10月15日、"まいまい京都"で革島医院を見学後に東山岡崎にある「並河靖之七宝記念館」を訪ねました。
約1年の保存修理がようやく完了し、今年4月28日からリニューアル開館されています。
七宝は見た目は磁器や陶器に絵付けした物に見えますが、本体は銅などの、金属や陶磁器の素地の器胎にガラス質の釉薬を載せて焼成し研磨したものです。
主屋一階では8分位の制作のビデオを流されたていて、その技法の繊細さがよく分かります。
並河靖之の作品の図柄の輪郭線には金属の線が施され、その仕上がりは光沢のある釉薬の色味と並河の独創的な器形が特徴的です。
こちらの魅力は並河靖之の作品は無論ですが、顧客を招いて商談に使われた主屋や七代目小川治兵衛(植治)が作庭した素晴らしい庭園にも魅力が溢れています。
琵琶湖疏水の水を取り込んだ第一号が並河邸です。
七宝制作には大量の水が必要で"工業用"に認可された第一号です。
ちなみに"防火用"に認可された第一号が山縣有朋の別邸"無鄰菴"です。
その後、"南禅寺別荘群"とよばれる別荘の庭園にも琵琶湖疏水の水が引かれましたが、全て"防火用"としての認可でした。
"おくどさん"は既に取り除かれていますが、京町家の台所らしい空間です。
並河家の西隣が代々"植治"のご自宅で、おふたりは懇意にご近所付き合いされていたそうです。
そんなご縁で植治が作庭されたのでしょう。
今も11代目が住まいされています。