サービス残業是正1932億円
11年間総額 共産党と労働者の力で
残業したのに賃金が支払われない「サービス残業」。この不払い残業を根絶するためのたたかいで、「提案し、行動する」日本共産党の力が発揮されています。
企業から労働者に支払われたサービス残業代の是正総額は、厚生労働省が調査を始めた2001年以降の11年間で、1932億5707万円もの巨額にのぼります。労働者総数は155万3873人、企業総数では1万4040社に達しました。このなかには、トヨタなど製造業や都市銀行、電力会社などの大企業が多数含まれています。
2011年度だけをみても、是正額は145億9957万円で、前年度より22億7599万円増えています。支払われた労働者数は11万7002人、是正された企業数は1312社。業種別にみると、金額のワースト3は、建設業、商業、製造業、労働者数では商業、製造業、保健衛生業(病院など)の順になっています。
日本共産党は、1976年以来、300回を超える国会質問でサービス残業が企業犯罪だと追及してきました。2001年には、サービス残業根絶のために企業が責任をもって労働時間管理を強化することなどを内容とする通達を厚生労働省にださせました。サービス残業の摘発・是正指導が大きく前進したのは、それ以降です。
「通達には共産党の主張かなり」 厚労省で話題
「サービス残業」は、明白な違法行為で、企業犯罪です。そのうえ、企業に残業代という歯止めがなくなるため、長時間労働を招きます。実際、日本社会では、サービス残業が長年にわたり横行し、過労死を生む長時間労働が常態化するなど、労働者を苦しめてきました。
徹底的に質問
日本共産党が国会質問で中心にすえたのは、残業時間は労働者の“自己申告”として、労働基準監督署の調査を逃れる企業のやり方です。労働基準法には、労働時間の把握・管理を企業に義務付ける明文規定がなく、この欠陥が企業のやり方を許してきました。共産党はこれを徹底的に追及し、2000年3月には「サービス残業根絶特別措置法」を提案。労働時間の管理責任を企業に義務付けることを求めました。
この1年後の2001年4月に、厚生労働省は通達文書、通称「4・6通達」をだしました。
通達は、企業に「労働時間を管理する責務がある」と明確にのべ、企業の責任で労働者の始業・終業時刻を確認、記録すること、労働者に“自己申告”させるやり方ではなく、タイムレコーダーやICカードなど客観的記録を原則とすることを求めています。
まさに、共産党が要求した内容でした。当時、厚労省内では、「国会のたびに何度も共産党から取り上げられて、参った。通達には共産党の主張がかなり盛り込まれた」と話題になりました。
これを転機に、サービス残業の摘発、是正指導が大きく前進します。労働者・家族の告発やたたかいと結んだ共産党国会議員団による大きな成果です。
財界反省なし
ところが、財界はこうした事態を反省するどころか、法律を改悪して不払い残業を合法化しようという悪だくみをすすめてきました。ホワイトカラー労働者を「裁量がある」として、企業は残業代も労働時間管理も不要とするホワイトカラー・エグゼンプションを導入することです。
自民党政権時代、財界は政府の経済財政諮問会議、規制改革会議を使って、閣議決定まですすめました。
日本共産党は「労働法制改悪阻止闘争本部」を設置し、労働者・労働組合とともに大きな反対闘争を展開。財界のたくらみは失敗に終わりました。
しかし、財界はいまだにこのたくらみをあきらめていません。日本経団連の「2012年度規制改革要望」では「事務系や研究開発等労働者の働き方に適した労働時間制度の創設」を掲げています。表現こそ変えましたが、内容はホワイトカラー・エグゼンプションと同じものです。さらに、そこに至る前にも、ただ働きの合法化を広げようと、「企画業務型裁量労働制の対象拡大」も要求しています。
労働者と財界とのたたかいは、いまも続いています。財界いいなりの政治ではなく、労働者・国民のための政治こそ求められています。
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