向かって機動し、敵の赤外線式ミサイルの目を太陽に向けて誘導を外すということもあった。
今の進歩したミサイルに対してはあまり有効ではないらしいが。
5, その他
ミサイルと防御手段の発達はイタチごっこである。
今回書いたものは基本的な概念で、細かく分ければまだたくさんある。
中間誘導は慣性誘導で行って終端誘導にレーダー・ホーミングを行うミサイルとか。
そういったものは検知したとき既に急接近されてるので回避が難しくなってくる。
それに関しての解説はこれまた長くなるのでまた別の機会に書こうかな。
また赤外線誘導式の方がレーダー誘導式に比べ命中率が高いと言われるのは、
射程が短いので発射から命中までの対応時間が少ないことと、
レーダー誘導式に比べれば電子妨害に耐えやすいということもあるだろう。
ちなみにうちのブログで扱ってるPCゲームに絡めて言えば、RTSのWargameが今回の記事に関連してくる。
あのゲームでレーダー式の対空ミサイルを運用する時、敵機のアンチレーダーミサイルが
飛んできたらとっさに対空ミサイルのレーダーを切ったりする人いるじゃん。
アンチレーダーミサイルの仕組みは、レーダー波照射の発射源に向けて飛んで行く仕組みなので、
レーダー波照射を切ればこっちも敵機を撃てない代わりに、敵のアンチレーダーミサイルもこちらのレーダー波を辿ってこれなくなる。
イラク戦争時にイラク軍が米軍相手に多用してたとのこと。
このようにレーダーで敵機を捜索する=レーダー波を放出する=逆に敵にもこちらの存在を教えることになる。
なので、最近流行のステルス戦闘機などでは、隠密行動時はあえてレーダーを切ったりもする。
このようにレーダーにまつわる話って、いろいろおもしろいんです。
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エネミーライン劇中の戦闘機とミサイルの解説とても分かりやすかったです。
長年の???が分かってすっきりしました。
ありがとうございました。
返信遅れて申し訳ない。
それは近接信管というやつで、
弾頭が炸裂して破片で航空機にダメージを与えます。
現実でも主要な対空兵器は同じメカニズムです。
誘導性能と命中精度が向上した現代ではミサイル自体を直撃させるタイプもあるけど、
もともとは近接信管タイプが主でした。
一つ質問させてください。
映画エネミーラインで戦闘機を地対空ミサイルで撃墜するシーンがありました。
戦闘機にミサイルが最接近した時にミサイルの先端部が割れて、散弾の様な物がが射出されたように見えました。
戦闘機に対して直接的な損害を与えたのはミサイル本体の衝突ではなくて、散弾の命中によるものに見えました。
ミサイルによる飛行機の撃墜は、このシーンのようなメカニズムなのでしょうか?
それとも、映画ならではの演出(フィクション)なのでしょうか?
よろしくお願いします。
また軍事を簡単に解説した記事は書いていこうと思います。
最近は赤外線画像方式のミサイル誘導もあるようで、フレアの欺瞞効果は薄れてきている、というのもどこかで目にしました。
感想ありがとうございます!
基本はPCゲームブログなのですが、
軍事記事も更新するよう頑張ります。
前から詳しく知りたかったんですよね。
これだけ平易に説明できるということは、全て理解されてるんですね。
今日、初めてブログ見つけました。
ゆっくりと読ませていただきます。
良いよ!
そのうち書きます!
そういう兵器もあるけど、戦闘機は基本あげないよ!
>>Unknown
ありがとう!ちゅっちゅ!
不思議に思ってたけどわかりやすいね。