向かいの山の斜面から、チェンソーのエンジン音が盛んに響いてくる。
椎茸の原木栽培用「ほだ木」の伐採で、毎年秋が深まると行われる。
紅葉が終り、木が冬眠に入って水を吸い上げなくなった頃が、伐採の適期だと言われている。
椎茸栽培は、直径が10センチ前後のナラの木が適しているので、1mほどに切り揃えられて業者へ出荷される。
薪炭や原木の需要が盛んであった頃は、20~30年周期で森が再生されが、今は山に入って仕事をする人は少なくなってしまった。
その一方で、ナラ枯れ病の被害が拡大し、既に都道府県の半数以上で発生が報告されている。
異常気象や害虫のキクイ虫の大量発生が原因といわれているが、山に人手が入らなくなったのが拡大の要因となっている。
キクイ虫は、高樹齢の大径木に繁殖するので、放置された山が、害虫繁殖の温床になっている。
薬剤の散布や枯れ木の焼却なども効果は薄く、今後とも被害は拡大すると専門家は言っている。
紅葉の時期でないのに、ナラの葉が枯れていく姿は無残だし、熊の餌になるドングリも無くなってしまう。
森の再生がナラ枯れ病の拡大を防ぐ最善の道と思うが、険しい山に分け入って危険な作業を好んでする人は少ない。