「Take it easy!(気楽にいこうぜ!)」
昨年引退した、競馬界の名ジョッキー岡部幸雄氏が、毎レース、自分が騎乗する馬がスタートゲートに入る前に、馬に対してこの言葉をかけていたという。
馬優先主義。
競馬における岡部のモットーだとか。人間の都合で馬をレースに出走させたり、無理な調教をするのではなく、馬の状態に合わせて人間がいろいろ考えるべき。馬は人間に支配されるものではない。人間と同格の存在。
なので、彼は自分が騎乗する馬について話すとき、牡馬のことは「彼」、牝馬は「彼女」と呼んだ。競馬界でそう発言をしたのは、岡部が最初。(今は普通にみんな言っているが)
馬に対するこの気持ちが、決して目立つ存在ではなかった岡部を一流騎手にしたのだと思う。
自分自身の騎乗技術の鍛錬。そして仕事上のパートナー(馬)への尊敬心。それらが皆に認められ名ジョッキーと言われるようになったのだろう。あの武豊ですら、今でも目標とするジョッキーは岡部幸雄だと言う。
そんな岡部。騎手引退後、プータロー。自分は馬と共に戦う騎手しかできない。馬を調教するようなことには向いていない。
彼の、そんな馬に対する気持ちに敬意を表し、「Take it easy!」をいただきました。